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第一章

迷い込んだおっさん

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新橋で酒飲んで、途中から記憶がない。
目が覚めたら見知らぬ酒場だった。

「おい、おっさん、閉店の時間だから出て行ってくれよ」

「こ、ここは?」

「ギルドの2階の酒場だよ」

「ギルド?」

「冒険者ギルドだよ」

「冒険者ギルド?」

「ああ、もうめんどくせえな。
そういうのは下へ行ってくんな」

俺は仕方なく店を出ていこうとしたら、忘れ物だとカバンを押し付けられた。
ああ、確かに俺のカバンだ。

俺は力なくカバンを受け取り店を出た。
頭はモヤがかかったようにぼやっとしてPり、冒険者ギルドという言葉が何度も繰り返されている。

俺は下落合田吾作……いや待て、そんな名前じゃない……
急激に意識が戻ってきたのだが、自分の名前がわからない。
俺は新橋の会社に務める……ダメだ会社の名前も思い出せない。
仮に会社員Aとしておこう。
いつもの立ち飲みで同僚の……Bと酒を飲んだ。

それで、そのあとは……ダメだ思い出せない。

Bが面白い本があるというので本を借りた。

タイトルは 『開かずのダンジョン』 よし、ここは覚えてるぞ。

30代中ごろのおっさんが 『異世界』 に飛ばされる話だって言ってたな。
特典としては 『絶対回避』 という、100%相手の攻撃を避けられるスキルを持ってるんだと。
なんだよ、無敵じゃねえかっていったらBのやつ笑ってたな。

それと、サービスで 『無限収納』 をカバンにセットしておくからねって……
あれっ? カバンは破壊不能の特性付きだから、盾としても使えるんだ……
あれっ? ゴールは魔王討伐だからね……
あれっ? じゃあ、頑張って……

上下グレーのスーツに、ひも付きの革靴。
ポケットにはハンカチとティッシュ。
ワイシャツのポケットにタバコ。

あれっ? タバコは無限収納からいくらでも出てきますよって……
あれっ? Zippoのオイルも石も自動でチャージされますよって……

上着の内ポケットに名刺入れ!
名刺入れの名刺は全部白紙になっていた。

階段を降りていくと、カウンターやら掲示板やらがあった。
ノラクエをやったこともあるから、なんとなくわかる。

最初は冒険者登録だよな。
なんとなく、この環境に頭が順応しているようだ。

俺はカウンターで声をかける。

「すみません、冒険者登録したいんですけど」

「ああん。おっさん、こんな時間になに寝ぼけたこといってんだよ。
ギルド業務はとっくに終わってんぞ」

「朝は何時に?」

「日が昇る時間だよ」
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