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第二章
第22話 南の無人島を見つけて領地にしました
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「魔法兵と魔道具の提供。それと今年から始まった土地所有税の納付。ご協力いただけませんかね。」
「お断りいたします。土地所有税については、最初に買取した家の部分はお支払いしたはずですが。」
「そんなの、全体の3%ではないですか。話になりませんよ。」
「残りの部分は城壁の外。つまり私が独自に開拓した自治領になります。」
「何度も申し上げているように、自治領に関する法は、今年撤廃になっているんですよ。」
「そうであれば、城壁の外側は治外法権ですよね。ジャルディア国内にありながら、独立国として成立しているという事になりますね。」
「それは、ジャルディアの庇護下から離れると?」
「元から、ジャルディアの恩恵など受けていませんわ。こちらが税を納めるだけの関係。いっその事、関係を断ち切りましょうか。」
「そうですか、後悔されませんように。」
今、私の敷地にいる人間は3000人を超えている。
町に永住する事を決めた人には家を与え、家族のいる人は呼び寄せてもらった。
ジャルディアと断交しても十分に生きていけるのです。
冒険者ギルドからも、多くの人材を引き抜き、警備にあたってもらったり、ゲートから直接ダンジョンに行って素材の確保をしてもらっています。
生活に必要な物資は敷地内で販売しているし、断交して困るのはジャルディア王都の人たちなんです。
30Vでしか手に入らないタマゴや砂糖がなくなれば、ジャルディア側の住人はパニックになるでしょうね。
まあ、そこまで困らせるつもりもないので、屋敷を改造してジャルディア向けの商店を作りました。
そうしておいて、ジャルディアとの間にある城壁を完全に閉鎖します。
屋敷とDC間の行き来は、認識証を持った人しか行き来できず、30Vの城壁は10mまで積み上げました。
基本的に、30Vは放棄するつもりです。
住居はどんどんDCに作って、準備のできた人から移ってもらいます。
私は、各国に住居を購入して、DCからのゲートを作っていきました。
そして、そこでもタマゴと砂糖を販売していきます。
「ジャルディアは幽閉されていた王族を救出し、新たにジャルディア王国として発足した。」
「王国?」
「そうだ。ジャルディア国王が即位されたのだ。」
「ちょ、ちょっと待ってください。頭が追いつかない……。」
3か月ぶりにやってきた役人は兵士10人を従えていました。
私は店員を表からは見えないゲートから引き上げさせます。
逃げる時には、商品や売上金は気にしなくて良いと指示してあります。
「ジャルディアに国王なんているわけないじゃないですか。」
「貴様、国王を侮辱するすもりか!」
「侮辱もなにも、タギリアの植民地だったドットの町を、父が独立させたのは10年前の事でしょ。」
「そんな事は子供でも知っている。」
「父が貴族・王族制をとらなかったのは、一部の貴族と王族が特権を持つと、汚職や賄賂の温床となり、国民の幸せというものを考えて議会制の国を作り上げた。ここまでは理解してますよね?」
「それは、港町ドットでのジャルディア成立の話だ。この王都ジャルディアの事ではない。」
「王都ジャルディアって……、ここはサルサ村だったのよ。それをジャルディアが併合して発展させていったの。」
「ここは元からジャルディア王国だった。それをドットが侵略したのだ。」
「えっ?何それ……。」
「ここを治めていたのは、サテリア・ジャルディ女王陛下。オスカー・ジャルディの姉君にあたられる。」
「サテリアって?誰?」
「サテリア・ジャルディ女王陛下とセノ・ジャルディ皇子は、10年もの間幽閉され、先日ドドンパ副議長により救出されたのだ。」
「はあ、どう考えてもニセモノよね。何でそんな話を信じ込んじゃったのかしら。」
「なにぃ!」
「まず第1にサテリアとかセノとかいう親戚はいなかったわ。タギリアにいた頃に祖父や祖母に聞いたけど、父オスカーは一人っ子よ。」
「ば、馬鹿な……。」
「第2に誰がその二人を幽閉したの?父がやったのなら、自分が国王になったはずでしょ?」
「うっ……。」
「それに、その話がホントなら私も王族の一人じゃない。謀反を起こしたとかを考慮したとしても、王族だったらそれなりの扱いをされるはずでしょ。」
「ううっ、ぐあっ!」
「スガレ殿!」
苦しそうに頭を抱えた課長さんを兵士が支えて帰っていった。
「どういう事。明らかに嘘だって分かり切っているのに……。」
「それって、魔族の得意な洗脳じゃないの。」
「とすると、魔族が入り込んでいるってこと?」
「そうよリーズ。もし魔族が入り込んでいた場合、人間と融合した悪魔を引き剥がすことはできないから、人間ごと焼き払うしかないけど、どうする?」
「ルナ、融合した悪魔って本当に引き剥がせないの?」
「前例はありませんわね。」
「というか、魔王級以外は特に被害がないから干渉しなかっただけでしょ。」
「言われてみればそうね。とすると、人間と融合したリーズに害をなす存在かどうか。」
「うーん、30Vを放棄しちゃうから、特に影響ないかな。」
「ニセ国王と血縁ってことになるけどいいの?」
「別に、気にするかどうかだけの問題よね。」
「じゃあ、放置でいいのね。」
こうして私たちはDCに移住し、ジャルディアとの関係を断ちました。
ジャルディアからの撤退の際、店に張り紙だけ残しておきます。
==========
閉店のお知らせ
これまで当店をご利用いただき、ありがとうございます。
私どもシャルD商会では、これまでにも軍部による不当な干渉を受けたり、不法な課税に抗ってまいりました。
しかしながら、今回のドドンパ副議長と新たに発生したニセ国王の圧力には堪えきれず、ジャルディアからの撤退を決意いたしました。
長い間のご愛顧に感謝いたします。
シャルD商会長 シャルロット・ジャルディ
==========
そして私たちはDCを中心に、全部の国と関係しながら発展していきます。
将来的な人口増加に備えて、今度は無人島を開発する事にします。
適度な環境にある、適度な大きさの島。
面積約6000平方キロメートルのその島は、熱帯性モンスーン気候の言葉通り南の島です。
まったくの無人島で、島の北側には活火山が存在するものの、それほど活性化はしておらず、温泉が存在しています。
年間の降水量も多く、島内には様々なフルーツが自生しています。
周囲はサンゴ礁に囲まれており、大型船が近づけない事も、人が入植しなかった理由だと思います。
「ねえ、あの島の中央にある山なんだけど、なんとダンジョンがあったのよ。」
「それって、手つかずのダンジョンだよね。」
私たちはその島をDI(ドラゴンアイランド)と名付け、開発に着手します。
水源も多く、作物も育てやすい環境ですが、台風に備える必要もあります。
山間部のDCと違い、温泉とビーチのあるリゾートとしても人気が高まります。
最初の100年で人口は4倍に増え、DCとDIを足すと2万人になります。
父のオスカー・ジャルディはDIで他界しました。
それでも80才まで生きて、満足して亡くなったのですから幸せだったのでしょう。
孫の顔は見せてあげられませんでしたが……。
そして、ルナとアキも適合者を見つけて融合しました。
もちろん、当人も合意のうえです。
そして私は200年を生きて人間としての寿命を迎えました。
それはあまりにも突然の事で、意識がブツリと途切れたのを覚えています。
【あとがき】
第二章終わりです。
次回より第三章、リズ・サーティ編です。
「お断りいたします。土地所有税については、最初に買取した家の部分はお支払いしたはずですが。」
「そんなの、全体の3%ではないですか。話になりませんよ。」
「残りの部分は城壁の外。つまり私が独自に開拓した自治領になります。」
「何度も申し上げているように、自治領に関する法は、今年撤廃になっているんですよ。」
「そうであれば、城壁の外側は治外法権ですよね。ジャルディア国内にありながら、独立国として成立しているという事になりますね。」
「それは、ジャルディアの庇護下から離れると?」
「元から、ジャルディアの恩恵など受けていませんわ。こちらが税を納めるだけの関係。いっその事、関係を断ち切りましょうか。」
「そうですか、後悔されませんように。」
今、私の敷地にいる人間は3000人を超えている。
町に永住する事を決めた人には家を与え、家族のいる人は呼び寄せてもらった。
ジャルディアと断交しても十分に生きていけるのです。
冒険者ギルドからも、多くの人材を引き抜き、警備にあたってもらったり、ゲートから直接ダンジョンに行って素材の確保をしてもらっています。
生活に必要な物資は敷地内で販売しているし、断交して困るのはジャルディア王都の人たちなんです。
30Vでしか手に入らないタマゴや砂糖がなくなれば、ジャルディア側の住人はパニックになるでしょうね。
まあ、そこまで困らせるつもりもないので、屋敷を改造してジャルディア向けの商店を作りました。
そうしておいて、ジャルディアとの間にある城壁を完全に閉鎖します。
屋敷とDC間の行き来は、認識証を持った人しか行き来できず、30Vの城壁は10mまで積み上げました。
基本的に、30Vは放棄するつもりです。
住居はどんどんDCに作って、準備のできた人から移ってもらいます。
私は、各国に住居を購入して、DCからのゲートを作っていきました。
そして、そこでもタマゴと砂糖を販売していきます。
「ジャルディアは幽閉されていた王族を救出し、新たにジャルディア王国として発足した。」
「王国?」
「そうだ。ジャルディア国王が即位されたのだ。」
「ちょ、ちょっと待ってください。頭が追いつかない……。」
3か月ぶりにやってきた役人は兵士10人を従えていました。
私は店員を表からは見えないゲートから引き上げさせます。
逃げる時には、商品や売上金は気にしなくて良いと指示してあります。
「ジャルディアに国王なんているわけないじゃないですか。」
「貴様、国王を侮辱するすもりか!」
「侮辱もなにも、タギリアの植民地だったドットの町を、父が独立させたのは10年前の事でしょ。」
「そんな事は子供でも知っている。」
「父が貴族・王族制をとらなかったのは、一部の貴族と王族が特権を持つと、汚職や賄賂の温床となり、国民の幸せというものを考えて議会制の国を作り上げた。ここまでは理解してますよね?」
「それは、港町ドットでのジャルディア成立の話だ。この王都ジャルディアの事ではない。」
「王都ジャルディアって……、ここはサルサ村だったのよ。それをジャルディアが併合して発展させていったの。」
「ここは元からジャルディア王国だった。それをドットが侵略したのだ。」
「えっ?何それ……。」
「ここを治めていたのは、サテリア・ジャルディ女王陛下。オスカー・ジャルディの姉君にあたられる。」
「サテリアって?誰?」
「サテリア・ジャルディ女王陛下とセノ・ジャルディ皇子は、10年もの間幽閉され、先日ドドンパ副議長により救出されたのだ。」
「はあ、どう考えてもニセモノよね。何でそんな話を信じ込んじゃったのかしら。」
「なにぃ!」
「まず第1にサテリアとかセノとかいう親戚はいなかったわ。タギリアにいた頃に祖父や祖母に聞いたけど、父オスカーは一人っ子よ。」
「ば、馬鹿な……。」
「第2に誰がその二人を幽閉したの?父がやったのなら、自分が国王になったはずでしょ?」
「うっ……。」
「それに、その話がホントなら私も王族の一人じゃない。謀反を起こしたとかを考慮したとしても、王族だったらそれなりの扱いをされるはずでしょ。」
「ううっ、ぐあっ!」
「スガレ殿!」
苦しそうに頭を抱えた課長さんを兵士が支えて帰っていった。
「どういう事。明らかに嘘だって分かり切っているのに……。」
「それって、魔族の得意な洗脳じゃないの。」
「とすると、魔族が入り込んでいるってこと?」
「そうよリーズ。もし魔族が入り込んでいた場合、人間と融合した悪魔を引き剥がすことはできないから、人間ごと焼き払うしかないけど、どうする?」
「ルナ、融合した悪魔って本当に引き剥がせないの?」
「前例はありませんわね。」
「というか、魔王級以外は特に被害がないから干渉しなかっただけでしょ。」
「言われてみればそうね。とすると、人間と融合したリーズに害をなす存在かどうか。」
「うーん、30Vを放棄しちゃうから、特に影響ないかな。」
「ニセ国王と血縁ってことになるけどいいの?」
「別に、気にするかどうかだけの問題よね。」
「じゃあ、放置でいいのね。」
こうして私たちはDCに移住し、ジャルディアとの関係を断ちました。
ジャルディアからの撤退の際、店に張り紙だけ残しておきます。
==========
閉店のお知らせ
これまで当店をご利用いただき、ありがとうございます。
私どもシャルD商会では、これまでにも軍部による不当な干渉を受けたり、不法な課税に抗ってまいりました。
しかしながら、今回のドドンパ副議長と新たに発生したニセ国王の圧力には堪えきれず、ジャルディアからの撤退を決意いたしました。
長い間のご愛顧に感謝いたします。
シャルD商会長 シャルロット・ジャルディ
==========
そして私たちはDCを中心に、全部の国と関係しながら発展していきます。
将来的な人口増加に備えて、今度は無人島を開発する事にします。
適度な環境にある、適度な大きさの島。
面積約6000平方キロメートルのその島は、熱帯性モンスーン気候の言葉通り南の島です。
まったくの無人島で、島の北側には活火山が存在するものの、それほど活性化はしておらず、温泉が存在しています。
年間の降水量も多く、島内には様々なフルーツが自生しています。
周囲はサンゴ礁に囲まれており、大型船が近づけない事も、人が入植しなかった理由だと思います。
「ねえ、あの島の中央にある山なんだけど、なんとダンジョンがあったのよ。」
「それって、手つかずのダンジョンだよね。」
私たちはその島をDI(ドラゴンアイランド)と名付け、開発に着手します。
水源も多く、作物も育てやすい環境ですが、台風に備える必要もあります。
山間部のDCと違い、温泉とビーチのあるリゾートとしても人気が高まります。
最初の100年で人口は4倍に増え、DCとDIを足すと2万人になります。
父のオスカー・ジャルディはDIで他界しました。
それでも80才まで生きて、満足して亡くなったのですから幸せだったのでしょう。
孫の顔は見せてあげられませんでしたが……。
そして、ルナとアキも適合者を見つけて融合しました。
もちろん、当人も合意のうえです。
そして私は200年を生きて人間としての寿命を迎えました。
それはあまりにも突然の事で、意識がブツリと途切れたのを覚えています。
【あとがき】
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次回より第三章、リズ・サーティ編です。
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