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第一章
第4話 気持ちよすぎると魔力回路が寸断されて喪失にいたるらしい
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面白いじゃないか。
魔力を失う直前に、これだけ派手な魔法を使えるんだ。
これが最後でも魔法兵として悔いはない。
『さい……ご?』
『……そうだよ。俺は君で射精し、魔力を失うんだ。その覚悟はできている。』
『ご主人さまに……なって……くれるんだ。』
『ご主人……さま?』
『うん。……わたしを……抱いてくれるっていうこと……だよね。』
『えっ!』
その瞬間、また心臓が跳ね上がり、苦しいほどに勃起……しなかった。
『まだダメ。……溜めておいて……ねっ。』
頭の中は妄想が猛り狂っているのに、欲情はおきなかった。
『これって……君が?』
『サキュバスだ……から。それに、君じゃ……イヤ。』
『なんて呼べばいい?』
『……リズ・サーティ。』
その瞬間の事を、どう表現したらいいのだろう。
彼女……リズの全てを受け入れた……一体になった感じがした。
俺も自分の名を伝えた。
『真名(マナ)を教えたのだから、リズはモッティー様のもの……。』
その言葉が大袈裟でないことを俺は理解した。
『モッティーは言いずらいからティーでいいよ。』
『ティーさま……。』
『さまも要らない。』
『ティー。』
『リズ。』
その瞬間に射精しなかったのが不思議に思えるほど、俺の心は輝いた。
『あっ……。』
『どうした?』
『封印が……解けちゃった……。』
『封印?』
『いいの……来て……。』
言葉の意味を理解した俺は、木の影から飛び出して一気にリズの元に飛んだ。
身体強化した脚力と、足に纏わせた風の瞬発力で、100m以上の距離を一瞬で跳躍したのだ。
リズの周りには、5人の女兵士が横たわっていた。
首の枷も外れ、全裸のリズがそこにいた。
「リズはきれいだ。」
「うれしい。」
リズの全身を覆っていた隈取が無くなっており、白く輝く裸身が眩しい。
腰まで伸びた銀色の髪と赤い唇。
俺たちは見つめあい、唇を重ねた。
5人の女兵士をどうやって倒したとか、どうでもよかった。
長いキスを終えた俺たちは、そのまま闇に包まれていく。
リズの胸にキスをして、そして迎えた射精の瞬間は快楽の極致といえた。
何度も、何度もリズの中で果てた俺は朝日の中でリズと笑いあっていた。
「リズ。もう離さない。」
「ティー……。」
「あれっ?」
「どうしたの?」
リズには剣士の衣類を脱がせて着させていた。
「魔力が……消えてないんだ。」
「何で消えるの?」
「だって、射精すると魔力は消えるって……。」
「うーん、だってティーの魔力回路はちゃんと構成できてるし、消えるはずないけど。」
「じゃあ、何で他の魔法使いは魔力が消えちゃうんだろう?」
「ティーも最初は魔力回路が不安定だったけど……。あっ、もしかして……。」
「なに?」
「ちょっと目を閉じてみて。」
「うん。」
「ここ……分かるかな?」
「うん。魔力回路の最初のところだね。」
「ちょっと刺激するよ。」
「あっ、気持ちいい。」
「やっぱりね。最初はここが線みたいに細かったの。」
「今は十分に魔力がとおるくらい太いけど?」
「うん。最初に魔力回路を再構築した時に、太くしておいたの。」
「もしかして、最初の射精の時に切れて塞がっちゃうってこと?」
「多分そうじゃないかと思うよ。」
どうやら俺の魔力は、リズのおかげで維持できたみたいだ。
「リズのおかげだね。ありがとう。」
「えへっ、どういたしまして。」
まあ、仮説に過ぎないかもしれないが、理屈はどうでもいい。
俺はリズに手伝ってもらいながら、系統にそって魔法を解明していく。
特に有効そうなのは、身体強化の延長線にあるシールドだった。
皮膚の表面を強化し、物理と魔法の耐性をあげる魔法だ。
そして精神系魔法の威圧も効果抜群だった。
山岳地帯に展開する敵の中隊を次々に屈服させてジャルディアの中隊に制圧させていく。
リズを縛っていた封印というのは、サキュバスが生まれた時から施されるものらしい。
生まれるといっても、親がいるわけではなく、強大な力を持った存在に作られたようだ。
だから、他にもサキュバスが存在するのか分からないし、俺の子を産めるのかも不明だ。
何のための封印なのか分からないが、少なくとも俺とリズに悪意はない。
なんとなく、そういうものなんだと勝手に解釈しておいた。
封印の解けたリズは、色々な魔法を編み出していった。
俺の魔法は、系統を辿って進化させるイメージなのだが、リズは思いついた魔法を突然実現してしまう。
特に便利なのは、空間に切れ目を作って、そこに物を収納しておく魔法だった。
アッシュ帝国の中隊を屈服させた際、敵部隊の保有する金品と武具は全て回収してリズ作った空間収納に保管しておく。
武器がなければ、ジャルディア王国軍が来ても反撃できないからだ。
まあ、金品は自分へのご褒美だ。
いくつかの敵中隊を屈服させた後、俺はモヤ砦に戻った。
休暇をとってから15日目。新月の晩に出発してから満月を迎えようとしていた。
「モーリア、中隊長は?」
「ああ、モッティー帰ったの……お前、何で女なんか連れてんだよ!」
「嫁をもらった。リズだ。」
「リズ・サーティーでございます。」
「モーリア・グリチフです……。」
「で、中隊長は?」
「まだ王都から戻ってねえよ。」
「王都か……馬車で7日かかるな……。」
早馬車で一日150kmくらい移動できる。
王都までは1000km離れているのだ。
この数日、移動方法について試行錯誤を重ねてきた。
3日前にはリズが空中浮遊魔法を開発し、二人で浮き上がったところを俺が足からの風魔法で押すという方法で、二人で飛行魔法を完成させていた。
だが、速度をあげると寒いのだ。
だから、馬車の2倍くらいの速度でしか飛べない。
「馬車で飛べば、あまり寒くないと思うけどどうかな?」
「そりゃあ馬車の中は風が入ってこないけどさ、御者のことを考えてないだろ。」
「あっ……。」
「だが待てよ……。馬車全体をシールドで覆って、風を防御することはできないかな。」
砦に馬車職人などいない。
俺は大工に頼んで長椅子二つを積み込んだ窓付きの箱を作ってもらった。
「こんなもの、何に使うんですか?」
「内緒だ。」
俺とリズは箱に乗り込み、まずシールドを展開する。
「よし、じゃあ、浮かせてくれ。」
「いくね。浮遊!」
「いいね。じゃ風魔法で押してみるよ。」
飛行箱は成功だった。
そのまま飛び続け、4時間ほどで王都に到着した俺たちは、そのまま馬車職人を訪ねて特注する。
「馬を固定しない車輪付きの箱を作って、何をするんですか?」
「魔法で動く馬車だよ。」
「あはは。冗談の好きな依頼主だ。まあ、お金さえもらえれば何だって作りますけどね。」
完成まで1週間かかると言われた。
その間に城を訪ねたのだが、城ではまだ対策会議が行われている。
スリネ部隊のリョカ中隊長との面会を申し込んだのだが、夜まで待たされていた。
その間に、服飾店に行ってリズのドレスを注文した。
濃紺ノースリーブのロングドレスで、深いスリットを入れてもらう。
あわせて白レースのショールと白のサンダルも作ってもらった。
ついでに、既成の紫のドレスを手直ししてもらって、こっちは着て帰る。
黒のサンダルをあわせて、髪も後ろで束ねてもらった。
「驚いたな。どこかの王女様みたいだよ。」
「こんな服を着られるなんて、夢みたい。」
「将来は辺境伯夫人なんだからね。慣れてもらわないと困るよ。」
「あら、それでしたらご主人さまのお洋服も作らせていただかないといけませんわね。」
俺まで採寸されてしまった。
まあ、12才で領地から出てきて、町を歩くなんて初めての事だし、まともな服さえ持っていないのでいい機会だった。
【あとがき】
射精による魔力喪失の仮説が出てきました。
魔力を失う直前に、これだけ派手な魔法を使えるんだ。
これが最後でも魔法兵として悔いはない。
『さい……ご?』
『……そうだよ。俺は君で射精し、魔力を失うんだ。その覚悟はできている。』
『ご主人さまに……なって……くれるんだ。』
『ご主人……さま?』
『うん。……わたしを……抱いてくれるっていうこと……だよね。』
『えっ!』
その瞬間、また心臓が跳ね上がり、苦しいほどに勃起……しなかった。
『まだダメ。……溜めておいて……ねっ。』
頭の中は妄想が猛り狂っているのに、欲情はおきなかった。
『これって……君が?』
『サキュバスだ……から。それに、君じゃ……イヤ。』
『なんて呼べばいい?』
『……リズ・サーティ。』
その瞬間の事を、どう表現したらいいのだろう。
彼女……リズの全てを受け入れた……一体になった感じがした。
俺も自分の名を伝えた。
『真名(マナ)を教えたのだから、リズはモッティー様のもの……。』
その言葉が大袈裟でないことを俺は理解した。
『モッティーは言いずらいからティーでいいよ。』
『ティーさま……。』
『さまも要らない。』
『ティー。』
『リズ。』
その瞬間に射精しなかったのが不思議に思えるほど、俺の心は輝いた。
『あっ……。』
『どうした?』
『封印が……解けちゃった……。』
『封印?』
『いいの……来て……。』
言葉の意味を理解した俺は、木の影から飛び出して一気にリズの元に飛んだ。
身体強化した脚力と、足に纏わせた風の瞬発力で、100m以上の距離を一瞬で跳躍したのだ。
リズの周りには、5人の女兵士が横たわっていた。
首の枷も外れ、全裸のリズがそこにいた。
「リズはきれいだ。」
「うれしい。」
リズの全身を覆っていた隈取が無くなっており、白く輝く裸身が眩しい。
腰まで伸びた銀色の髪と赤い唇。
俺たちは見つめあい、唇を重ねた。
5人の女兵士をどうやって倒したとか、どうでもよかった。
長いキスを終えた俺たちは、そのまま闇に包まれていく。
リズの胸にキスをして、そして迎えた射精の瞬間は快楽の極致といえた。
何度も、何度もリズの中で果てた俺は朝日の中でリズと笑いあっていた。
「リズ。もう離さない。」
「ティー……。」
「あれっ?」
「どうしたの?」
リズには剣士の衣類を脱がせて着させていた。
「魔力が……消えてないんだ。」
「何で消えるの?」
「だって、射精すると魔力は消えるって……。」
「うーん、だってティーの魔力回路はちゃんと構成できてるし、消えるはずないけど。」
「じゃあ、何で他の魔法使いは魔力が消えちゃうんだろう?」
「ティーも最初は魔力回路が不安定だったけど……。あっ、もしかして……。」
「なに?」
「ちょっと目を閉じてみて。」
「うん。」
「ここ……分かるかな?」
「うん。魔力回路の最初のところだね。」
「ちょっと刺激するよ。」
「あっ、気持ちいい。」
「やっぱりね。最初はここが線みたいに細かったの。」
「今は十分に魔力がとおるくらい太いけど?」
「うん。最初に魔力回路を再構築した時に、太くしておいたの。」
「もしかして、最初の射精の時に切れて塞がっちゃうってこと?」
「多分そうじゃないかと思うよ。」
どうやら俺の魔力は、リズのおかげで維持できたみたいだ。
「リズのおかげだね。ありがとう。」
「えへっ、どういたしまして。」
まあ、仮説に過ぎないかもしれないが、理屈はどうでもいい。
俺はリズに手伝ってもらいながら、系統にそって魔法を解明していく。
特に有効そうなのは、身体強化の延長線にあるシールドだった。
皮膚の表面を強化し、物理と魔法の耐性をあげる魔法だ。
そして精神系魔法の威圧も効果抜群だった。
山岳地帯に展開する敵の中隊を次々に屈服させてジャルディアの中隊に制圧させていく。
リズを縛っていた封印というのは、サキュバスが生まれた時から施されるものらしい。
生まれるといっても、親がいるわけではなく、強大な力を持った存在に作られたようだ。
だから、他にもサキュバスが存在するのか分からないし、俺の子を産めるのかも不明だ。
何のための封印なのか分からないが、少なくとも俺とリズに悪意はない。
なんとなく、そういうものなんだと勝手に解釈しておいた。
封印の解けたリズは、色々な魔法を編み出していった。
俺の魔法は、系統を辿って進化させるイメージなのだが、リズは思いついた魔法を突然実現してしまう。
特に便利なのは、空間に切れ目を作って、そこに物を収納しておく魔法だった。
アッシュ帝国の中隊を屈服させた際、敵部隊の保有する金品と武具は全て回収してリズ作った空間収納に保管しておく。
武器がなければ、ジャルディア王国軍が来ても反撃できないからだ。
まあ、金品は自分へのご褒美だ。
いくつかの敵中隊を屈服させた後、俺はモヤ砦に戻った。
休暇をとってから15日目。新月の晩に出発してから満月を迎えようとしていた。
「モーリア、中隊長は?」
「ああ、モッティー帰ったの……お前、何で女なんか連れてんだよ!」
「嫁をもらった。リズだ。」
「リズ・サーティーでございます。」
「モーリア・グリチフです……。」
「で、中隊長は?」
「まだ王都から戻ってねえよ。」
「王都か……馬車で7日かかるな……。」
早馬車で一日150kmくらい移動できる。
王都までは1000km離れているのだ。
この数日、移動方法について試行錯誤を重ねてきた。
3日前にはリズが空中浮遊魔法を開発し、二人で浮き上がったところを俺が足からの風魔法で押すという方法で、二人で飛行魔法を完成させていた。
だが、速度をあげると寒いのだ。
だから、馬車の2倍くらいの速度でしか飛べない。
「馬車で飛べば、あまり寒くないと思うけどどうかな?」
「そりゃあ馬車の中は風が入ってこないけどさ、御者のことを考えてないだろ。」
「あっ……。」
「だが待てよ……。馬車全体をシールドで覆って、風を防御することはできないかな。」
砦に馬車職人などいない。
俺は大工に頼んで長椅子二つを積み込んだ窓付きの箱を作ってもらった。
「こんなもの、何に使うんですか?」
「内緒だ。」
俺とリズは箱に乗り込み、まずシールドを展開する。
「よし、じゃあ、浮かせてくれ。」
「いくね。浮遊!」
「いいね。じゃ風魔法で押してみるよ。」
飛行箱は成功だった。
そのまま飛び続け、4時間ほどで王都に到着した俺たちは、そのまま馬車職人を訪ねて特注する。
「馬を固定しない車輪付きの箱を作って、何をするんですか?」
「魔法で動く馬車だよ。」
「あはは。冗談の好きな依頼主だ。まあ、お金さえもらえれば何だって作りますけどね。」
完成まで1週間かかると言われた。
その間に城を訪ねたのだが、城ではまだ対策会議が行われている。
スリネ部隊のリョカ中隊長との面会を申し込んだのだが、夜まで待たされていた。
その間に、服飾店に行ってリズのドレスを注文した。
濃紺ノースリーブのロングドレスで、深いスリットを入れてもらう。
あわせて白レースのショールと白のサンダルも作ってもらった。
ついでに、既成の紫のドレスを手直ししてもらって、こっちは着て帰る。
黒のサンダルをあわせて、髪も後ろで束ねてもらった。
「驚いたな。どこかの王女様みたいだよ。」
「こんな服を着られるなんて、夢みたい。」
「将来は辺境伯夫人なんだからね。慣れてもらわないと困るよ。」
「あら、それでしたらご主人さまのお洋服も作らせていただかないといけませんわね。」
俺まで採寸されてしまった。
まあ、12才で領地から出てきて、町を歩くなんて初めての事だし、まともな服さえ持っていないのでいい機会だった。
【あとがき】
射精による魔力喪失の仮説が出てきました。
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