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第二章

第19話 ついでにギルマスも飛んでみた

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「ったく、騒がしいやつだな!」
「そんなことを言ってる場合じゃないんですよ!」
「お前はいつだって大げさなんだよ。」
「そういうこと言ってると、奥さんにバラしますよ!」
「な、何をだ……、バラされて困るようなこと……。」
「めんどくさいな、シャキ始めていいよ。」
「はーい。」

「おい!なんだあれは!」
「私のリアクションが大げさだったのでしょうか?」
「いや、そんなことはどうでもいい。何がどうなっているんだ?」
「ですから、大変だと申し上げたではないですか!」

 この世界の文字で、”とぶ”と書いても正確には意味が伝わらない。
 ”ちゅうをとぶ”もしくは”そらをとぶ”と書いてやっと意味が伝わるんです。
 限られた魔法陣の中で、正確に表現するとなると、どうしても小さな事象の改変しかできなくなってしまいます。
 これに対して、漢字で”飛”と表現して、付随する動作や制御を漢字で示すことは効果的な表現が可能となっています。
 ”時速〇〇km”とか、絶対的な表現も効果的なのでしょう。
 私の書く魔法陣は、これら複合的な知識があわさって初めて成立しているのです。

「お、俺が乗っても大丈夫なのか?」
 私は簡単な操作方法を伝え、ギルマスにのってもらいます。
 戻ってきたギルマスは、子供のように瞳をキラキラさせていました。
「一番早い速度で、王都までどれくらいかかるんだ?」
「そうですね、30分くらいでしょうか。」
「リン!プロフェッサーに緊急発注だ。10台!最優先で依頼してくれ!」
「このままの仕様でいいんですか?」
「そうだな……、折り畳みの機能は要らないから、座るところをつけてくれ。」
「価格は?」
「んー、販売権込みで金貨500枚だ。」

 販売権というのは、この魔道具に関する売買の権利を、すべてギルドに委ねることです。
 当然、魔法陣1基作成する毎の手数料は別になります。
 その辺の詳細は、別途契約書を交わすのですが、今回は込々の金額ということになります。

 このデモンストレーションは、屋外で行いました関係で、多くの人が目撃していました。
 当然ですが、ギルドの窓口に商人からの問い合わせが殺到したそうです。
 金貨50枚でいいから、早く販売してほしいと……。
 私の優先度合込みで、リンの業務はパンクしそうだと文句を言われましたが、それはギルド内で解決してください。

 タングステンのペンを使って、鉄の板に魔方陣を書くのは意外と簡単で、一日に20基くらいは可能です。
 でも、道具屋のおじさんはそうもいかず、キックボードは一日3台くらいが限度みたいです。
 ギルドとしては生産性をあげるため、この道具屋さんに介入して作業員を増やしてもらい、工房も緊急で増築してしまいました。

「ふう。お前さんのおかげで、急に忙しくなってしまったわい。」
「ご迷惑をおかけしてごめんなさい……。」
「いやいや、嬉しい悲鳴ってところじゃよ。」
「ホントですか?」
「ああ。しがない道具屋のオヤジが、こんな立派な工房主になれたんじゃからな。」
「えへへ、よかったです。」

 パーティーメンバー用の3台は、先に作ってもらえましたので、アイリスに渡してきました。
 それと、自宅に一台とギルドに見本用として1台おいてきました。

「本当に私たちで使ってもよろしいのですか?」
「だって、買い物とか大変でしょ。」
「そうですけど、こんな高価な魔道具を……。」
「手が空いたら、荷台付きのものを作るから、それまでは我慢してくださいね。」

 チーフのセリカさんだけでなく、カレンさんも調理担当のマリーさんも喜んでくれました。

【あとがき】
 うーっ、書きたかったストーリーにたどりつけません……。
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