上 下
32 / 125
第3章 魔草マンドラゴラ編

地獄の31丁目 効能50時間?/ボックス内の変化①

しおりを挟む
 真面目一筋(現在股間に難あり)な俺は、人の不幸をゲラゲラ喜んだり、イライラ不快感を示したり、ニヤニヤ好奇の目で見たりしている悪魔どもをほっぽってマツの華目羅を頼りに、今回の成果を確認しに行った。

「ダン、マツ、マー。地獄から帰ってきて疲れてるだろうに悪いね」

「キーチローと一緒で元気だぞ」
「あら、そういう事も言えたのね、キーチローって」
「元気! 元気! うおおおお!」

 ダママ達も(たった一日半ほどだが)地獄の旅を経て、それなりに成長したようだ。マツが少しませた口を聞いているのが気になるが。

「じゃあ、暫定フィールドの1番から順番に周ってみてくれる?」
「おっけー!」

 マツの視線を調整しつつ、魔王様との会話の記憶を頼りに簡単なメモを取っていった。種族の名前や性別など。

 それが終わると、別にダママだけなら気にする必要も無いかと思い、お礼の意味を込めてダママに買い置きのクッキーを差し入れた。お腹が空いていたらしく凄まじい喜びようだった。
 
 作業が終わるころには夕方になっていたが、外にも出ることも誰に会う事も出来ないので、俺はカップラーメンをすすりながらアルカディア・ボックス内の簡単な見取り図と、生物一覧を作成することにした。

 特にまず、生物を平野エリア、森林エリアに分けて分類することから始めた。これによって住み分けを作り、生態に応じた区画整備を行うためだ。我ながら気合の入った作業に、魔王様からのお褒めの言葉を期待した。

 ……マズイ。俺の待遇はいまリアルに“褒めてつかわす”状態なことに気が付いた。ダママじゃあるまいし、褒められて喜んでいるようでは永遠に手下Aだぞ、俺! 何かしらの対価をもらわないとスカウトした人たちを騙していることになるしな。

 ともあれ、まずは生物を一覧にしよう。情報を後から書き足して分類はその後だな。えーと、まず……。

【ヘルワーム】
カブタン・・・オス
カブ吉・・・オス
カブ子・・・メス

【ケルベロス】
ダン、マツ、マー
……たぶん、オスでいいはず

【ヘルアント】
夫婦他約20匹
備考・・・名前なし

【ヘルコンドル】
オス? 一匹。
備考・・・名前なし。

【ラタトスク】
栗鼠《リス》。オス?
備考・・・名前なし。

【ヘルローズ】
植物。動かない。毒有。
名前……付けるのかな?

【ドラクラ・シミア】
植物。動かない。人間界のものと違い、幻覚作用有。
同上

【ヒクイドリ】
夫婦。気の毒な身の上。
備考・・・名前なし。

【トレント】
ウッディー
魔樹。元気に動く。多分オス。

【キラービー】
ラビィ
危険な蜂。オス。

【アルミラージ】
モコモフうさたん。角あり。
備考・・・名前なし

【マンドラゴラ】
(故)の他に二株。全部オス。
備考・・・名前なし

【アルラウネ】
二株。全部メス。
備考・・・名前なし

 ……ふぅ。とりあえず手持ちのノートPCとエクセルを駆使してまとめてみたが今回の地獄旅で結構な数を捕まえてたな。

 ていうかなんだろう、このエクセルを使っていると湧きあがってくる“仕事してます感”は。すごい自分が出来る人に感じられてしまう。実際、ワードの代替の様な使い方をしている時点で、から言わせると二流なんだろうが。

 で、現在の情報でまとめると平地組は……、
【ケルベロス】【ヘルコンドル】【ヒクイドリ】【ラタトスク】

 森林組は……、
【アルミラージ】【キラービー】【トレント】【マンドラゴラ】【アルラウネ】

 なんとなく捕獲地の様子で分けてみたがどっちでも良さそうなのが、
【ヘルアント】【ヘルローズ】【ドラクラ・シミア】

 この辺は本人たちの希望も取ってみるか。花や草は魔王様が花壇で育てる可能性もある。もういよいよガーデニングをたしなむ主婦みたいになってくるが。

 後はエサ、か……。正直、ダママにあげてる食パンもベルと折半しちゃいるが新卒の社会人一年生には割とキツイ出費だ。逆に一番コストが低いのはヒクイドリ(ダジャレではない)か。地獄の炎は消えない説を信じるならば、だが。まあ、地獄の魔王が言うならば信じるもクソもないか。

 その他の生き物は正直ノリで捕まえていた部分もあって、生態がよくわからない。本人達へのヒアリングとキャラウェイさんの合流を待つ感じかな。


 …………。


 編集作業や夕食、ちょっと飽きた時にはテレビを見て過ごしたり、色々やって深夜だというのに全く眠くならない。むしろ、何かおかしな境地に到達しそうな変なテンションになりつつある。マンドラゴラの作用か、地獄からの帰還によるハイ状態だろうか。もうこうなったら、メモを頼りにそれぞれの生物を掘り下げていくぞ!

日曜の深夜だろうが関係ねぇ! 俺はどーせ月曜日も出社停止だ! 上司の指示だから問題ねぇ! 文句があるやつはかかってきやがれ! ふおおおおおおっっ!

【ヘルワーム】
カブタン・・・オス
カブ吉・・・オス
カブ子・・・メス

芋虫に角が生えたような見た目。色は背面が赤で腹、足は黒い。背中に緑色のまだら模様がついている。
キャラクターとしては関西弁が印象的。カブタンは特に荒い言葉遣い。
エサは雑食性だが、特に腐肉を好む。
通称、地獄の掃除屋。
俺的には今回の騒動の発端であり、地獄の入り口とでも言うべき存在か。

【ケルベロス】
ダン、マツ、マー
……たぶん、オスでいいはず。

黒くてツヤツヤした毛並み。まだ少しモフれる。ほっぺと耳が垂れていて特にほっぺはプニプニ触感。牙に毒あり。
ダンは素直でいい子。マツはちょっとおませなお姉さん。マーは単純熱血に見えるが意外と考えて言葉を発する事も多い。
エサは麦系全般。パンやクッキーなどを好む。
通称、地獄の門番。
今回の道中ではお世話になりました。いい意味でも悪い意味でも。

【ヘルアント】
夫婦他約20匹
備考・・・名前なし

巨大なアリだ。巨大な牙を持ち、虫から動物まで、襲って食べる。
元ヤン夫婦らしいから、順次キラキラした名前でも付けて行こうか。ただ、数が多すぎるので、最悪名付けは夫婦だけでもよさそうだ。
通称、地獄の黒ジャージ。
地獄に送り返す可能性もアリ(ダジャレではない)。

【ヘルコンドル】
オス? 一匹。
備考・・・名前なし。
木の枝につかまっているところを捕獲。捕まえた後でわかったことだが割と陽気な奴だ。頭と首に毛が無く、翼を広げると3~4mはありそう。人間界のコンドルと違って鉤爪はかなり危険な長さである。
主なエサは動物の死肉。ヘルワームと取り合いになるかもしれない。
通称、地獄のデスハンター。
繁殖に期待。

【ラタトスク】
栗鼠《リス》。オス?
備考・・・名前なし。
リスに一本角が生え
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

邪神降臨~言い伝えの最凶の邪神が現れたので世界は終わり。え、その邪神俺なの…?~

きょろ
ファンタジー
村が魔物に襲われ、戦闘力“1”の主人公は最下級のゴブリンに殴られ死亡した。 しかし、地獄で最強の「氣」をマスターした彼は、地獄より現世へと復活。 地獄での十万年の修行は現世での僅か十秒程度。 晴れて伝説の“最凶の邪神”として復活した主人公は、唯一無二の「氣」の力で世界を収める――。

蟲籠の島 夢幻の海 〜これは、白銀の血族が滅ぶまでの物語〜

二階堂まりい
ファンタジー
 メソポタミア辺りのオリエント神話がモチーフの、ダークな異能バトルものローファンタジーです。以下あらすじ  超能力を持つ男子高校生、鎮神は独自の信仰を持つ二ツ河島へ連れて来られて自身のの父方が二ツ河島の信仰を統べる一族であったことを知らされる。そして鎮神は、異母姉(兄?)にあたる両性具有の美形、宇津僚真祈に結婚を迫られて島に拘束される。  同時期に、島と関わりがある赤い瞳の青年、赤松深夜美は、二ツ河島の信仰に興味を持ったと言って宇津僚家のハウスキーパーとして住み込みで働き始める。しかし彼も能力を秘めており、暗躍を始める。

4層世界の最下層、魔物の森で生き残る~生存率0.1%未満の試練~

TOYA
ファンタジー
~完結済み~ 「この世界のルールはとても残酷だ。10歳の洗礼の試練は避ける事が出来ないんだ」 この世界で大人になるには、10歳で必ず発生する洗礼の試練で生き残らなければならない。 その試練はこの世界の最下層、魔物の巣窟にたった一人で放り出される残酷な内容だった。 生存率は1%未満。大勢の子供たちは成す術も無く魔物に食い殺されて行く中、 生き延び、帰還する為の魔法を覚えなければならない。 だが……魔法には帰還する為の魔法の更に先が存在した。 それに気がついた主人公、ロフルはその先の魔法を習得すべく 帰還せず魔物の巣窟に残り、奮闘する。 いずれ同じこの地獄へと落ちてくる、妹弟を救うために。 ※あらすじは第一章の内容です。 ――― 本作品は小説家になろう様 カクヨム様でも連載しております。

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

追放された最弱ハンター、最強を目指して本気出す〜実は【伝説の魔獣王】と魔法で【融合】してるので無双はじめたら、元仲間が落ちぶれていきました〜

里海慧
ファンタジー
「カイト、お前さぁ、もういらないわ」  魔力がほぼない最低ランクの最弱ハンターと罵られ、パーティーから追放されてしまったカイト。  実は、唯一使えた魔法で伝説の魔獣王リュカオンと融合していた。カイトの実力はSSSランクだったが、魔獣王と融合してると言っても信じてもらえなくて、サポートに徹していたのだ。  追放の際のあまりにもひどい仕打ちに吹っ切れたカイトは、これからは誰にも何も奪われないように、最強のハンターになると決意する。  魔獣を討伐しまくり、様々な人たちから認められていくカイト。  途中で追放されたり、裏切られたり、そんな同じ境遇の者が仲間になって、ハンターライフをより満喫していた。  一方、カイトを追放したミリオンたちは、Sランクパーティーの座からあっという間に転げ落ちていき、最後には盛大に自滅してゆくのだった。 ※ヒロインの登場は遅めです。

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

処理中です...