3 / 116
2
しおりを挟む
その日の夜、檻のある部屋へと何者かの気配が近付いて来る。
扉がガチャガチャッと鳴り、檻にいた女性達は一斉に扉へと目を向ける。その目には少しの希望と期待。
だがそれは、扉が開いた後入ってきた二人を見て、絶望へと落とされる。
そこにいたのは一人の少女と人拐いの一人である男。カルラ達に食事を運んでくる世話係りだ。
世話係りといっても食事の食器を持ち運びするだけで、他は怯える女性達を眺め、ニヤニヤと下世話な視線を年頃の女性に向けるだけ。
彼等にとって、女性は商品だ。下手に手を出し怪我をさせようものなら商品の価値が下がる。
中には散々手を出した後、客に売り付ける売人もいるが、ここの連中は金儲けに力を入れているのだろう。今の所、手を出された女性はいない。
「良かったな。もう一人仲間が増えたぞ」
扉が外から閉まってから男が檻へと近付く。
この男を何とか倒した所で外には出られない。出れたとしても、外にこの男の仲間が何人もいる為、直ぐに捕まって終わりだ。それが分かっているから檻が開けられても誰も動こうとしない。
檻の中へと少女が入れられる。少女は俯き、前髪で顔は見えないが、存在感は強い。
「精々慰めあって祈ってろ。良い買い手に買われますようにってな」
男は檻に鍵を掛け、扉へと向かう。
「明日は宴だ。豪勢な食事を持ってきてやる。よぉく味わって食べな。それが最後の食事になるかも知れないからな」
男は持っていた鍵で扉を開けると外に出る。ガチャリッと鍵の掛かる音を残して。
「そんな所に立ってないで、こっちにおいで」
カルラが先程檻に入れられた少女へと声を掛ける。
その時、少女が顔を上げ目が合った。その顔は、超絶美少女と言っても良い程だ。
だが、その顔には何の感情も表れていない。
(おぉ~。すっごい美少女。可愛い子だなぁ)
思わず頬が緩むカルラ。そんなカルラをじっと見てから、カルラへと静かに近寄る美少女。
その髪はカルラのようなストレートではなくウェーブ掛かり、色は多分黒なのだろう、色白の肌が引き立つ。
元々薄暗い部屋なのと夜という事もあり、少女の瞳の色がはっきり判別出来ないが、黒ではないように思える。
カルラの髪は背中の中程まであり、その髪を頭の高い位置で一つに纏めているが、少女の髪はもっと長く、足の付け根辺りまで伸びており、そのまま括らず降ろしてる状態だ。
扉がガチャガチャッと鳴り、檻にいた女性達は一斉に扉へと目を向ける。その目には少しの希望と期待。
だがそれは、扉が開いた後入ってきた二人を見て、絶望へと落とされる。
そこにいたのは一人の少女と人拐いの一人である男。カルラ達に食事を運んでくる世話係りだ。
世話係りといっても食事の食器を持ち運びするだけで、他は怯える女性達を眺め、ニヤニヤと下世話な視線を年頃の女性に向けるだけ。
彼等にとって、女性は商品だ。下手に手を出し怪我をさせようものなら商品の価値が下がる。
中には散々手を出した後、客に売り付ける売人もいるが、ここの連中は金儲けに力を入れているのだろう。今の所、手を出された女性はいない。
「良かったな。もう一人仲間が増えたぞ」
扉が外から閉まってから男が檻へと近付く。
この男を何とか倒した所で外には出られない。出れたとしても、外にこの男の仲間が何人もいる為、直ぐに捕まって終わりだ。それが分かっているから檻が開けられても誰も動こうとしない。
檻の中へと少女が入れられる。少女は俯き、前髪で顔は見えないが、存在感は強い。
「精々慰めあって祈ってろ。良い買い手に買われますようにってな」
男は檻に鍵を掛け、扉へと向かう。
「明日は宴だ。豪勢な食事を持ってきてやる。よぉく味わって食べな。それが最後の食事になるかも知れないからな」
男は持っていた鍵で扉を開けると外に出る。ガチャリッと鍵の掛かる音を残して。
「そんな所に立ってないで、こっちにおいで」
カルラが先程檻に入れられた少女へと声を掛ける。
その時、少女が顔を上げ目が合った。その顔は、超絶美少女と言っても良い程だ。
だが、その顔には何の感情も表れていない。
(おぉ~。すっごい美少女。可愛い子だなぁ)
思わず頬が緩むカルラ。そんなカルラをじっと見てから、カルラへと静かに近寄る美少女。
その髪はカルラのようなストレートではなくウェーブ掛かり、色は多分黒なのだろう、色白の肌が引き立つ。
元々薄暗い部屋なのと夜という事もあり、少女の瞳の色がはっきり判別出来ないが、黒ではないように思える。
カルラの髪は背中の中程まであり、その髪を頭の高い位置で一つに纏めているが、少女の髪はもっと長く、足の付け根辺りまで伸びており、そのまま括らず降ろしてる状態だ。
0
お気に入りに追加
132
あなたにおすすめの小説
俺と幼女とエクスカリバー
鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。
見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。
最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!?
しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!?
剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕
冷酷魔法騎士と見習い学士
枝浬菰
ファンタジー
一人の少年がドラゴンを従え国では最少年でトップクラスになった。
ドラゴンは決して人には馴れないと伝えられていて、住処は「絶海」と呼ばれる無の世界にあった。
だが、周りからの視線は冷たく貴族は彼のことを認めなかった。
それからも国を救うが称賛の声は上がらずいまや冷酷魔法騎士と呼ばれるようになってしまった。
そんなある日、女神のお遊びで冷酷魔法騎士は少女の姿になってしまった。
そんな姿を皆はどう感じるのか…。
そして暗黒世界との闘いの終末は訪れるのか…。
※こちらの内容はpixiv、フォレストページにて展開している小説になります。
画像の二次加工、保存はご遠慮ください。
男装の皇族姫
shishamo346
ファンタジー
辺境の食糧庫と呼ばれる領地の領主の息子として誕生したアーサーは、実の父、平民の義母、腹違いの義兄と義妹に嫌われていた。
領地では、妖精憑きを嫌う文化があるため、妖精憑きに愛されるアーサーは、領地民からも嫌われていた。
しかし、領地の借金返済のために、アーサーの母は持参金をもって嫁ぎ、アーサーを次期領主とすることを母の生家である男爵家と契約で約束させられていた。
だが、誕生したアーサーは女の子であった。帝国では、跡継ぎは男のみ。そのため、アーサーは男として育てられた。
そして、十年に一度、王都で行われる舞踏会で、アーサーの復讐劇が始まることとなる。
なろうで妖精憑きシリーズの一つとして書いていたものをこちらで投稿しました。
【完結】暁の荒野
Lesewolf
ファンタジー
少女は、実姉のように慕うレイスに戦闘を習い、普通ではない集団で普通ではない生活を送っていた。
いつしか周囲は朱から白銀染まった。
西暦1950年、大戦後の混乱が続く世界。
スイスの旧都市シュタイン・アム・ラインで、フローリストの見習いとして忙しい日々を送っている赤毛の女性マリア。
謎が多くも頼りになる女性、ティニアに感謝しつつ、懸命に生きようとする人々と関わっていく。その様を穏やかだと感じれば感じるほど、かつての少女マリアは普通ではない自問自答を始めてしまうのだ。
Nolaノベル様、アルファポリス様にて投稿しております。執筆はNola(エディタツール)です。
Nolaノベル様、カクヨム様、アルファポリス様の順番で投稿しております。
キャラクターイラスト:はちれお様
=====
別で投稿している「暁の草原」と連動しています。
どちらから読んでいただいても、どちらかだけ読んでいただいても、問題ないように書く予定でおります。読むかどうかはお任せですので、おいて行かれているキャラクターの気持ちを知りたい方はどちらかだけ読んでもらえたらいいかなと思います。
面倒な方は「暁の荒野」からどうぞ!
※「暁の草原」、「暁の荒野」共に残酷描写がございます。ご注意ください。
=====
この物語はフィクションであり、実在の人物、国、団体等とは関係ありません。
魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~
月見酒
ファンタジー
俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。
そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。
しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。
「ここはどこだよ!」
夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。
あげくにステータスを見ると魔力は皆無。
仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。
「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」
それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?
それから五年後。
どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。
魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!
見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる!
「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」
================================
月見酒です。
正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。
護国の鳥
凪子
ファンタジー
異世界×士官学校×サスペンス!!
サイクロイド士官学校はエスペラント帝国北西にある、国内最高峰の名門校である。
周囲を海に囲われた孤島を学び舎とするのは、十五歳の選りすぐりの少年達だった。
首席の問題児と呼ばれる美貌の少年ルート、天真爛漫で無邪気な子供フィン、軽薄で余裕綽々のレッド、大貴族の令息ユリシス。
同じ班に編成された彼らは、教官のルベリエや医務官のラグランジュ達と共に、士官候補生としての苛酷な訓練生活を送っていた。
外の世界から厳重に隔離され、治外法権下に置かれているサイクロイドでは、生徒の死すら明るみに出ることはない。
ある日同級生の突然死を目の当たりにし、ユリシスは不審を抱く。
校内に潜む闇と秘められた事実に近づいた四人は、否応なしに事件に巻き込まれていく……!
境界線のモノクローム
常葉㮈枯
ファンタジー
世界は、白と黒に分たれている。
それぞれ文化が独立した、数多の世界を包括する"白の世界"。
混沌とした荒廃と、砕けた鏡の大地が何処までも続く"黒の世界"。
白の世界に生きる者達が抱えた負の感情は、黒の世界で新たに生を受ける。生まれた命はやがて"鏡像"と呼ばれた。
白の世界の者達は、ヒトの心の汚い部分から生まれた"偽物"の鏡像を忌み嫌う。
鏡像はそんな"本物"達と白の世界そのものを怨望し、羨望し、渇望し、鏡を通して白と黒の境界を超えてヒトを喰らう。
白の世界を守る種族・守護者として生を受けたシリスとヴェルの双子の姉弟は、見習いとしての最終任務を命じられた。
外の世界での簡単な視察任務。それを終えて、初めて見習いは正式に守護者を名乗ることができる。
任じられたのは平和な街。
鏡像はまだ少なく、ヒト同士の争いもない。未熟な見習いには格好の任地。
期限は3日。
快活だが、向こう見ずで体が先に動く姉。
横着だが、勘が良く機転の効く弟。
お互いを補い合うことは誰よりも自信がある。
だからきっと、今回の任務も大きなトラブルもなく終わりを迎える
はず、だった───。
*カクヨム、なろう、ノベプラでも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる