102 / 116
97
しおりを挟む
女達の話し合いにうんざりしたカルラは、毎回これに付き合っているのかと、呆れた目で三人を見る。例によって、エンヤは本気で嫌そうな顔をしてはいるが、止めようとする素振りは無い。
(そんなに嫌なら対策立てれば良いでしょうが。私の今の身長じゃあ見えないけど、近くにいる男性に声を掛けてその人に案内して貰うとか……。別に彼女達でなきゃいけない訳でも無いってのに……)
カルラとしては、何故そんな事すら分からないのかと呆れるばかりだ。
とは言え、カルラが突っ込めば、確実にカルラが敵意を向けられる事は間違いない為、馬鹿らしいと思いながらも、付き合わなければならないカルラにとっては苦痛の時間だ。
漸く話し合いが終わったのか、十人程の女性達に連行される形で、ヘルドさんと呼ばれるお宅に訪問する事になる。
交渉は彼女達に任せて置くことにしたカルラ。投げ遣りと言っても良いだろう。何せ、話し合いに一時間近くを要したのだから。
「何日でも使って良いそうですよ!何なら住み着いちゃって下さいよ♥」
「急ぐ旅だから一日だけで結構です」
後ろからカルラが言えば、睨まれる。
周囲も光りが消えているし、魅了の効力は既に無い。
「貴女には聞いて無いわ。ねぇ、少しぐらい良いじゃないですか」
「お嬢が言ったように、急ぐ旅だから、ごめんね」
「そうなんですかぁ?残念です~」
「じゃあ、もう少しお話しさせて下さ~い!折角知り合えたんだし、これも何かの縁ですよ!」
(帰れ!もしくは、その鬼門共を連れて外で話せ!!私は興味無いから、好きなだけ話して構わないけど、私やティファを巻き込むんじゃないわよ!余所でやれ余所で!!)
キャイキャイと煩過ぎて、カルラは苛立ちが募る。
これが今後続くと考えるだけで、頭が痛い。今の内にこっそりと姿を眩ました方が良いのではないかと思うものの、ティファの事を考えるとそうもいかない。
(こんな時ぐらい、私に突っ掛かるように、この煩い女達に文句を言いなさいよ!!この腰抜け!)
思わずエンヤを後ろから睨み付け、もう一度カルラが声を掛ける。今度は怒りを乗せて。
「頭が痛いから、薬を飲んで寝たいの。煩くするなら出ていって。もしくは、今から村を出て野宿するわ。別にあたし一人が出て行っても良いわよ?あたしは元々この三人と旅がしたくてしている訳じゃないの。あたしがいなくて困るのはその三人の方だから」
「「「なっ?!!」」」
「帰って貰うから!お嬢は大事な同行人で、居なくなられたら困るからね!!そう言う事だから帰って貰えるかな?!彼女には、ただでさえ無理を言って同行して貰ってる状態なんだから、これ以上機嫌を損ねたく無いんだよ!ただでさえ僕達は嫌われてるのに、悪化させないでくれる?」
「誰もがこの、残念美形を狙ってるなんて思わないでよね。こんな疫病神、いつでもくれてやるわよ!!」
「お嬢、酷い!」
「煩い、このポンコツ美形共!!彼女達の相手をしたいなら外でやれ!」
カルラは女性達に、子供と思えぬ怒気と威圧感を与えて、ビビらせてやった。
(そんなに嫌なら対策立てれば良いでしょうが。私の今の身長じゃあ見えないけど、近くにいる男性に声を掛けてその人に案内して貰うとか……。別に彼女達でなきゃいけない訳でも無いってのに……)
カルラとしては、何故そんな事すら分からないのかと呆れるばかりだ。
とは言え、カルラが突っ込めば、確実にカルラが敵意を向けられる事は間違いない為、馬鹿らしいと思いながらも、付き合わなければならないカルラにとっては苦痛の時間だ。
漸く話し合いが終わったのか、十人程の女性達に連行される形で、ヘルドさんと呼ばれるお宅に訪問する事になる。
交渉は彼女達に任せて置くことにしたカルラ。投げ遣りと言っても良いだろう。何せ、話し合いに一時間近くを要したのだから。
「何日でも使って良いそうですよ!何なら住み着いちゃって下さいよ♥」
「急ぐ旅だから一日だけで結構です」
後ろからカルラが言えば、睨まれる。
周囲も光りが消えているし、魅了の効力は既に無い。
「貴女には聞いて無いわ。ねぇ、少しぐらい良いじゃないですか」
「お嬢が言ったように、急ぐ旅だから、ごめんね」
「そうなんですかぁ?残念です~」
「じゃあ、もう少しお話しさせて下さ~い!折角知り合えたんだし、これも何かの縁ですよ!」
(帰れ!もしくは、その鬼門共を連れて外で話せ!!私は興味無いから、好きなだけ話して構わないけど、私やティファを巻き込むんじゃないわよ!余所でやれ余所で!!)
キャイキャイと煩過ぎて、カルラは苛立ちが募る。
これが今後続くと考えるだけで、頭が痛い。今の内にこっそりと姿を眩ました方が良いのではないかと思うものの、ティファの事を考えるとそうもいかない。
(こんな時ぐらい、私に突っ掛かるように、この煩い女達に文句を言いなさいよ!!この腰抜け!)
思わずエンヤを後ろから睨み付け、もう一度カルラが声を掛ける。今度は怒りを乗せて。
「頭が痛いから、薬を飲んで寝たいの。煩くするなら出ていって。もしくは、今から村を出て野宿するわ。別にあたし一人が出て行っても良いわよ?あたしは元々この三人と旅がしたくてしている訳じゃないの。あたしがいなくて困るのはその三人の方だから」
「「「なっ?!!」」」
「帰って貰うから!お嬢は大事な同行人で、居なくなられたら困るからね!!そう言う事だから帰って貰えるかな?!彼女には、ただでさえ無理を言って同行して貰ってる状態なんだから、これ以上機嫌を損ねたく無いんだよ!ただでさえ僕達は嫌われてるのに、悪化させないでくれる?」
「誰もがこの、残念美形を狙ってるなんて思わないでよね。こんな疫病神、いつでもくれてやるわよ!!」
「お嬢、酷い!」
「煩い、このポンコツ美形共!!彼女達の相手をしたいなら外でやれ!」
カルラは女性達に、子供と思えぬ怒気と威圧感を与えて、ビビらせてやった。
0
お気に入りに追加
132
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
幼い頃に魔境に捨てたくせに、今更戻れと言われて戻るはずがないでしょ!
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
ニルラル公爵の令嬢カチュアは、僅か3才の時に大魔境に捨てられた。ニルラル公爵を誑かした悪女、ビエンナの仕業だった。普通なら獣に喰われて死にはずなのだが、カチュアは大陸一の強国ミルバル皇国の次期聖女で、聖獣に護られ生きていた。一方の皇国では、次期聖女を見つけることができず、当代の聖女も役目の負担で病み衰え、次期聖女発見に皇国の存亡がかかっていた。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
今夜で忘れる。
豆狸
恋愛
「……今夜で忘れます」
そう言って、私はジョアキン殿下を見つめました。
黄金の髪に緑色の瞳、鼻筋の通った端正な顔を持つ、我がソアレス王国の第二王子。大陸最大の図書館がそびえる学術都市として名高いソアレスの王都にある大学を卒業するまでは、侯爵令嬢の私の婚約者だった方です。
今はお互いに別の方と婚約しています。
「忘れると誓います。ですから、幼いころからの想いに決着をつけるため、どうか私にジョアキン殿下との一夜をくださいませ」
なろう様でも公開中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる