出会いと別れと復讐と

カザハナ

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累計50000ポイント突破記念♪ ~守護者達とティファの過去~

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 これはティファが、生まれ育った、とある街に住んでいた頃の話である。

 ティファはその日、三つになり、公募で集めた守護者候補と会う事になっていた。

 それまでは、同じ真眼持ちである母の守護者達が、ティファの母と共に守っていてくれていたのだが、これからもずっと一緒とはいかない為、ティファ専用の守護者を募る必要があった。

 採用条件はただ一つ、ティファに選ばれる事。

 ティファは幼くとも真眼持ちだ。自身に必要な能力者や、利用しようとする者の見分けぐらいは簡単に出来る。その為、集められた能力者はティファの前へと連れて来られた。

 団体を数回に分け、ティファは別室でその者達を確認する。そこで選んだのはザアイとヒューリーだけだった。


「先見と魅了、嘘かどうかの区別が出来る目視、ね。ティファーラ様が選んだのは、この二人だけ……か。だが、どちらも、相性の悪い能力者相手だと、大した能力を発揮出来ないんじゃないか?」

「そうは言っても、他の候補者は選ばれなかったんだから入れる事は出来ないぞ。そんな事をすれば、選定の意味はないし、金や自分の命を優先する者達を入れてしまう恐れがある。他所よそで愛し子が選んでいない守護者を入れて、選ばれた守護者を殺害した上で余所ほかの街や国に売った者もいると聞く。ティファーラ様が選んだ者以外を入れるのは危険だ」

「……そう言えば何年も前に、魔力が桁外れに強く、危険な能力を持つ奴がいなかったか?子供ながらに広範囲を破壊し、街の結界諸とも一部を消滅させた為に、魔力封じの腕輪を付けられ、牢内に隔離監禁されたって奴だ」

「ああ、いたな。エンヤ、だったか?」

「街の強固な結界を壊し、危険視されて罪人扱い。そんな奴が選ばれると思うか?」

「分からん。だが、試して見る価値はあると思うぞ。敵に回れば恐ろしいが、守護者であればこれ程頼もしい者はいないだろう。ティファーラ様をお連れして、選定に掛ければ分かる事だ」

 こうしてティファはエンヤと出会い、ティファはエンヤを守護者に選んだ。

 一生牢の中で過ごす事を余儀なくされて、外に出る事すら諦め、感情を無くしているような状態のエンヤに差し出された小さな手。

 彼にとっては恩人であり、生きる目標となった小さな女の子。

 数年後、遠視だけでなく高い癒し能力もあるティファを狙ったのだろう街の襲撃に、ザアイが能力で直前に予見し、大規模な襲撃情報と避難を呼び掛け、ティファを連れて守護者達と街を出て、その後、長い放浪生活を送る事を彼等はまだ知らない。



*****

 ※沢山の累計ポイント、いつも有難う御座います~♪ヴィートの時にコメント書き忘れてました!ごめんなさい!!

 今回、ティファ達のと言うより、エンヤの過去を少し出してみました。因みにエンヤは子供の頃に魔力で街を破壊した事は覚えてますが、その切っ掛けである部分は覚えてません。多分、酔っぱらいかチンピラ等に絡まれ、殺され掛けた為に能力発動させたんだろうけど、自分の破壊能力の強さの方が印象強過ぎて茫然自失状態で捕まり、牢屋行きに。だからこそ、他の守護者達よりティファに対する思いが強いようです。

 最近台風が多いですね。皆様に被害が無いよう祈ってます。
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