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累計25000ポイント突破記念♪感謝のSS ~祈りと願いの玉飾り~
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「カルラは俺の唯一だ。何が何でも捜し出す」
カルラの生存を信じる男、ヴィヴィアリートセインズは、カルラとカルラの弟のヒースが兄と慕い、カルラが唯一心を許せる美形の男だ。
ヴィヴィアリートセインズ……ヴィートがカルラと初めて出会ったのは、カルラが生まれて間もない頃。
彼が11才になろうとした頃、大豪商として名高いウェルズ商会の後継ぎである彼の境遇を妬んだ者達から、乱暴者だの嘘吐きだのと言われ続け、荒む一歩手前の状態で、両親から田舎にでも行って頭を冷やせと、カルラの生まれた村のカルラの家でもある宿屋に連れて行かれ、滞在費だけを店主に渡し、息子をお願いしますと言い置き去られ、何もかもがどうでもいい、親にすら見捨てられたのだからと思い始めた時。
赤子の泣き声が聴こえ、何となくそっちを見た時、その赤子、カルラと目が合ったと思ったら、カルラが泣き止み笑顔で手を伸ばして来たのだ。
誰からも、見捨てられたと思っていた彼に伸ばされた小さな手。
その手が彼を、諦めの境地から救った。
「あら、珍しい。この子、好き嫌いが激しくて、あまり他人を寄せ付けないのに」
「彼が格好良いから、じゃないね。今まで顔の良いお客さんでもギャン泣きしてたし」
「……えっ、そうなんですか?」
(これ程、人なつっこいのに?)
「ええ。何を基準にしてるのかは分からないけど、抱いて上げて。喜ぶから」
言われるままに抱き上げると、安心するかのように笑い続けるカルラ。
それから暫く滞在したが、カルラは本当に好き嫌いが激しく、子供には好かれる自信があるんだと言ったキラキラしい男が、カルラを抱き上げた瞬間、カルラがギャン泣きをし、ヴィートへと手を伸ばして来た程だ。
ヴィートの何がそんなにカルラの気に入る要素なのかは分からないが、ヴィートにとって、カルラは掛け替えのない大切な女の子で愛しい妹のような存在。
ウェルズ商会の後継ぎだからと寄るのではなく、ただのヴィートに笑い掛けるカルラを、妹から一人の異性と見るのに時間は掛からなかった。
カルラは自分の為に生まれて来てくれたのだと信じる程に。
「おじさん、おばさん。大きくなって、カルラが成人したら、カルラをお嫁さんに貰っても良い?」
「大きくなっても気持ちが変わらず、カルラも了承したらね!」
「うふふ、ヴィート君なら大歓迎よ」
子供の約束なんかで終わらせないと、少なくとも年に1~2回は滞在し、早い段階で親も説き伏せ、カルラの成長を楽しんでいた22才の頃。ある日、カルラの村が壊滅した。
噂を聞き付け大急ぎで村に到着したあの時の惨状は、今でも目に焼き付いている。
そして、村にあったのはカルラの家族の墓で、カルラの墓だけは無かった。
あちこち聞き込み、カルラが生きている事や足取りを掴むも、途中で途切れ、判った事は、魔力研究所に捕まり捕らえられた事。そして、その研究所が魔力汚染により破壊された事、その中にいた人間は研究員諸とも行方不明。
カルラは死んでない。カルラが作ってくれた髪に飾る玉飾りは、切れる事なく今も彼の頭に飾られているから。これはカルラと結ぶ物。カルラは俺の唯一で、俺はカルラの唯一だから。
カルラの作った玉飾りは、時々不思議な夢を見せていた。
だからこそ、地の果てだろうと捜し出し、繋がりが消える前に見付け出す。諦めてなどやるものか!
その思いを胸に、彼は今もカルラを捜し続けている。
カルラの生存を信じる男、ヴィヴィアリートセインズは、カルラとカルラの弟のヒースが兄と慕い、カルラが唯一心を許せる美形の男だ。
ヴィヴィアリートセインズ……ヴィートがカルラと初めて出会ったのは、カルラが生まれて間もない頃。
彼が11才になろうとした頃、大豪商として名高いウェルズ商会の後継ぎである彼の境遇を妬んだ者達から、乱暴者だの嘘吐きだのと言われ続け、荒む一歩手前の状態で、両親から田舎にでも行って頭を冷やせと、カルラの生まれた村のカルラの家でもある宿屋に連れて行かれ、滞在費だけを店主に渡し、息子をお願いしますと言い置き去られ、何もかもがどうでもいい、親にすら見捨てられたのだからと思い始めた時。
赤子の泣き声が聴こえ、何となくそっちを見た時、その赤子、カルラと目が合ったと思ったら、カルラが泣き止み笑顔で手を伸ばして来たのだ。
誰からも、見捨てられたと思っていた彼に伸ばされた小さな手。
その手が彼を、諦めの境地から救った。
「あら、珍しい。この子、好き嫌いが激しくて、あまり他人を寄せ付けないのに」
「彼が格好良いから、じゃないね。今まで顔の良いお客さんでもギャン泣きしてたし」
「……えっ、そうなんですか?」
(これ程、人なつっこいのに?)
「ええ。何を基準にしてるのかは分からないけど、抱いて上げて。喜ぶから」
言われるままに抱き上げると、安心するかのように笑い続けるカルラ。
それから暫く滞在したが、カルラは本当に好き嫌いが激しく、子供には好かれる自信があるんだと言ったキラキラしい男が、カルラを抱き上げた瞬間、カルラがギャン泣きをし、ヴィートへと手を伸ばして来た程だ。
ヴィートの何がそんなにカルラの気に入る要素なのかは分からないが、ヴィートにとって、カルラは掛け替えのない大切な女の子で愛しい妹のような存在。
ウェルズ商会の後継ぎだからと寄るのではなく、ただのヴィートに笑い掛けるカルラを、妹から一人の異性と見るのに時間は掛からなかった。
カルラは自分の為に生まれて来てくれたのだと信じる程に。
「おじさん、おばさん。大きくなって、カルラが成人したら、カルラをお嫁さんに貰っても良い?」
「大きくなっても気持ちが変わらず、カルラも了承したらね!」
「うふふ、ヴィート君なら大歓迎よ」
子供の約束なんかで終わらせないと、少なくとも年に1~2回は滞在し、早い段階で親も説き伏せ、カルラの成長を楽しんでいた22才の頃。ある日、カルラの村が壊滅した。
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そして、村にあったのはカルラの家族の墓で、カルラの墓だけは無かった。
あちこち聞き込み、カルラが生きている事や足取りを掴むも、途中で途切れ、判った事は、魔力研究所に捕まり捕らえられた事。そして、その研究所が魔力汚染により破壊された事、その中にいた人間は研究員諸とも行方不明。
カルラは死んでない。カルラが作ってくれた髪に飾る玉飾りは、切れる事なく今も彼の頭に飾られているから。これはカルラと結ぶ物。カルラは俺の唯一で、俺はカルラの唯一だから。
カルラの作った玉飾りは、時々不思議な夢を見せていた。
だからこそ、地の果てだろうと捜し出し、繋がりが消える前に見付け出す。諦めてなどやるものか!
その思いを胸に、彼は今もカルラを捜し続けている。
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