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中央〈デ・トルト〉大陸 ~ルカタ近辺~
経験と知識の差
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塩田の中にある塩の精製所に行き見学と体験もさせて貰う。勿論塩の買い付けだけする事も可能だけど、何事も経験!って事で皆に参加させる。僕は何度か経験してるけど、ここでしか出来ない事だから率先して参加する。
経験は楽しく学ぶ方が断然覚えやすい。最初は渋々参加した兄さんを挑発して、皆で競争する事にした。
勿論要領を掴んでる僕の圧勝♪遊びだろうと何だろうと全力で取り組むのが僕さ!
そして、最初は渋々だった筈の兄さんも、僕に負けたのが余程悔しかったのか、再度挑戦してきた。周りの精製所で働いてるおじさん達が、微笑ましい物を見るような目で見てくるけど気にしない。向けられた視線は兄さんの方を向いていた気はするけど気にしちゃいけない。何せ僕はまだ子供と呼ばれる年齢だ。
とはいえ、子供といっても一人旅が許される年齢だし、一人旅も出来るよう、ラファス兄に鍛えて貰ってたからね♪
塩田の体験をいっぱいしたから、塩の買い付け値段を割り引きして貰う事に成功!狙ってた訳じゃないけど、してくれると言われたならして貰うに限る!
おじさん達の温かい見送りを背に、塩田を後にし、夕方になる少し前に、リストワへ戻ってきて宿屋に行く。
「証明書になるカードは無くさないよう気を付けてね?無くした場合、再発行は出来るけど、それをすると、前のカードが見付からない限り、前のカードの記録は移せないからね。譲渡不可だから、他の人に使う事は出来ないけど、今までの記録は全部無くなり、もう一回最初からになるからね」
僕の言葉に兄さんが驚く。
「え、でも証拠の塩があるのに、それでも駄目なの?」
「塩は証拠にならないんだよ」
「何でさ?これ程確かな物証なのに」
「塩は買えるからね」
「そりゃそうだけど、行かなきゃ買えないよ?」
「……割高になるけど、商人や他の人に頼む事も出来るよね?」
僕がにっこり笑って問い掛けてやると、今気付いたって顔をする兄さん。
「あ……そっか」
そっかじゃなくて、ちっとは考えようよ。考える事その物を放棄してやしないか?この兄さん……。
「ファジスタ出身って事は、兄さんそこそこ名の知れた金持ち商人の子息辺りじゃないの?」
「えっ?!ななな、何でそんな事分かるのさ!?」
「「えっ、商人……?」」
二人が半信半疑で兄さんを見る。
うん、その気持ち分かるよ。この人商人には全く向いてないもんなぁ。しかも性格的に甘やかされまくった貴族類いに思えるし。
ただ、普通の商人の家だったら多分もっとしっかり学んでたんだろうけど、ある程度規模の大きい金持ちになると、家の手伝いはしなくて良いし、貴族より貴族っぽい生活する商人も少なくないから、たまに兄さんタイプの甘ったれた、商売も経営も分からない子息が出てくるんだよなぁ。
「何でも何も、ファジスタは商業が盛んな街だし、一般の民家だったら旅しない。あと普通の商人クラスなら家の手伝いとかするから物価にも詳しいし、何より商売根性あるから無償で動いたりしないよ。まぁ、今までの兄さんの言動だと、どこぞの金持ち貴族か何かだろうなとは思ってたけどね。ファジスタなら貴族は殆どいないから、金持ち商人って推測出来ただけだよ」
「出身地でそこまで分かるもんなの?!」
「場所にもよるけどね。あと、服装や装飾品で出身大陸判別出来る時もあるよ」
例えば、西大陸だと、頭に巻く布の両端を左側に垂らすとか、南西大陸だとズボンの上を腰から膝辺りまで右側が開くように布で巻くとか、東小大陸だと基本袖無しとか、見てて分かりやすいかな?あと、地方や領域特有のもあったりするから、服装とかって面白いんだよね♪聖騎士団の特殊部隊にいるラファス兄の同僚の兄さん達は出身が結構バラバラだから、最初に会った時、どこの人か推測するのが面白かったんだよね~♪当てると皆驚いてくれるから楽しかったんだ~。
「ラファールは何でそんな事知ってるのさ?」
「世界屈指の図書都市、スオウになら、そこそこの資料があるよ。民族資料とか、全大陸の主要産業とか、各国の都市特集とか。各大陸の出来事を綴った本も置いてるから、あそこに行くと結構時間食うんだよねぇ」
「ねぇラル、それってどの大陸にある都市なの?!」
兄さんに答えてたらセスが食い付いてきた。ああ、そういやセスって本好きだもんなぁ。
「この大陸にあるよ。因みに隣国。トルク領域の王都にして知識の宝庫スオウ」
スオウって大昔からある都市で、実は古代語で、知識や言葉の宝庫を包むって意味で、図書の街、図書の都市って意味合いだったりする。今は古代語解る人が極端に少ないから、そんな意味合いがあるって知らない人が多いけどね。
「俺、そこに行きたい!勿論ラルの目指す場所優先で良いから!」
「じゃあ、先にスオウを目指そう。ここからだとスオウの方が近いしね。デ・マームは急ぐ訳じゃないからいつでも良いし、連絡取ろうと思えばいつでも取れるから気にすんな。僕は何度も来てるし、アーヤとセスを優先するよ」
経験は楽しく学ぶ方が断然覚えやすい。最初は渋々参加した兄さんを挑発して、皆で競争する事にした。
勿論要領を掴んでる僕の圧勝♪遊びだろうと何だろうと全力で取り組むのが僕さ!
そして、最初は渋々だった筈の兄さんも、僕に負けたのが余程悔しかったのか、再度挑戦してきた。周りの精製所で働いてるおじさん達が、微笑ましい物を見るような目で見てくるけど気にしない。向けられた視線は兄さんの方を向いていた気はするけど気にしちゃいけない。何せ僕はまだ子供と呼ばれる年齢だ。
とはいえ、子供といっても一人旅が許される年齢だし、一人旅も出来るよう、ラファス兄に鍛えて貰ってたからね♪
塩田の体験をいっぱいしたから、塩の買い付け値段を割り引きして貰う事に成功!狙ってた訳じゃないけど、してくれると言われたならして貰うに限る!
おじさん達の温かい見送りを背に、塩田を後にし、夕方になる少し前に、リストワへ戻ってきて宿屋に行く。
「証明書になるカードは無くさないよう気を付けてね?無くした場合、再発行は出来るけど、それをすると、前のカードが見付からない限り、前のカードの記録は移せないからね。譲渡不可だから、他の人に使う事は出来ないけど、今までの記録は全部無くなり、もう一回最初からになるからね」
僕の言葉に兄さんが驚く。
「え、でも証拠の塩があるのに、それでも駄目なの?」
「塩は証拠にならないんだよ」
「何でさ?これ程確かな物証なのに」
「塩は買えるからね」
「そりゃそうだけど、行かなきゃ買えないよ?」
「……割高になるけど、商人や他の人に頼む事も出来るよね?」
僕がにっこり笑って問い掛けてやると、今気付いたって顔をする兄さん。
「あ……そっか」
そっかじゃなくて、ちっとは考えようよ。考える事その物を放棄してやしないか?この兄さん……。
「ファジスタ出身って事は、兄さんそこそこ名の知れた金持ち商人の子息辺りじゃないの?」
「えっ?!ななな、何でそんな事分かるのさ!?」
「「えっ、商人……?」」
二人が半信半疑で兄さんを見る。
うん、その気持ち分かるよ。この人商人には全く向いてないもんなぁ。しかも性格的に甘やかされまくった貴族類いに思えるし。
ただ、普通の商人の家だったら多分もっとしっかり学んでたんだろうけど、ある程度規模の大きい金持ちになると、家の手伝いはしなくて良いし、貴族より貴族っぽい生活する商人も少なくないから、たまに兄さんタイプの甘ったれた、商売も経営も分からない子息が出てくるんだよなぁ。
「何でも何も、ファジスタは商業が盛んな街だし、一般の民家だったら旅しない。あと普通の商人クラスなら家の手伝いとかするから物価にも詳しいし、何より商売根性あるから無償で動いたりしないよ。まぁ、今までの兄さんの言動だと、どこぞの金持ち貴族か何かだろうなとは思ってたけどね。ファジスタなら貴族は殆どいないから、金持ち商人って推測出来ただけだよ」
「出身地でそこまで分かるもんなの?!」
「場所にもよるけどね。あと、服装や装飾品で出身大陸判別出来る時もあるよ」
例えば、西大陸だと、頭に巻く布の両端を左側に垂らすとか、南西大陸だとズボンの上を腰から膝辺りまで右側が開くように布で巻くとか、東小大陸だと基本袖無しとか、見てて分かりやすいかな?あと、地方や領域特有のもあったりするから、服装とかって面白いんだよね♪聖騎士団の特殊部隊にいるラファス兄の同僚の兄さん達は出身が結構バラバラだから、最初に会った時、どこの人か推測するのが面白かったんだよね~♪当てると皆驚いてくれるから楽しかったんだ~。
「ラファールは何でそんな事知ってるのさ?」
「世界屈指の図書都市、スオウになら、そこそこの資料があるよ。民族資料とか、全大陸の主要産業とか、各国の都市特集とか。各大陸の出来事を綴った本も置いてるから、あそこに行くと結構時間食うんだよねぇ」
「ねぇラル、それってどの大陸にある都市なの?!」
兄さんに答えてたらセスが食い付いてきた。ああ、そういやセスって本好きだもんなぁ。
「この大陸にあるよ。因みに隣国。トルク領域の王都にして知識の宝庫スオウ」
スオウって大昔からある都市で、実は古代語で、知識や言葉の宝庫を包むって意味で、図書の街、図書の都市って意味合いだったりする。今は古代語解る人が極端に少ないから、そんな意味合いがあるって知らない人が多いけどね。
「俺、そこに行きたい!勿論ラルの目指す場所優先で良いから!」
「じゃあ、先にスオウを目指そう。ここからだとスオウの方が近いしね。デ・マームは急ぐ訳じゃないからいつでも良いし、連絡取ろうと思えばいつでも取れるから気にすんな。僕は何度も来てるし、アーヤとセスを優先するよ」
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