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~港町エルト・デ・ルム~
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その後、ジムじいちゃんと僕は、僕の作った物を一通り見てからジムじいちゃんの船を見せて貰う。
ジムじいちゃんの船は思った通り、性能も良く他の船とは段違いの速さと扱い易さ、遊び心がある。帆船として使う事も出来れば自動制御で目的地に着く事も出来、船を全く知らない初心者から船好きなプロにまで、どんな人でも対応出来るよう、幅広い要望が凝縮したような船だった。
僕は基本的に一人用のコンパクトな物ばかりを作るのに対してジムじいちゃんは大型の乗り物や複数の人が使う物を作るのが専門だ。
例えば、僕は一人乗りとか二~三人乗りの昇降機を作るけど、ジムじいちゃんは数人~数十人乗れるゴンドラが専門といった違いだね。
僕は純度の高い魔石を使いまくる事が出来るからコンパクトで済むけど、ジムじいちゃんの場合は純度の低い魔石を多く使っての物だから、必然的に大きくなるんだよ。純度の高い魔石なら小さな欠片でも、純度の低い魔石を多く集めた物と大差無い程内包する魔力の量が違うのだ。だけどその分純度の高い魔石は近くに強い魔物がいたり、険しい場所にあったりして入手が困難になるんだよね。
僕は村の西に多種多様な魔石の宝庫でもある山脈、フォジェスガルトがあるからそこに行って取ってくるけど、リ・ガングァも出るしドラゴンもいるし、勿論それだけではなく他にも沢山の魔物はいるし、険しい山ばっかだしで、普通の人が行くには無理があるような場所だからね。
「ジムじいちゃん、設計図はある?」
これだけ大きな物だ。見える部分はいいけど内部の構造も知りたい。知ればどこが脆いかも分かるし無駄手間も充分省ける。
技師の中には見せたがらない人もいるが、僕はちゃんと解説を加えてまで見せてるし、あるなら見せて貰える筈だ。
「ああ、あるぞ。こっちだ」
船内に招かれて設計図を見せて貰う。
「あの傷痕は海の魔物だよね?でも、所々は人害?」
「ああ、その通りじゃな」
あー……、やっぱりか。魔物の傷痕にしてはおかしいなと思ったんだよ。割れる先で普通なら途切れそうな場所にでっかい修理痕。傷痕の大きさからしてもそんなピンポイント魔物がした痕とは思えなかったんだよね~。
ジムじいちゃんの出してくれた設計図を見ながら、頭に叩き込む序でに線で消された魔石の組み合わせらしき文字を見て、ジムじいちゃんに聞いてみる。
「ジムじいちゃん、ここは?」
「ああ、それは推進力を上げる為に考えた魔石の配列や混合魔石の組み合わせを書いていたが、どれも失敗してなぁ。結局取り入れなんだんじゃ」
「あー……ちょっと待って」
僕が自分の荷物袋を漁り、紙とペンを出して魔石配列を書きジムじいちゃんに見せる。
「小さい船ならこれで出来るけど、応用出来るかな?」
「ん?……成る程、充分じゃ。だがこの場合、手持ちの魔石では無理がある」
「ああ、その辺は大丈夫」
僕が今度は必要となる魔石を取り出す。
「この魔石の純度なら問題ないよ。この大陸最高級の魔石で、これ以上の物はないから。ただし、使っていいけど他の人には秘密でお願い。後は報酬としてこの船が直ったら、僕を含めた四人を中央大陸まで乗せて欲しいんだけど、それで良いかな?」
「……そんな事で良いのか?いや、しかし、これ程の魔石……」
「良いの良いの。僕のこの背中の剣は飾りじゃないよ?これでも僕は、この国の正式な魔物キラーだからね!」
「魔物キラー?!」
「うん。剣士でありメカエンジニアである魔物キラーだから。冒険者連れ歩かなくても僕の場合は一人で魔石取り出来るから、全然出費が掛からないし、苦にならないんだよ」
僕の言葉に呆然とするジムじいちゃん。剣士とメカエンジニア両立出来る人なんて0に近いもんなぁ。その上正式な魔物キラーなんて数が少ないから、この世界で僕だけだと思う。
「暫くは中央大陸にいるだろうけど、もし魔石取りに行きたい時があれば、依頼してくれたら付き合うからね♪ただ、この魔石はこの大陸でもずっとずっと北の山脈だから、かなりな距離だし人の踏み入るような場所じゃないけどね」
「……恐れ入ったわい」
「あはは、この大陸以外の魔石もあるよ。ジムじいちゃんがお望みなら、そこそこの物を格安で売る事も出来るよ?まぁ個人で持つ分だから、大量って程じゃないけどね」
「……本当か?」
「勿論!ああ、ただし、中央大陸は省かせてね?あそこのは簡単入手出来るし、何よりジムじいちゃんの故郷だからね」
僕の茶目っ気たっぷりな言葉にジムじいちゃんが笑う。
「ああ、そうじゃな。儂もそう思うわい」
それからジムじいちゃんに魔石を格安で売って、船の話題で盛り上がり、ああでもないこうでもないと、二人して色んなアイデアを出し合い白熱した。
ジムじいちゃんの船は思った通り、性能も良く他の船とは段違いの速さと扱い易さ、遊び心がある。帆船として使う事も出来れば自動制御で目的地に着く事も出来、船を全く知らない初心者から船好きなプロにまで、どんな人でも対応出来るよう、幅広い要望が凝縮したような船だった。
僕は基本的に一人用のコンパクトな物ばかりを作るのに対してジムじいちゃんは大型の乗り物や複数の人が使う物を作るのが専門だ。
例えば、僕は一人乗りとか二~三人乗りの昇降機を作るけど、ジムじいちゃんは数人~数十人乗れるゴンドラが専門といった違いだね。
僕は純度の高い魔石を使いまくる事が出来るからコンパクトで済むけど、ジムじいちゃんの場合は純度の低い魔石を多く使っての物だから、必然的に大きくなるんだよ。純度の高い魔石なら小さな欠片でも、純度の低い魔石を多く集めた物と大差無い程内包する魔力の量が違うのだ。だけどその分純度の高い魔石は近くに強い魔物がいたり、険しい場所にあったりして入手が困難になるんだよね。
僕は村の西に多種多様な魔石の宝庫でもある山脈、フォジェスガルトがあるからそこに行って取ってくるけど、リ・ガングァも出るしドラゴンもいるし、勿論それだけではなく他にも沢山の魔物はいるし、険しい山ばっかだしで、普通の人が行くには無理があるような場所だからね。
「ジムじいちゃん、設計図はある?」
これだけ大きな物だ。見える部分はいいけど内部の構造も知りたい。知ればどこが脆いかも分かるし無駄手間も充分省ける。
技師の中には見せたがらない人もいるが、僕はちゃんと解説を加えてまで見せてるし、あるなら見せて貰える筈だ。
「ああ、あるぞ。こっちだ」
船内に招かれて設計図を見せて貰う。
「あの傷痕は海の魔物だよね?でも、所々は人害?」
「ああ、その通りじゃな」
あー……、やっぱりか。魔物の傷痕にしてはおかしいなと思ったんだよ。割れる先で普通なら途切れそうな場所にでっかい修理痕。傷痕の大きさからしてもそんなピンポイント魔物がした痕とは思えなかったんだよね~。
ジムじいちゃんの出してくれた設計図を見ながら、頭に叩き込む序でに線で消された魔石の組み合わせらしき文字を見て、ジムじいちゃんに聞いてみる。
「ジムじいちゃん、ここは?」
「ああ、それは推進力を上げる為に考えた魔石の配列や混合魔石の組み合わせを書いていたが、どれも失敗してなぁ。結局取り入れなんだんじゃ」
「あー……ちょっと待って」
僕が自分の荷物袋を漁り、紙とペンを出して魔石配列を書きジムじいちゃんに見せる。
「小さい船ならこれで出来るけど、応用出来るかな?」
「ん?……成る程、充分じゃ。だがこの場合、手持ちの魔石では無理がある」
「ああ、その辺は大丈夫」
僕が今度は必要となる魔石を取り出す。
「この魔石の純度なら問題ないよ。この大陸最高級の魔石で、これ以上の物はないから。ただし、使っていいけど他の人には秘密でお願い。後は報酬としてこの船が直ったら、僕を含めた四人を中央大陸まで乗せて欲しいんだけど、それで良いかな?」
「……そんな事で良いのか?いや、しかし、これ程の魔石……」
「良いの良いの。僕のこの背中の剣は飾りじゃないよ?これでも僕は、この国の正式な魔物キラーだからね!」
「魔物キラー?!」
「うん。剣士でありメカエンジニアである魔物キラーだから。冒険者連れ歩かなくても僕の場合は一人で魔石取り出来るから、全然出費が掛からないし、苦にならないんだよ」
僕の言葉に呆然とするジムじいちゃん。剣士とメカエンジニア両立出来る人なんて0に近いもんなぁ。その上正式な魔物キラーなんて数が少ないから、この世界で僕だけだと思う。
「暫くは中央大陸にいるだろうけど、もし魔石取りに行きたい時があれば、依頼してくれたら付き合うからね♪ただ、この魔石はこの大陸でもずっとずっと北の山脈だから、かなりな距離だし人の踏み入るような場所じゃないけどね」
「……恐れ入ったわい」
「あはは、この大陸以外の魔石もあるよ。ジムじいちゃんがお望みなら、そこそこの物を格安で売る事も出来るよ?まぁ個人で持つ分だから、大量って程じゃないけどね」
「……本当か?」
「勿論!ああ、ただし、中央大陸は省かせてね?あそこのは簡単入手出来るし、何よりジムじいちゃんの故郷だからね」
僕の茶目っ気たっぷりな言葉にジムじいちゃんが笑う。
「ああ、そうじゃな。儂もそう思うわい」
それからジムじいちゃんに魔石を格安で売って、船の話題で盛り上がり、ああでもないこうでもないと、二人して色んなアイデアを出し合い白熱した。
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