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~デ・フォン領域~
ジオーヌの奮闘
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ファーグ家が全面的に協力してくれる事になり、暫くの間、ジオーヌはファキーヤさんを含め、数人の精鋭達から複数の技術を学ぶ。あらゆる品の品定めの仕方や各大陸、地方別の礼儀作法まで。ジオーヌの学習能力が高いと知るや、各国の歴史や各国各地の魔物の詳細、変装の仕方に潜入捜査の心得等々。そこまで詰め込むの?って思える程に、嬉々としてジオーヌに教えてた。
リウリクが、程々でいいなんて言ったら、ファーグ商会の信頼度嘗めんな、って怒られてた。なので、忠告はしておく。
「まだ数日だよね、何年分の知識を詰め込んでるのかな?ある程度は黙認するけど、一応ジオーヌにも容量はあるからね?一気に詰め込み過ぎるとショートするかもだし、本当に気を付けてね?ジオーヌの学習能力が高いからって、壊れたら意味ないから。ジオーヌは僕が取ってきた最高級の魔石を使ってるから何とかなってるけど、そうでなかったら完全に停止してるから。作り直せるとか思わないでね?壊れたら、東に取りに行かせるからね?」
さすがに僕の笑顔での発言が効いたのか、リウリクにも謝ってくれた。
僕が同行するにしたって、東は危険度合いが半端ないからね。そして僕は言った事なら実行に移す。冗談だなんて思われるのは心外だからね。
この時、リウリクとジオーヌはファーグ商会に泊まり込んで学んでいたけど、リウリクの方がげっそりしてた。
一応、イグじいちゃんとイーファおじさんに、ジオーヌは人間じゃないとはいえ、扱いはちゃんと、人間同様に扱って欲しいなとも言っておく。
さすがにファキーヤさんは加減してくれてたけど、ファキーヤさんがいない時に、他の人達が暴走してたからね。だから、暴走してた人達はイグじいちゃんとイーファおじさんにガッツリ叱られてた。当然だよね。貴重な人形使いの自動人形を酷使するなんて、下手すりゃ誓約や宣誓魔法に抵触する可能性が出てくるから。リウリクとジオーヌが必要な要件だと思ってるし、害意はないから反応しなかっただけで、リウリクやジオーヌがそう思わなかったら抵触してたよ。
ジオーヌに一通りの知識が詰め込まれたので、そろそろ聖騎士団に行こうかとなった。
実はここ、ファーグ商会でも多少の実践を兼ねた簡単な護衛術は習ったらしい。でも、それは一般的な物で、回避や逃走といった物が中心の技。後は、襲撃してきた破落戸相手の護衛術なので、暗殺とかのプロには向かない物なのだ。
単純な馬鹿は、ジオーヌを手に入れる為なら持ち主を殺せばいいとか考える馬鹿がいたりする。それでリウリクが死んだらジオーヌは動かなくなるけどね。そこまで考えてないから馬鹿って言われるんだけど。
まぁ、僕クラスとはいかなくても、凄腕暗殺者レベルまでなら対処出来るぐらいの魔石の使い方をしたから、後は訓練と経験を積ませれば大丈夫かな。
ファーグ商会の人達にお礼を言って、報酬としてお金と僕の村の特産品であるワインを数本付ける。因みに現金はリウリク持ちだ。
「うおぉぉ~!あの、幻とも言われるワイン!!」
「初めて現物見た……」
「これがあの……」
教師役の人達がガン見しながら、各々思った事を口にする。
「ラファールさん、奮発し過ぎでは?現金だけで充分ですよ?」
「今回急な依頼に応えて貰ったからね。ワインの内一本は商品として売って、それ以外はここの皆で分けて飲んでよ。これは協力してくれた皆へのお礼。商人なら、自分達の売るワインの味を知ってる方が良いでしょ?」
僕が教師役の人達を流し見れば、ブンブンと首を縦に振る。
このワインは、生涯一度で良いから飲んでみたいと、王候貴族ですら切に願う最高級のワインで、僕の村人なら普通に飲んでるけど、チェリクでも年に百本ぐらいしか卸してない物。東出身者なら手に入らない事もないけど、他の大陸出身者は東に来る事自体に躊躇するから。ただし、馬鹿で身の程知らずな考えなしは別。あれは最悪と言っても良い程の特殊例だからね。
「ただし、一本丸ままはファキーヤさんの取り分。やり過ぎ暴走したんだから、当然だよね?嫌ならお礼はなしだから。ちゃんとイグじいちゃんとイファおじさんにも了承済みだからね」
僕が笑顔で言い切れば、さすがに文句は出なかった。
これに懲りて、もし次があるなら、暴走する事なく出来るだろう。
前日に特部の方には報告済みなので、そのまま向かう事にする。
「何であんな物持ってたのか無性に気になる所だが、あれはいくらだ?お前が負担する事はねぇぞ」
「ああ、お近付きの印にリウリクにも一本あげる。僕の村の特産品だから、気にしなくていいよ♪」
「あー……。有難うな……」
考える事を放棄した様な顔をするリウリク。まぁ、そういう時もあるね。
聖騎士団本部に顔を出し、特部の兄さん達相手に軽く一試合。相手はサス兄で、ジオーヌの戦闘能力がどれだけの物かを見る。
サス兄は防御魔法に特化してる上に、防御中心の闘い方をする。その防御力は特部の中でもアル兄の攻撃を少しの間なら防げる程だ。さすがにラファス兄のは無理だよ。ラファス兄、強固な防御結界でもそれだけを簡単に斬るからね。僕は斬れなくはないけど、他にも多少影響与えちゃうから、まだまだなんだよね。
とはいえ、そんなサス兄に攻撃を加えられる事等出来ないのは当たり前なんだけど、それを知らないジオーヌは、ただひたすらに打ち込んで行く。
ジオーヌの力量も闘い方も理解した所で試合を終わらせる。
サス兄に一撃すら与えられなかったジオーヌは、相当悔しかったみたいだけど、相手が相手だから仕方ないよ。サス兄にしたのはジオーヌの現在の戦闘能力を把握する為と、ジオーヌを極力壊さずに全力を出させる為だからね。
リウリクが、程々でいいなんて言ったら、ファーグ商会の信頼度嘗めんな、って怒られてた。なので、忠告はしておく。
「まだ数日だよね、何年分の知識を詰め込んでるのかな?ある程度は黙認するけど、一応ジオーヌにも容量はあるからね?一気に詰め込み過ぎるとショートするかもだし、本当に気を付けてね?ジオーヌの学習能力が高いからって、壊れたら意味ないから。ジオーヌは僕が取ってきた最高級の魔石を使ってるから何とかなってるけど、そうでなかったら完全に停止してるから。作り直せるとか思わないでね?壊れたら、東に取りに行かせるからね?」
さすがに僕の笑顔での発言が効いたのか、リウリクにも謝ってくれた。
僕が同行するにしたって、東は危険度合いが半端ないからね。そして僕は言った事なら実行に移す。冗談だなんて思われるのは心外だからね。
この時、リウリクとジオーヌはファーグ商会に泊まり込んで学んでいたけど、リウリクの方がげっそりしてた。
一応、イグじいちゃんとイーファおじさんに、ジオーヌは人間じゃないとはいえ、扱いはちゃんと、人間同様に扱って欲しいなとも言っておく。
さすがにファキーヤさんは加減してくれてたけど、ファキーヤさんがいない時に、他の人達が暴走してたからね。だから、暴走してた人達はイグじいちゃんとイーファおじさんにガッツリ叱られてた。当然だよね。貴重な人形使いの自動人形を酷使するなんて、下手すりゃ誓約や宣誓魔法に抵触する可能性が出てくるから。リウリクとジオーヌが必要な要件だと思ってるし、害意はないから反応しなかっただけで、リウリクやジオーヌがそう思わなかったら抵触してたよ。
ジオーヌに一通りの知識が詰め込まれたので、そろそろ聖騎士団に行こうかとなった。
実はここ、ファーグ商会でも多少の実践を兼ねた簡単な護衛術は習ったらしい。でも、それは一般的な物で、回避や逃走といった物が中心の技。後は、襲撃してきた破落戸相手の護衛術なので、暗殺とかのプロには向かない物なのだ。
単純な馬鹿は、ジオーヌを手に入れる為なら持ち主を殺せばいいとか考える馬鹿がいたりする。それでリウリクが死んだらジオーヌは動かなくなるけどね。そこまで考えてないから馬鹿って言われるんだけど。
まぁ、僕クラスとはいかなくても、凄腕暗殺者レベルまでなら対処出来るぐらいの魔石の使い方をしたから、後は訓練と経験を積ませれば大丈夫かな。
ファーグ商会の人達にお礼を言って、報酬としてお金と僕の村の特産品であるワインを数本付ける。因みに現金はリウリク持ちだ。
「うおぉぉ~!あの、幻とも言われるワイン!!」
「初めて現物見た……」
「これがあの……」
教師役の人達がガン見しながら、各々思った事を口にする。
「ラファールさん、奮発し過ぎでは?現金だけで充分ですよ?」
「今回急な依頼に応えて貰ったからね。ワインの内一本は商品として売って、それ以外はここの皆で分けて飲んでよ。これは協力してくれた皆へのお礼。商人なら、自分達の売るワインの味を知ってる方が良いでしょ?」
僕が教師役の人達を流し見れば、ブンブンと首を縦に振る。
このワインは、生涯一度で良いから飲んでみたいと、王候貴族ですら切に願う最高級のワインで、僕の村人なら普通に飲んでるけど、チェリクでも年に百本ぐらいしか卸してない物。東出身者なら手に入らない事もないけど、他の大陸出身者は東に来る事自体に躊躇するから。ただし、馬鹿で身の程知らずな考えなしは別。あれは最悪と言っても良い程の特殊例だからね。
「ただし、一本丸ままはファキーヤさんの取り分。やり過ぎ暴走したんだから、当然だよね?嫌ならお礼はなしだから。ちゃんとイグじいちゃんとイファおじさんにも了承済みだからね」
僕が笑顔で言い切れば、さすがに文句は出なかった。
これに懲りて、もし次があるなら、暴走する事なく出来るだろう。
前日に特部の方には報告済みなので、そのまま向かう事にする。
「何であんな物持ってたのか無性に気になる所だが、あれはいくらだ?お前が負担する事はねぇぞ」
「ああ、お近付きの印にリウリクにも一本あげる。僕の村の特産品だから、気にしなくていいよ♪」
「あー……。有難うな……」
考える事を放棄した様な顔をするリウリク。まぁ、そういう時もあるね。
聖騎士団本部に顔を出し、特部の兄さん達相手に軽く一試合。相手はサス兄で、ジオーヌの戦闘能力がどれだけの物かを見る。
サス兄は防御魔法に特化してる上に、防御中心の闘い方をする。その防御力は特部の中でもアル兄の攻撃を少しの間なら防げる程だ。さすがにラファス兄のは無理だよ。ラファス兄、強固な防御結界でもそれだけを簡単に斬るからね。僕は斬れなくはないけど、他にも多少影響与えちゃうから、まだまだなんだよね。
とはいえ、そんなサス兄に攻撃を加えられる事等出来ないのは当たり前なんだけど、それを知らないジオーヌは、ただひたすらに打ち込んで行く。
ジオーヌの力量も闘い方も理解した所で試合を終わらせる。
サス兄に一撃すら与えられなかったジオーヌは、相当悔しかったみたいだけど、相手が相手だから仕方ないよ。サス兄にしたのはジオーヌの現在の戦闘能力を把握する為と、ジオーヌを極力壊さずに全力を出させる為だからね。
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