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後日談

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 その日の晩餐は歓迎の宴が開かれ、大いに賑わった。

 アシュリーの幼少期を知る使用人達は宴に参加し、そうでは無い者達は宴に不参加では有るものの、別室で宴と同じ料理を振る舞われる事になる。

 勿論、問題を起こしていなければ、の話だが。

 ジーンはアシュリーの幼少期の話を色々と教えて貰い、ご満悦だった。

 翌日はネイル夫妻と共に、領内の視察をし、アシュリーが親しかった領民達とも再会を果たす。

 最初は馬車で回ろうかと言う話も出ていたが、アシュリーの時は、馬に乗馬して回っていたと知り、ステラが乗馬服も持ってきていますよと言うので、馬で行く事になった。

 元々ネイルの側近の二人もだが、ネイルとレイニーも馬に乗れるからだ。

 エヴァンス家の使用人達は全員馬に乗れるので、馬で行く事に全く問題無い。

 元々ゴート家には馬は四頭居たので、あの父娘が馬を四頭繋げた馬車で王都に乗り込んで来ていたが、ネイルはそれとは違う馬車でこの地に来ている。

 因みに元の馬車は、ゴート邸に滞在している王国騎士達に撤退命令の指示書を渡す役割と、御者を含めたゴート家の馬車を領地まで届ける役目を兼ねた王国騎士の三名が、領地まで護送してくれたのだ。

 ただし、その馬車は領地に着いた後、ネイルがその馬車の車部分を焼却処分したが。

 そんな訳で、現グリマード邸では元の馬よりも数が増えているし、エヴァンス家の馬もいるので、護衛の分の馬も、充分確保出来る状態だった。

 領民達もアシュリーがどうしているのか気に掛けてくれていたので、再会をとても喜んでいたし、アシュリーも領民達が生き生きと生活しているので、とても喜んでいた。

 その次の日、アシュリーの元婚約者だったマディソンの実家のウォール辺境伯家の訪問が予定されている。


「ヘンリーお兄様とはそれ程の交流は有りませんが、周囲や奥方様に誤解を招きたくない為で、わたくしとは適切な距離感を保って下さいました。だからと言って、配慮に欠けた訳では無く、寧ろ、度々わたくしを気遣って下さいましたわ」


 ヘンリーは誠実で、奥方とは政略婚だが、婚約直後から相手を大事にし、他の令嬢達を極力近付けないし、近寄らない。そもそも、噂になるような行動すらしていなかった。

 マディソンは三男で、ヘンリーの下にもう一人兄が居たが、そちらは幼い頃に亡くなっている。

 その所為で、母親がマディソンを特に甘やかす事になったのかも知れないが、ヘンリーからすれば、婚約者を蔑ろにする理由にはならないと思っていた事だろう。

 訪問日、ヘンリーは妻と二人で、アシュリーとエヴァンス家の子息、今ではアシュリーの夫となったジーンに謝罪する為、家を出たのだった。
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