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後日談

ライラの日常 1

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 ライラがクルルフォーン家の使用人として雇われ、数年が経った頃。

 ライラは昔お世話になった娼館に、マッドと一緒に息子のルッグスを連れて顔を出す。


「こんにちは。お久し振りです」


 ライラが声を掛けると、客を見送った後に、一階の受け付けの机で突っ伏していたのだろう娼婦が、ガバッと顔を上げ、黄色い歓声を上げる。


「キャァ~!ライ君にマッドちゃん!それにルッグス君もいる~♪」


 そんな歓声が聴こえたのだろう、上階で休んでいただろう、他の娼婦達も下りて来る。


「マッドちゃんライ君、いらっしゃい~!」

「ルッグス君、大きくなったねぇ♪こっちにおいで~!」

「あたしにも、抱~か~せ~て~!」

「ちょっとは静かにしな!泣いちまったらどうすんだい」


 店主も下りて来て、娼婦達に注意する。


「あらん、大丈夫よぉ♪ウチの子、騒がしいのには慣れてるからぁ♪ねぇライちゃん」

「ええ。子供が周りにも居る環境ですからね」

「ただ、あれは確実にヨルドちゃんのお陰よねぇ~。本来あれだけの子供が居れば、ギャン泣きの連鎖は確実に起こるもの」

「羨ましい~!前から聞いて思ってたけど、一家に一人居て欲しい人材だわぁ!」

「それは止めといた方が賢明かしらぁ?我が子の初の言葉が『よ~』になって、暫くそれが続いたりしたら、子供を可愛がる親としては、泣きたくなっちゃうわよ?」

「「あ~、それは確かに……」」


 幸いと言うべきか、一日中一緒と言う訳では無いので、各々の子供達の第一声が、一応『よ~』にならずに済んでいるようだが、一日中となれば、違った結果になっただろう。


「ライ君は、子供達の護衛でしょ?普段何をしているの?」

「あー……。子供達の遊びの付き合いや、一緒に勉強を学んでいますが、中々……いえ、かなりハードです」


 クルルフォーン家はエドワルドが初の当主で有る為、当然その使用人達に子育てと言うスキルは無い。

 ヨルドは別格としか言い様が無いだけだ。

 その為、エヴァンス家の使用人達が主体で子育てをしているのだが、勉強にしろ、遊びにしろ、飽きさせないよう色々と工夫をされているのだろう、大人が参加しても為になると言うか、寧ろ、子供の吸収力の凄さに驚かされてしまう程だ。

 勿論個々に、得手不得手が有るので、それに依って吸収力も違うのだが、それでも教え方が上手い為、子供達は楽しそうに、日々、成長して行く。


「まぁ~、まぁ~」

「はいはぁ~い♪どうしたの?ルッグス」


 ルッグスの呼び掛けに、マッドが答える。


「……マッドちゃんの事なんだ?」

「ええ。僕は他の子達からもライと呼ばれるので、『まぁ~』はマッドさんの事ですよ。ルッグスは僕に似て、マッドさんが大好きだから、ああやって、同じ空間に居ると、よく呼びますよ」


 ライラはそう言って、マッドとルッグスに優しい眼差しを向けた。
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