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後日談
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「ネイル殿も、奥方と共にこちらへどうぞ」
元々ゆったり出来るようにとゆとりの有るスペースを取ってある特別席だが、ジーンがエドワルドに、エヴァンス家と親交の有る、ネイル=グリマードが奥方と一緒に来る予定だと、理由と共に告げていた為、彼等の分のソファーも用意させていたのだ。
「有難う御座います。お久し振りですねクルルフォーン公爵。それと、遅くなりましたがご結婚おめでとう御座います」
ネイルが頭を下げると、ネイルの斜め後ろにいる女性も、慌てたように頭を下げる。
「有難うネイル殿。ネイル殿の活躍も耳にしていますが、エヴァンス家と親交が有るとは知りませんでした。もしかして、私の妻とは子供の頃に面識が有るのですか?」
エドワルドの疑問にネイルが答える。
「私は殆ど面識が無いですよ。元々人よりも、植物に興味の有る人間でしたから」
それでどうして伴侶を持ったのか、気になる所だ。
エドワルドは植物にも興味は湧かなかったが、人で唯一、リラだけは物凄く惹かれたので、奥方を自身にとってのリラなのだろうと納得したが、アシュリーは思わず奥方を見てしまい、それに気付いたネイルがニッコリと笑顔で説明する。
「妻は元々、私の幼馴染みですが、私が妻に興味を持ったのは、私と真逆だったからですよ」
「……真逆?」
「ねねねねっ、ネイル様?!」
今まで黙りを決め込んでいた奥方が声を上げる。
「私は植物を育てるのが得意ですが、妻は植物を枯らすのが得意です」
「ぎゃーっ!!言わないで言わないで言わないでぇ~~~!!!」
「凄いですよね。同じように育てていても、何故か妻のだけが枯れ易く、私が傍に居ないとどれだけ育て易い植物でも枯らしてしまうのです」
「ちょっ、ネイル様っ、言わないで下さい!これでもわたし、気にしてるんですからぁ~!!!」
涙目でネイルをガクガクと揺さぶる奥方。
「大丈夫だよ。私はそんなレイニーも好きだからね」
「嬉しいけど、嬉しく無いです~!!」
「駄目だよ、レイニー。彼等は上位貴族とその奥方だから。あまり騒ぐと迷惑になる」
「騒がせたのは誰ですか?!黙ってようと思ってたのにぃ~!」
「無理して黙る必要は無いよ。レイニーは元気が一番だから」
「そういう問題じゃ有~り~ま~せ~ん~!」
レイニーは顔を赤く染めて、ネイルに抗議したが、ネイルは飄々としている。
アシュリーはオロオロとし、自分の所為で喧嘩になったと思ったようで、小声でジーンに謝罪する。
「ももっ、申し訳有りません……」
「大丈夫だよ。これは彼等流の夫婦のじゃれ合いで、本当の喧嘩じゃないから。多分奥方の緊張を解す為の物だよ。ネイル、アーシュが困惑しているから、そろそろ止めて貰っても良いかな?」
「了解。ジーンがああ言ってるから、一旦終了。不満なら二人切りの時に聞くよ。私の妻はこのような裏表の無い者なので、ここにいらっしゃる女性陣と仲良くして頂ければ幸いです。それとレイニー、ここに居る女性陣は、君を蔑むような方々では無いから安心しなさい」
ネイルはそう言って、一般的な貴族女性が苦手な妻の後押しをした。
元々ゆったり出来るようにとゆとりの有るスペースを取ってある特別席だが、ジーンがエドワルドに、エヴァンス家と親交の有る、ネイル=グリマードが奥方と一緒に来る予定だと、理由と共に告げていた為、彼等の分のソファーも用意させていたのだ。
「有難う御座います。お久し振りですねクルルフォーン公爵。それと、遅くなりましたがご結婚おめでとう御座います」
ネイルが頭を下げると、ネイルの斜め後ろにいる女性も、慌てたように頭を下げる。
「有難うネイル殿。ネイル殿の活躍も耳にしていますが、エヴァンス家と親交が有るとは知りませんでした。もしかして、私の妻とは子供の頃に面識が有るのですか?」
エドワルドの疑問にネイルが答える。
「私は殆ど面識が無いですよ。元々人よりも、植物に興味の有る人間でしたから」
それでどうして伴侶を持ったのか、気になる所だ。
エドワルドは植物にも興味は湧かなかったが、人で唯一、リラだけは物凄く惹かれたので、奥方を自身にとってのリラなのだろうと納得したが、アシュリーは思わず奥方を見てしまい、それに気付いたネイルがニッコリと笑顔で説明する。
「妻は元々、私の幼馴染みですが、私が妻に興味を持ったのは、私と真逆だったからですよ」
「……真逆?」
「ねねねねっ、ネイル様?!」
今まで黙りを決め込んでいた奥方が声を上げる。
「私は植物を育てるのが得意ですが、妻は植物を枯らすのが得意です」
「ぎゃーっ!!言わないで言わないで言わないでぇ~~~!!!」
「凄いですよね。同じように育てていても、何故か妻のだけが枯れ易く、私が傍に居ないとどれだけ育て易い植物でも枯らしてしまうのです」
「ちょっ、ネイル様っ、言わないで下さい!これでもわたし、気にしてるんですからぁ~!!!」
涙目でネイルをガクガクと揺さぶる奥方。
「大丈夫だよ。私はそんなレイニーも好きだからね」
「嬉しいけど、嬉しく無いです~!!」
「駄目だよ、レイニー。彼等は上位貴族とその奥方だから。あまり騒ぐと迷惑になる」
「騒がせたのは誰ですか?!黙ってようと思ってたのにぃ~!」
「無理して黙る必要は無いよ。レイニーは元気が一番だから」
「そういう問題じゃ有~り~ま~せ~ん~!」
レイニーは顔を赤く染めて、ネイルに抗議したが、ネイルは飄々としている。
アシュリーはオロオロとし、自分の所為で喧嘩になったと思ったようで、小声でジーンに謝罪する。
「ももっ、申し訳有りません……」
「大丈夫だよ。これは彼等流の夫婦のじゃれ合いで、本当の喧嘩じゃないから。多分奥方の緊張を解す為の物だよ。ネイル、アーシュが困惑しているから、そろそろ止めて貰っても良いかな?」
「了解。ジーンがああ言ってるから、一旦終了。不満なら二人切りの時に聞くよ。私の妻はこのような裏表の無い者なので、ここにいらっしゃる女性陣と仲良くして頂ければ幸いです。それとレイニー、ここに居る女性陣は、君を蔑むような方々では無いから安心しなさい」
ネイルはそう言って、一般的な貴族女性が苦手な妻の後押しをした。
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