626 / 804
後日談
29
しおりを挟む
ジーンがレオニールと少しだけ雑談をして、レオニールが離れると、数人の女性達が近寄って来た。
「家を出たと聞き、とても心配してましたのよ、アシュリー様」
「本当にご無事で良かったです。でも、少しぐらい、相談して頂きたかったですわ。わたくし達はお友達ですのに」
「そうよ。知っていたら、協力致しましたわ!アシュリー様は大切なお友達ですもの!」
口々にアシュリーと友達だったとアピールする女性達。
その言葉にアシュリーの顔は思わず強張っていた。
勿論、それに気付かないジーンでは無い。
「お友達、ですか。一体どのようなお友達なのか、是非とも聞きたいな」
ジーンの言葉に、アシュリーは過去の体験が脳裏を過り、思わずジーンの腕に力を入れてジーンを見上げると、ジーンはアシュリーを見返し、優しげに微笑んだ。
「大丈夫だから、私に任せなさい」
アシュリーにそう言い、その場に居る女性達へと目を向けたジーンの表情を見て、瞬きをするアシュリー。
その顔は、アシュリーに見せる物とは全く違い、笑みは無い。
「それで、お友達と言うからには、私よりもアシュリー嬢の事を知っているだろうから、貴女方とはどんな話をしていたのか、興味が湧くな。アシュリー嬢は流行や王都に興味が無いから、普通の会話では盛り上がらないだろう?」
「りゅっ、流行に、興味が無い?」
「普通の会話は盛り上がらない?」
思わず女性達が、顔を引き吊らせて呟くので、ジーンは口元に笑みを浮かべ、逆に問い返すものの、その目は全く笑っていない。
「おや?お友達なら、当然知っている筈ですよね?」
「もっ、勿論ですわ!」
「存じて居ります!」
「本!本に付いて、盛り上がった事が有りますわ!!」
誰かからの情報を思い出したのか、一人が自信満々で答えるのだが、勿論ジーンは更に突っ込んで聞く。
「普通の令嬢が読む類いの本は好まないのに、どんな本で盛り上がられたのかな?私には妹が居て、その妹も女性達が好まない本を好んで読むので、趣味が合い、盛り上がったと言っていましたが?」
リラもアシュリーも、ジャンルを問わずの雑食な本好きでは有るが、どちらかと言うと男性が好むような、史実や経済と言った本が特に好きだったりするのだ。
そしてそれは、アナスタシアにも該当し、男性顔負けの濃い討論を繰り広げるのだ。
だから、本と言えば甘い恋愛小説しか思い浮かばない貴族令嬢を相手に、話が盛り上がる事はあまり無い。
それを踏まえた上での追及だ。
「本当にアシュリー嬢と親しいので有れば、好みのジャンルぐらいは知っていて当然だと思うのだが?」
ジーンは先程までとは打って変わり、低く冷めた声で彼女達に再度追及するのだった。
「家を出たと聞き、とても心配してましたのよ、アシュリー様」
「本当にご無事で良かったです。でも、少しぐらい、相談して頂きたかったですわ。わたくし達はお友達ですのに」
「そうよ。知っていたら、協力致しましたわ!アシュリー様は大切なお友達ですもの!」
口々にアシュリーと友達だったとアピールする女性達。
その言葉にアシュリーの顔は思わず強張っていた。
勿論、それに気付かないジーンでは無い。
「お友達、ですか。一体どのようなお友達なのか、是非とも聞きたいな」
ジーンの言葉に、アシュリーは過去の体験が脳裏を過り、思わずジーンの腕に力を入れてジーンを見上げると、ジーンはアシュリーを見返し、優しげに微笑んだ。
「大丈夫だから、私に任せなさい」
アシュリーにそう言い、その場に居る女性達へと目を向けたジーンの表情を見て、瞬きをするアシュリー。
その顔は、アシュリーに見せる物とは全く違い、笑みは無い。
「それで、お友達と言うからには、私よりもアシュリー嬢の事を知っているだろうから、貴女方とはどんな話をしていたのか、興味が湧くな。アシュリー嬢は流行や王都に興味が無いから、普通の会話では盛り上がらないだろう?」
「りゅっ、流行に、興味が無い?」
「普通の会話は盛り上がらない?」
思わず女性達が、顔を引き吊らせて呟くので、ジーンは口元に笑みを浮かべ、逆に問い返すものの、その目は全く笑っていない。
「おや?お友達なら、当然知っている筈ですよね?」
「もっ、勿論ですわ!」
「存じて居ります!」
「本!本に付いて、盛り上がった事が有りますわ!!」
誰かからの情報を思い出したのか、一人が自信満々で答えるのだが、勿論ジーンは更に突っ込んで聞く。
「普通の令嬢が読む類いの本は好まないのに、どんな本で盛り上がられたのかな?私には妹が居て、その妹も女性達が好まない本を好んで読むので、趣味が合い、盛り上がったと言っていましたが?」
リラもアシュリーも、ジャンルを問わずの雑食な本好きでは有るが、どちらかと言うと男性が好むような、史実や経済と言った本が特に好きだったりするのだ。
そしてそれは、アナスタシアにも該当し、男性顔負けの濃い討論を繰り広げるのだ。
だから、本と言えば甘い恋愛小説しか思い浮かばない貴族令嬢を相手に、話が盛り上がる事はあまり無い。
それを踏まえた上での追及だ。
「本当にアシュリー嬢と親しいので有れば、好みのジャンルぐらいは知っていて当然だと思うのだが?」
ジーンは先程までとは打って変わり、低く冷めた声で彼女達に再度追及するのだった。
0
お気に入りに追加
9,230
あなたにおすすめの小説
本日はお日柄も良く、白い結婚おめでとうございます。
待鳥園子
恋愛
とある誤解から、白い結婚を二年続け別れてしまうはずだった夫婦。
しかし、別れる直前だったある日、夫の態度が豹変してしまう出来事が起こった。
※両片思い夫婦の誤解が解けるさまを、にやにやしながら読むだけの短編です。
悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜
ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……?
※残酷な描写あり
⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。
ムーンライトノベルズ からの転載です。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!
蜜柑
ファンタジー
*第13回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。ありがとうございました。*
レイラは生まれた時から強力な魔力を持っていたため、キアーラ王国の大神殿で大司教に聖女として育てられ、毎日祈りを捧げてきた。大司教は国政を乗っ取ろうと王太子とレイラの婚約を決めたが、王子は身元不明のレイラとは結婚できないと婚約破棄し、彼女を国外追放してしまう。
――え、もうお肉も食べていいの? 白じゃない服着てもいいの?
追放される道中、偶然出会った冒険者――剣士ステファンと狼男のライガに同行することになったレイラは、冒険者ギルドに登録し、冒険者になる。もともと神殿での不自由な生活に飽き飽きしていたレイラは美味しいものを食べたり、可愛い服を着たり、冒険者として仕事をしたりと、外での自由な生活を楽しむ。
その一方、魔物が出るようになったキアーラでは大司教がレイラの回収を画策し、レイラの出自をめぐる真実がだんだんと明らかになる。
※序盤1話が短めです(1000字弱)
※複数視点多めです。
※小説家になろうにも掲載しています。
※表紙イラストはレイラを月塚彩様に描いてもらいました。
ヨメペット幼児園
桜羽根ねね
BL
その園には、幼児退行した青年達が通っていた──。
毎度おなじみ常識改変世界のとんでもネタです!
美形×平凡を中心に複数カプが出てきます。ふたなりくんやカントくんもいるよ。
全員いちゃいちゃらぶざまハピエンです!
何でも美味しく食べる方向けです!
【R18】翡翠の鎖
環名
ファンタジー
ここは異階。六皇家の一角――翠一族、その本流であるウィリデコルヌ家のリーファは、【翠の疫病神】という異名を持つようになった。嫁した相手が不幸に見舞われ続け、ついには命を落としたからだ。だが、その葬儀の夜、喧嘩別れしたと思っていた翠一族当主・ヴェルドライトがリーファを迎えに来た。「貴女は【幸運の運び手】だよ」と言って――…。
※R18描写あり→*
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
イケメンな幼馴染と婚約したのですが、美人な妹に略奪されてしまいました。
ほったげな
恋愛
私はイケメン幼馴染のヴィルと婚約した。しかし、妹のライラがヴィルとの子を妊娠。私とヴィルの婚約は破棄となった。その後、私は伯爵のエウリコと出会い…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる