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後日談
とある辺境伯の娘 1
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エヴァンス家の使用人達は、定期的に貴族の他家に潜入し、その内情を内側から調査する事が多い。
ここ、辺境伯の家にも、エヴァンス家の使用人達が数名、潜入捜査をしていたのだが、その使用人達からジーンに一報が入った。
曰く、『以前報告していた長女が家を出る事になりそうなので、王都に向かわせるように仕掛けます。あの馬鹿家族達は、没落させた方が良いと思います。長女に落ち度は有りません』といった内容だった。
その報告とは別に、その家で何が有ったのかが、詳しく書かれた報告書を一読し、その令嬢の肖像画を見て目を細め、ポツリと呟く。
「そちらが要らないのであれば、こちらが頂くとしよう。そして彼女を捨てた事を、存分に後悔させてやる」
この家の長女、アシュリーには、父が妾に産ませた、三つ年下のサラと言う名の義妹がいた。
アシュリーが十五の頃、実母が病で亡くなると直ぐ、父の妾とその娘が家に入り、新しい母と妹だと紹介された。
妹はとても愛くるしく可愛い顔立ちをしていて、父は彼女を溺愛し、とても可愛がり、甘え上手な妹に、欲しがる物は何でも与えた。
そしてアシュリーも、初めて出来る可愛い妹に内心喜び、可愛がっていたつもりだ。
アシュリーの家に男児はいない。
そして、父は他家からこの家に婿入りしたので、母が財務や領地経営と言った事を裏でサポートし、そのノウハウをアシュリーに叩き込んでいたのだ。
その為アシュリーが婿を取り、夫となる者をサポートする役を担っていた。
アシュリーの婚約者は、近隣の同じ辺境伯の三男で、アシュリーとは幼馴染みなので、ある程度気心の知れた仲だった。
義母と義妹が一緒に暮らすようになった後、アシュリーが父のサポートをしていたのだが、父はサラを構う事で、徐々に仕事を疎かにし、その分アシュリーが指示を出したり、領内視察をしたりとしていたのだが、そうなると婚約者と会える時間が徐々に減り、大きな夜会に二人で参加するのが精々だった。
そんなある日。
サラに話が有るのと言われ、アシュリーは何とか時間を作り出せば、何故かアシュリーの婚約者も同席し、サラはこう言った。
「ごめんなさい、お義姉様!お義姉様の婚約者だと、知ってはいたけれど、わたしは彼を愛してしまったの。本当にごめんなさい!!」
「サラ、君だけが謝る必要はない。済まないアシュリー。私は君では無く、サラを好きになってしまったんだ。君だとて、好きでもない男と結婚するのは嫌だろう?勿論、君の父上の許可は頂いている。君は、好きな男と結ばれてくれ」
彼等の言葉にアシュリーは、全身が凍り付いたような錯覚に襲われた。
ここ、辺境伯の家にも、エヴァンス家の使用人達が数名、潜入捜査をしていたのだが、その使用人達からジーンに一報が入った。
曰く、『以前報告していた長女が家を出る事になりそうなので、王都に向かわせるように仕掛けます。あの馬鹿家族達は、没落させた方が良いと思います。長女に落ち度は有りません』といった内容だった。
その報告とは別に、その家で何が有ったのかが、詳しく書かれた報告書を一読し、その令嬢の肖像画を見て目を細め、ポツリと呟く。
「そちらが要らないのであれば、こちらが頂くとしよう。そして彼女を捨てた事を、存分に後悔させてやる」
この家の長女、アシュリーには、父が妾に産ませた、三つ年下のサラと言う名の義妹がいた。
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そして、父は他家からこの家に婿入りしたので、母が財務や領地経営と言った事を裏でサポートし、そのノウハウをアシュリーに叩き込んでいたのだ。
その為アシュリーが婿を取り、夫となる者をサポートする役を担っていた。
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彼等の言葉にアシュリーは、全身が凍り付いたような錯覚に襲われた。
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