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後日談

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 男はマッドの言う通り、マッドを連れて、傭兵団の拠点に連れ帰る。

 勿論、顔色は悪いままでだ。

 その途中で、何人かの顔見知りと出会うが、挨拶だけして団長の居る場所へと案内させた。


「だっ……団長!マッドを連れて来ました!!」

「……マッド?」

「久し振りだなぁ、団長」


 マッドが顔を出せば、傭兵団の団長は驚いた顔をする。


「マッド、お前か!お前もこの国に居たのか~!」


 団長は嬉しそうにするが、マッドは冷やかな笑顔を張り付けている。


「あの馬鹿女、まだ居たんだってなぁ。あんたの面倒見が良いのは知ってるつもりだが、今回ばかりは裏目に出まくってんぞ。あの馬鹿女が初対面で貶した相手は、幼少の頃から侯爵家の令嬢と姉妹のように育ち、令嬢の嫁ぎ先にも引き抜かれた優秀な人材だってのに、それを初対面で、花売りだ邪魔だと抜かしたそうだなぁ。ダンが相当怒ってたぞ」


 ダンの名前を出せば、団長が更に驚く。


「マッド、お前、ダンと知り合いなのか?!」

「知り合いも何も、ダンは俺の兄弟子だ。ダンの親父さんが俺の基礎を叩き込んでくれた師だからな。序でに今の働き先は、ダンと同じ場所の貴族の屋敷だ。だからこそ言うが、あの女、大物貴族を敵に回してっからな?」

「ああ、聞いた。上位貴族だと言ってたそうだな」

「上位も上位、侯爵家の令嬢は、王弟公爵の奥方様だ。この意味解るな?お前等は、王族を敵に回してるようなもんだぞ。何せ、その王弟公爵様は奥方を溺愛しまくってるから、奥方の周囲の人間も大事にしてんだ。その奥方と姉妹のように育った女性を売春婦なんぞと言われて、怒らない方がおかしいだろ」

「「おっ……王、弟、公爵ぅ?!!」」


 マッドとライラを案内した男は、出て行く機会を失い、様子を窺って居たのだが、思わぬ話に聞き流す事が出来ず、団長と声をハモらせた。

 因みに団長からは、マッドの後ろに居るライラが全く見えない為、ライラの存在に全く気付いていないようだ。


「国王陛下も王妃も、度々屋敷に足を運んで下さる程仲が良く、仕事は有能。相当な資産家で、難攻不落と言われた程の女嫌いだったが、奥方に惚れ込んで、周囲がドン引く程の奥方一筋具合だからなぁ。この国では有名だし、ダンなんざ、先代の国王陛下とも親交があんぞ。元々ダンは、奥方に拾われて雇われたそうだが、ダンは王弟公爵にも信頼されてるからなぁ。そのダンの、心底惚れた嫁さん貶してんだからなぁ」


 マッドは懇切丁寧に団長を追い詰めて行く。

 馬鹿女に懇切丁寧に教える前に、団長にも正確な情報把握をさせて置くべきだと思ったからだった。
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