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後日談

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 シルビアは、ドレファン滞在時によく夢を見ていた。

 ダンに振られ続けていた頃の夢を。

 そして、シルビアの知らない女に、ダンを取られる夢を。

 ダンに振られ続けていた夢を見た時は、あれは過去で、今はダンと付き合い、ちゃんと結婚の約束まで取り付けたんだからと自分に言い聞かせていたが、ドレファンに滞在して二年が過ぎた頃からは、顔の見えない知らない女に、ダンを取られると言う夢ばかりで、ダンに会ってからも内心は怖かったのだ。

 だから、ダンに今度と流され、それでも食い下がったら、部屋に連れて行かれて、二人切りになれたのは嬉しかったけど、どう考えても、今すぐは無理だと言われ、心が壊れるような想いをした。

 だけど、それはシルビアの誤解で有り、ダンは、会えなかった三年分を埋めるかのようにシルビアを求め、シルビアを唯一の女だと言ってくれた。

 シルビアを女と見てくれるのはダンぐらいだ。

 そもそも、他の男性はシルビアを嫌う事が多い。

 それも、よく解らない理由で。

 確か、そんな男に囲まれた時にも、ダンが助けてくれた事が有る。


「お前の所為で、彼女に振られたんだよ!どうしてくれる?!」

「そうだ!俺だって恋人と結婚秒読みだったってのに、あの話は無かった事にと言われたんだぞ!」

「お前がいなけりゃ、俺だって意中の彼女と!!」

「……それは、私の所為だと言うんですか?」


 シルビアは、眉を寄せて聞き返す。


「お前が彼女に、何か吹き込んだんだろうが!でなけりゃ、女のお前の方が良いなんて、言う訳無いだろうが!!」

「「そうだそうだ!」」


 そもそも、言い掛かりを付けて来る男達も、その男達の女も、シルビアは知らないし、分からないと言うのが現状だ。

 その為シルビアは、その彼女とは誰かと聞いた方が良いのだろうかと悩んだのだが。


「おいおい、馬鹿か?お前等。んなもん、お前等がシルビアよりも、情けない男だ、ってだけだろうが」

「ああ?!」

「何だ?お前は!」

「誰だ!」

「誰だって良いだろが、俺の事なんざ。お前等の彼女?んなもん、シルビアが知る訳ねぇだろが。体よく振られただけだっつうの。それを女の所為にするなんざ、情けない以外に何かあんのか?言い掛かり付けてっと、シメるぞ?てめぇ等」

「上等だ!やれるもんならやってみろ!!」


 血の気が多い一人の男が、無謀にもダンに突っ込んで行き、呆気なくも、腕を捻り上げられた。


「おら、どうした。女相手に文句は言えても、男相手は無理だってか?そんなだから振られんだろが。もっと心身共に、鍛え直して来いや」


 ダンが腕を捻り上げた男を、他の男達の方に蹴り飛ばせば、男達はそそくさと逃げ出した。


「あんな阿呆の相手、してやる事はねぇぞ、シルビア」


 シルビアは、女性に庇われる事は有っても、男性に庇われた事は一度も無かったのに、ダンだけはシルビアを女として庇ってくれたのだ。
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