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後日談

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「いらっしゃいませ、マッドさん。お待ち致しておりました」


 綺麗なお辞儀を見せるサイナスにマッドは気軽に声を掛ける。


「あらぁ、有難うサイナスちゃん♪こっちはライちゃん。ライって呼んであげて?公爵様に挨拶したいんだけどぉ、今で良いかしらぁ?」

「ええ。マッドさんが時間をきっちりとご指定して下さっていたので、いつものサロンにいらっしゃいますよ。勿論、若奥様とご一緒に」

「じゃあ、たったと挨拶だけ済ませましょう。ダンちゃんもサロンにいるの?」


 マッドの言葉に、ライラが反応する。


「いいえ。今は庭にいらっしゃいますよ。初めまして、私はサイナスと申します、この家の執事です。何かお困りの事がお有りでしたら、直ぐにでもお申し出下さい。以後、お見知り置き下さい」

「らっ、ライ、です。あの、ボクは平民ですから、そんなに改まらないで下さい……」

「平民であろうと、お客様はお客様ですよ。さぁ、こちらにどうぞ」


 そう言ってサイナスは、主人夫婦のいるサロンに案内する。


「エドワルド様、マッドさんとお連れの方がご挨拶にと、おいでです」

「ああ、入れ」


 エドワルドの声で入れば、そこにはクルルフォーン夫妻がいつも通り、仲良く隣り合って座っている。


「話は粗方聞いた。ダンを家から出す訳にはいかないだろうから、来るのは構わないが、一人では許可しない。必ずマッドが同行しろ。それと、リラが開催している茶会の同行は避けて貰う。以上だ」


 素っ気なく言い切って、下がって良いとばかりに手を振る。

 冷たいと言うなかれ。

 一人で屋敷内を探索すれば、迷う事も有るし、茶会には、王妃で有る、アナスタシアも来るのだ。

 仮にライラの腕が、マッド達に並ぶと言うのなら未だしも、万一王妃を狙っての襲撃が有った場合、中途半端な腕では役に立たない所か、足を引っ張る可能性すら有るのだ。

 そんな不安要素等要らない。

 エドワルドにとって、リラとアナスタシアが守れるならば、他を切り捨てた所で問題は無いのだから。


「了解したわぁ♪それじゃああたし達は、ダンちゃんの所に行ってきまぁす!」


 エドワルドの意図もちゃんと理解したマッドは、確りと頷き、本来の目的を口にして、ダンが居るだろう庭の方向だけを聞き出し、庭の探索をする。


「ライちゃん、この家は、賊避けの罠とかが巧妙に隠されてるから、あたしから離れないでねぇ?」


 一応理由も含めて、マッドはライラに注意を促す。

 こんな所で、罠に引っ掛かりました~!なんて事になったら目も当てられないからだ。
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