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後日談

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 それからマッドはコランと近くの食堂に行って、他愛の無い雑談に興じる。


「マッドさんは、他国の方だったのですか」

「ああ、こことは違いあまり名前も知られていない小さな国だが、他国との交流は多く、俺が住んでた町も港町だったから、あちこちの傭兵や旅人、商人が頻繁に出入りしてたぞ」

「私はこの国から出た事が無いので、少し羨ましいですね」

「あ~まぁ、場所にもよると思うぞ?俺の見て来た国の中には、もっと劣悪な国も有ったしなぁ。他国に出たら出たで、自分の国の良し悪しが解るが、場合によっちゃあ突然拘束されるって事も有るからなぁ。勿論、何をした訳でも無くと言った状況でだ」

「そう言った場合はどうすれば?」

「成り行きに任せるかだが、碌でも無い事を言ってくる連中も多いから、身体は鍛えとかなきゃあ死ぬ事も有り得る。護衛だなんだと頼むのは良いが、最後に自分の身を守るのは自分になるから、自国で満足する方が良いと思うぞ?他国民は奴隷と考える国も有るし、内紛で常に争いが絶えない国も有るぐらいだからなぁ」


 そんな事を話していると、時計が目に入り、既に二時間程経過している事に気付く。


「っと、そろそろ帰る頃合いだなぁ。じゃあ、これは有り難く頂いて帰るぞ。またな」


 マッドは貰ったシャツの入った袋を振りコランに挨拶をする。


「はい。もうそんな時間でしたか……。楽しかったです、マッドさん。また色々とお話を聞かせて下さいね!」


 コランは名残惜しそうな顔をして、マッドとの別れを惜しんだ。

 そして、マッドは職場に戻ると、貰った紙袋を開けて、中を覗き見る。

(あらぁん♪綺麗な色のシャツねぇ。若草色って言うのかしらぁ?あたしが着れるような物で、くすんだ色のシャツは割りと見掛けるけど、こんな綺麗な色のは、お目に掛かれなかったわぁ♪早速着てみちゃおうかしらぁ♪)

 マッドはそんな事を思い、ソワソワしながら、シャツを手に取り着替えていると、扉がノックされる。


「だぁれぇ~?」

「ボクです、マッドさん。教えて頂いてた護身じゅ……つ……!!済みません!失礼しました!!!」


 返答が有ったので、思わず開けてしまったライラは、マッドの着替え中に気付き、顔を真っ赤に染めて、出ていった。

(ライちゃん……。反応が可愛いけど、あたしの身体は男だから、男相手にそんな反応を示すと、いつか相手に食われちゃうわよ?)

 ライラの反応を見たマッドが、この先のライラを大丈夫かしらと本気で心配した。
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