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後日談

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 サイナスはランドールを連れて入った会場で、直ぐに知り合いの子息に声を掛けられ、あっちに他の知人がいるぞと言われて早々片手袋になり、ランドールはショックを受ける。


「えっ?!放置?!来て五分と経っていませんよね?!」

「実は意外とよくいるんだよね。学院の友人がいるぞと言われて、パートナーよりそっちに行く子息。一応パートナーは、友人でも幼馴染みでも婚約者でも有りだけど、デビューして間も無くの令嬢でも、会場入りしたら家の看板背負ってると思った方が良いね」


 サイナスは周囲に目を配れば、目が合った子息役が近付いて来る。


「お美しい方ですね。私と一緒にダンスを踊りませんか?」

「いっ、いえ!私はパートナーがいますので!」

「ですが、そのような方は見当たらないようですが?きっとそのパートナーの方も、パーティーを楽しんでいらっしゃるのでしょう。こちらも楽しまなくては損ですよ」

「けけけけっ、結構です!」

「ふぅ~ん?それはどういう意味?僕と楽しむの?楽しまないの?」

「ごっ、ご辞退させて頂きます!」

「そう。じゃあまた次回に。次は一緒に楽しもうね」


 そう言って去って行く、子息役を見送りホッと一息吐くランドール。


「うんと言わなかった分、まだ良いか」


 ランドールは気付いて無かったようだが、あれは一夜の相手にも誘っていたのだ。あれに応じていたら、ダンスと見せ掛け休憩室に連れ込まれ、剥かれると言うオチだ。

 勿論今は擬似体験だし、使用人達にそんな趣味は無い。

 そうこうしている内に、令嬢役の侍女が寄ってきた。


「貴女、見た事無い顔ね」


 上から下をじっくり見たかと思いきや、鼻で嘲笑わらってそのまま去って行った。


「何ですか?!あれは!!」

「え?よく有る事だよ。自分より下だと確信したら、大概あんな感じだから。まぁ、絡む価値も無いと思ったから、あんな感じになるんだよ」

「かっ……絡む価値、無し?」

「だってお前、ビクビクしてるし、姿勢も悪くなってるし。令嬢からすれば、格下にしか見えないし、それで高物件が釣れるなんて思えないからね。パートナーがいたら、詰まり僕になるけど、婚約者だろうと恋人だろうと、しようと思えば普通に横取り出来ると認識されてるんだよ」

「いや、駄目ですよね?!それっ!!」

「取った者勝ちだよ。その為なら、身体を使ってでも誘惑するつもりだし。エドワルド様なんて、相当寄ってたかって来たんじゃない?普通のどこにでも居そうな令嬢を婚約者に据えてたら、凄い事になってたと思うよ?若奥様の場合、エドワルド様とここの若様が、徹底的に駆除しただろうし、若奥様も悪意で絡んで来る相手には、容赦ないからね」

「……あの、若奥様が、ですか?」

「若奥様は、守られてるだけの女性とは違うよ。本気で怒らせると、恐い目に合うからね」


 ランドールは今一ピンと来ないのだろう、首を傾げ、そんな物なのかな?と思いながらも近付いて来る次の相手に集中した。
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