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後日談

ジーンとの関係性 1

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 リラとエドワルドが結婚して、長期休暇が終わる頃、リラがベッドでポツリと呟いた。


「兄様……今頃どうしているのかしら……」

「リラ……もしかして家が恋しくなった?帰りたい?」


 エドワルドが、リラを抱き締め不安そうに聞いて来るので、リラは首を横に振り、エドワルドを抱き締め返す。


「そっ、そうでは有りません!わたくしにとって、エド様の居る場所が帰るべき場所ですから!!そうでは無く、その、もう少しすれば社交シーズンに入りますが、家にエヴァンス姓は兄様だけだと思うと、わたくしがそうなら、寂しいかなと思ってしまいまして……。だから、兄様がどうしているのか気になってしまったのです!えっ……エド様に、これ程愛されているのに、家に帰りたいなんて、決して思っていませんわ」


 今までは、シーズンオフに領地へ帰る事は有ったが、それでも頻繁に手紙を出し合っていたし、シーズン中は家で毎日顔合わせをしていたから、ふと、ジーンがどうしているのか気になったのだ。


「リラは本当に義兄上が好きだね」

「はい!兄様は、わたくしにとって、物語のヒーローのような存在なのです!!勿論、わたくしがヒロインだなんて図々しい事は言いませんわ!わたくしは語り手で良いのです!!」


 登場人物ですら無いと言う斜めっぷりに、突っ込んで良いのか悪いのか。

 本来はヒロインだったのだろうが、幼少期のトラウマ原因の弊害が、こんな所でも出てくるとは……。


「ジーン殿の場合は語り手でも構わないけれど、私が主役の物語は、リラが相手で無くてはいけないからね?そこはきちんと理解しなければいけないよ?」


 エドワルドはリラに甘く囁き、リラを抱き締めている腕を解いて、リラの素肌に愛撫を施す。

「はっ……はい……んぅっ……」

「じゃあ、休暇が終わったら、ジーン殿を夕食に誘おうか。きっと義兄上も、物凄く喜ばれる筈だ」


 リラが返事をする前に、その唇を塞いで貪り食らう。

 閨での約束事では有るが、エドワルドは忘れず休暇明けにジーンを誘った。勿論沢山の人がいる前で、リラからの差し入れと共にだ。


「ジーン殿、用事が無ければ今夜、夕食を共にしませんか?妻が義兄上の顔が見たいと、元気でいるだろうかと心配していましたよ。他の、エヴァンス姓の者が家にいないから、寂しいのではないかと言って」

「……馬鹿だな、リラは……」


 そのジーンの発言を耳にして、結婚式を見ていた者達は、あんな妹の何がいけない!!と一瞬思ったのだが、ジーンが今まで見せた事の無い類いの笑顔を浮かべたので、まさか?!と衝撃を受ける。


「勿論行かせて貰う。リラは私にとって、可愛い最愛の妹だからな」


 その言葉に、皆が皆固まった。


「コミュ障で、無表情が一番マシな顔だと思い込んでいる愚かな妹では有りますが、これからも宜しくお願い致します」


 エドワルドに頭を下げて、ジーンが今まで隠していた言葉をバラし、それを聞いていた貴族達は皆座り込み、魂が抜けたようになっていた。
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