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本編

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 どうやら、リラの自己評価の低さは、幼い頃の馬鹿子息の所為だけで無く、居合わせた夜会等で耳にした陰口や悪口が積み重なった部分も有るのだろう。


「リラ、他の者達の評価は気にしなくても良いよ。どうせ妬みや羨み等の悪意混じりで、心は入っていないよ。そんな連中の言葉に、耳を傾ける価値は無い。一般論とて、それが正しいとは限らないよ。それよりも、リラが好きだと思う家族や使用人達の言葉に耳を傾ければ良い。勿論私のもだよ」


 リラのサラサラした髪を撫でながら、エドワルドは言葉を綴る。


「どうせ、リラの事を知りもしない連中の言う事だ。心が狭いか、見る目の無い連中だとでも思えば良いよ。もしくは、それだけ世間を知らないのだろうと。女性の意見を、取るに足らないなんて、よく言えた物だと私は思うよ。女性が居なければ、種を存続する事だって出来ないと言うのに」


 エドワルドは女性嫌いではあるが、それはエドワルドに擦り寄り、媚びて来るからに他ならない。

 近寄って来られなければ何とも思わないが、周囲をウロチョロされたり、道を塞ごうとしたりして、邪魔にしか思えない行動をされる為、煩わしいのだ。

 本人はエドワルドに声を掛けられたいと思っているのかも知れないが、エドワルドからすれば、迷惑以外の何物でもない相手に、声を掛ける義理は無い。声を掛ければ付け上がるだけなのだから。

 そんな女性達を相手にする気は無いが、だからと言って、女性全般を貶す気は無い。

 アナスタシアのように、好感の持てる女性もいるのだから。ただし、恋愛感情を抱いたのはリラだけだが。


「他の、よく知りもしない連中の言葉なんて、リラが気に掛ける価値は無い。そんな物を気に掛けるぐらいなら、私の言う言葉に重きを置きなさい。リラは賢く美しい、私の愛する女性だ。他のどんな女性であろうと敵わない、私だけの愛しい半身。誰が何と言おうと私はありのままのリラが好きだ。だから、何の憂いも無く嫁いで来なさい。リラがこの先どんな風に変わろうと、私はリラだけを異性として愛するから、リラも私だけを異性として愛しなさい。私は何があろうと、リラだけは手離さないからね」


 エドワルドの言葉に、リラは抱き締められたまま、コクコクと素直に頷く。


「わたくしも、絶対に手離しません……」


 リラの呟きを聞いたエドワルドは、満足そうに微笑む。


「リラ、キスをしても良い?本当は素肌で抱き合いたいのだけれど、それは次のクルルフォーン邸に来た時の楽しみに取って置く。そう言えば、エヴァンス領に行っていた際に、屋敷の改装が終わったよ。リラのキッチンも出来ているし、確認もしにおいで」


 エドワルドの言葉に、リラは頷き、嬉しそうに微笑んだ。
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