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本編

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「可愛い孫を貰うのだから、多少殴られるかも知れないとは思っていたが、さすがに数時間は辛いな。有難うジーン殿」

「な、ぐっ?!?」


 リラは驚きの声を出しているが、セイル家では、女の子が身内にいる事自体が珍しいのだ。溺愛するリリーの子供は男であるジーンも可愛がっているが、リラへの愛は、暑苦しい程だ。


「いえ、あの二人ならやり兼ねないので。加減をするなら未だしも、エドワルド殿が流血沙汰だなんて、洒落にもならない。あの二人には、よく言って聞かせますよ。可愛いリラを泣かせるような事をしたら、リラの子供は抱かせない、とでも言って置きます」


 ジーンの言葉に、リラが真っ赤になって反応する。


「ここここっ子供だなんて、はっ、早いですわ!ジーン兄様!!」

「確かにまだ早いけど、結婚したら、いつ出来るかは分からないからね。それに、仮定の話だけど、いつかはそうなるじゃないか。それともリラは欲しくないの?エドワルド殿との子供」

「ほほほほ、欲しいに決まってます!!エドワルド様に似た子供なんて、男の子でも女の子でも、綺麗で可愛いですよ!」


(かっ……可愛過ぎるっっ!!襲いたくなるから煽るような事を言ってはいけないと言うのが解ってないのかっ?!人前だ人前!!)

 リラに悩殺されながらも、エドワルドは主張する。


「私はリラ似の女の子が良い。私似の男なんて、きっとリラを取り合おうとするからね。でも、暫くはまだいいかな。リラとの二人切りの時間を楽しみたいから」

「わわっ、わたくしに似たら可哀想です!虐められたらどうするのですか!!」

「「相手をシメる」」


 エドワルドとジーンがピッタリとハモる。顔は笑ってるが、その目は全然笑っていない。

 リラを溺愛するこの二人が、リラ似の娘を放置する事等、有り得ない話だ。

 しかも、リラと言う前例が有るのだ。許可無き者を立ち入れる気は無い。


「……あんまりその娘ばかり構い過ぎても、わたくしがイジけますからね?」


 二人がリラに似た娘を構い、リラがポツンと佇んでる姿を想像してしまったのだろう。リラとしては、複雑だったのだ。

(喩え、リラそっくりの娘が出来たとしても、当のリラを放置するなんて、有り得ないと言うのに!!この可愛過ぎる生き物は、自身の価値を知らなさ過ぎる!!!)

 ちょっと膨れているリラが、可愛過ぎて堪らない。

 勿論そう思うのは、エドワルドに限らずジーンもだ。


「大丈夫だよ。僕もエドワルド殿も、リラを含めて可愛がるから」

「私達がリラを放って置く筈が無い。リラを傍に置かないなんて考えられないからね」

「そっ……それなら良いのですが……約束ですよ?忘れないで下さいね?」


 二人は内心激しく悶えたのだった。
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