323 / 804
本編
272
しおりを挟む
二月になり、王都を出る日が遂に来た。
エドワルドはエヴァンス家を訪れて挨拶をする。
因みにエドワルドの方は、エドワルドが乗る分と、荷馬車の二台で済んでいる上、護衛らしい護衛はいない。
「ああ、私自身剣が扱えるし、ダンやマッド、ジーン殿もいる。それなのに、私の方でも態々護衛を連れて来る必要は無いと思ったからね」
「たっ、確かにそうですが、エドワルド様は不安になりませんか?」
「大丈夫だよ。ダンもマッドも信頼しているし、私は少数人数での方が好きだからね」
それを聞いていた双子達が、声を上げる。
「ルナ、いる~!」
「ルネも~!」
自己主張する双子達にもエドワルドは肯定する。
「そうだな。二人の腕も信頼している。勿論リラの事も」
その言葉に、双子達は満足感満載の様子だ。
エドワルドは、リラに向かって微笑み掛ける。
エドワルドは王族だ。幾ら王位継承権を放棄したとは言え、王族である事に変わりは無い。
だが、エドワルドは王族として振る舞うよりも、自ら動き、先を切り開く人だ。
そんな人に、信頼していると言われる事が、リラは嬉しくて仕方無いのだ。
「有難う御座います、エドワルド様。わたくし、とっても嬉しいです!」
「?私は事実を言ったまでだ。準備が出来たようだし、馬車に乗ろう。エヴァンス領内に入るまでは、リラと共に、ジーン殿も私の馬車に乗り込むようになっている。ジーン殿は世間一般では私のお目付け役だそうだよ。リラと仲が良いとも知らず、ジーン殿を仲間内に引き込もうとして、墓穴を掘ってる連中もいるらしい。エヴァンス家次期当主を悪の道に引き摺り込もうなんて、無理な事だと言うのにご苦労な事だ」
「兄様はエヴァンス侯爵の役割を、とても誇りに思ってますもの。エヴァンス家の名に傷が付く行為をなさるなんて、有り得ませんわ。皆様目が節穴なのです!」
「リラとの関係は兎も角、ジーン殿を見ていれば、不正や脳無し連中を嫌う傾向に有ると判る筈なのにな」
エドワルドはリラの手を取り馬車に向かえば、ジーンも馬車の方に寄って来る。
「忘れ物は無いね、出発しよう」
出発に時間を掛ければ次の休憩場所に遅れ、宿泊所に着くのが遅くなってしまう。時間は多目に取っているが、不測の事態が起きても大丈夫なように、時間を多く取るのは当然だ。早くに宿泊所に着いたら、そこでのんびりと過ごせば良いだけなのだから。
エドワルドの馬車に、リラとエドワルド、ジーンが乗り込み、エヴァンス家の馬車には、リリーと侍女達が乗り込んだ。
エドワルドはエヴァンス家を訪れて挨拶をする。
因みにエドワルドの方は、エドワルドが乗る分と、荷馬車の二台で済んでいる上、護衛らしい護衛はいない。
「ああ、私自身剣が扱えるし、ダンやマッド、ジーン殿もいる。それなのに、私の方でも態々護衛を連れて来る必要は無いと思ったからね」
「たっ、確かにそうですが、エドワルド様は不安になりませんか?」
「大丈夫だよ。ダンもマッドも信頼しているし、私は少数人数での方が好きだからね」
それを聞いていた双子達が、声を上げる。
「ルナ、いる~!」
「ルネも~!」
自己主張する双子達にもエドワルドは肯定する。
「そうだな。二人の腕も信頼している。勿論リラの事も」
その言葉に、双子達は満足感満載の様子だ。
エドワルドは、リラに向かって微笑み掛ける。
エドワルドは王族だ。幾ら王位継承権を放棄したとは言え、王族である事に変わりは無い。
だが、エドワルドは王族として振る舞うよりも、自ら動き、先を切り開く人だ。
そんな人に、信頼していると言われる事が、リラは嬉しくて仕方無いのだ。
「有難う御座います、エドワルド様。わたくし、とっても嬉しいです!」
「?私は事実を言ったまでだ。準備が出来たようだし、馬車に乗ろう。エヴァンス領内に入るまでは、リラと共に、ジーン殿も私の馬車に乗り込むようになっている。ジーン殿は世間一般では私のお目付け役だそうだよ。リラと仲が良いとも知らず、ジーン殿を仲間内に引き込もうとして、墓穴を掘ってる連中もいるらしい。エヴァンス家次期当主を悪の道に引き摺り込もうなんて、無理な事だと言うのにご苦労な事だ」
「兄様はエヴァンス侯爵の役割を、とても誇りに思ってますもの。エヴァンス家の名に傷が付く行為をなさるなんて、有り得ませんわ。皆様目が節穴なのです!」
「リラとの関係は兎も角、ジーン殿を見ていれば、不正や脳無し連中を嫌う傾向に有ると判る筈なのにな」
エドワルドはリラの手を取り馬車に向かえば、ジーンも馬車の方に寄って来る。
「忘れ物は無いね、出発しよう」
出発に時間を掛ければ次の休憩場所に遅れ、宿泊所に着くのが遅くなってしまう。時間は多目に取っているが、不測の事態が起きても大丈夫なように、時間を多く取るのは当然だ。早くに宿泊所に着いたら、そこでのんびりと過ごせば良いだけなのだから。
エドワルドの馬車に、リラとエドワルド、ジーンが乗り込み、エヴァンス家の馬車には、リリーと侍女達が乗り込んだ。
38
お気に入りに追加
9,249
あなたにおすすめの小説
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにて先行更新中
全裸で異世界に呼び出しておいて、国外追放って、そりゃあんまりじゃないの!?
猿喰 森繁
恋愛
私の名前は、琴葉 桜(ことのは さくら)30歳。会社員。
風呂に入ろうと、全裸になったら異世界から聖女として召喚(という名の無理やり誘拐された被害者)された自分で言うのもなんだけど、可哀そうな女である。
日本に帰すことは出来ないと言われ、渋々大人しく、言うことを聞いていたら、ある日、国外追放を宣告された可哀そうな女である。
「―――サクラ・コトノハ。今日をもって、お前を国外追放とする」
その言葉には一切の迷いもなく、情けも見えなかった。
自分たちが正義なんだと、これが正しいことなのだと疑わないその顔を見て、私はムクムクと怒りがわいてきた。
ずっと抑えてきたのに。我慢してきたのに。こんな理不尽なことはない。
日本から無理やり聖女だなんだと、無理やり呼んだくせに、今度は国外追放?
ふざけるのもいい加減にしろ。
温厚で優柔不断と言われ、ノーと言えない日本人だから何をしてもいいと思っているのか。日本人をなめるな。
「私だって好き好んでこんなところに来たわけじゃないんですよ!分かりますか?無理やり私をこの世界に呼んだのは、あなたたちのほうです。それなのにおかしくないですか?どうして、その女の子の言うことだけを信じて、守って、私は無視ですか?私の言葉もまともに聞くおつもりがないのも知ってますが、あなたがたのような人間が国の未来を背負っていくなんて寒気がしますね!そんな国を守る義務もないですし、私を国外追放するなら、どうぞ勝手になさるといいです。
ええ。
被害者はこっちだっつーの!
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語
瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。
長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH!
途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる