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本編

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(えっ、エドワルド様はタラシです!こんなにもわたくしを喜ばせて、どうする気ですか?!他の女性に触れられたくないけど、わたくしだけは良いなんて、そんなの、殺し文句でしか有りません!!もう、大好き過ぎますエドワルド様~!)

 どうするも何も、エドワルドは決してリラを逃がさず、結婚後も絶対に離さないでいる気なだけだ。

 その為に、溺愛しているリラをタラし続ける事等、造作無い。エドワルドにとって、リラに恋愛対象、性的対象として見られなくなる方が恐いのだから。


「リラは私にとって特別なのだから、安心して嫁いで来なさい」

「あっ、甘やかし過ぎて、図に乗っても知りませんよ?!」

「幾らでも図に乗って構わないよ。私にはリラがいれば、それで充分だからね」

「リラ嬢ちゃんの行く所には、大抵俺達も行くがなぁ~」


 ダンが揶揄うように茶々を入れるが、エドワルドは、それにも動じず頷き返す。


「それも承知している。リラの想いを無下にしないと言う事もな」


 だが、エドワルドの腕の中にいるリラは二人切りでは無い事を思い出し、エドワルドに訴える。


「ええええっ、エドワルド様!わたくし、お庭を見たいです!これでは見れませんので、離して下さい!」

「仕方無いな。でも、使用人達にも早めに慣れて貰わないと、結婚したらこれが普通な事になるんだよ?リラもあまり恥ずかしがってばかりいないで、慣れないとね」


 エドワルドはそう言って、腕の力を緩め、リラの手を取る。


「そそそそっ、そう言う物ですか?!」

「新婚とはそう言う物だよ」


 リラが思わずダンを見る。


「……まぁ、(熱愛バカップルは)そんなもんだろうなぁ。俺ん所の両親も、未だにそんな感じだし、ジルの旦那も未だにリリー奥さんとそんな感じだろ?」


 ダンは身近な夫婦を例に上げる。


「……ですわね……」


 エヴァンス家の人間は、貴族では珍しく、恋愛婚が多い。

 政略婚が無い訳では無いが、大事な一人すらも守れない様で、領地が守れるかと言った理屈から来ている為だ。

 エヴァンス家は、役割が役割なので、王族の血を直系に入れる事は無いが、仮に当主や次期当主が王女に惚れ、双方家を捨てる覚悟が有るのなら、平民として、エヴァンス領に匿う事は出来る。だが、それは、言葉にすれば容易いが、実際やり遂げる事は難しい。

 それに、当主となるべく育てられたのが、自領で平民として過ごすのだ。守る立場から守られる立場になるのだ。それがどれ程歯痒いか、当の本人でしか解らないだろう。

 勿論、エヴァンス家の使用人として働く事も可能だが、かつての自身が居た場所に、違う誰かが居るのを直視しなければならない。それを呑む覚悟が無ければ、到底認められる事では無いのだ。
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