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本編

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 リラの顔から火照りが消え、息も整う頃、エドワルドはリラを連れて馬車を降りる。

 エドワルドの執事であり、片腕でもあるランドールが、ダンと会話をしていたが、エドワルドが馬車から降りて来たのに気付き、エドワルドにエスコートされてるリラに挨拶をする。


「初めまして、私は執事のランドールと言います。屋敷の者達を代表して、未来の奥方様をお待ち致しておりました。以後お見知りおきを」

「こちらは私の婚約者のリラ=エヴァンス令嬢だ。ランドール、呉々も粗相の無いように。リラ、彼は屋敷での私の片腕のような存在で、ジェフにもある程度教育されている。この家でよく会うのが彼だろうから、顔だけは覚えて置いて」

「リラ=エヴァンスですわ。今後、宜しくお願い致します」


 リラは綺麗なお辞儀をする。


「では、先ずは屋敷の案内を」

「いや、庭からで良い。その為に庭師を連れて来ているからな。ダン、庭は好きに変えてくれて良い。リラの好きな花や、木の苗はジェフから聞いて、多少は揃えたが、どう配置するかはリラにも聞かなければと思っていたのだ。一応ランドールに手配を頼んだから、今日の昼にも業者が来る。それまでは、今手元に有る物の配置や植え替えをして欲しい」

「了解。んじゃあ早速見に行くか」

「「見る、行く~♪」」


 双子が元気良く返事をして、手を上げる。


「私が案内するから、ランドールは屋敷に入って居なさい。さぁリラ、行こう」


 エドワルドはリラの手を取り、庭を案内する。

 エドワルドはあまり庭に興味を示さなかった為、どちらかと言えば殺風景になる物の、庭は広大で、手の入れ甲斐も有ると言う物だ。


「本当に、こんな広大なお庭を、わたくしの好きにしても良いのですか?!」

「ああ、構わないよ。私は公務が忙しかったから、あまり庭に興味が持てなくて。リラ達が綺麗にしてくれたなら、私も嬉しいよ。クルルフォーン領の屋敷は滅多に行く事はないだろうけれど、そちらも好きな物を植えて、管理を任せる事も可能だし、ここも人手が足りないと言うのなら、何人かを追加で雇う事も可能だよ」

「ってか、興味無いなら、何でこんなでっかい庭付きを選んだんだよ?家も充分でかかったが、王都なら、庭は狭かったりそこそこだったりする家も有るだろうに……」

「ここは、王家が所有する家で、第二、第三と言った、傍系の王族が譲り受ける家になる家の一つだよ。元王子には、それ相応の家でと言う事になっているらしい。大体は、管理費が掛かり過ぎるからと、違う家に移り住む事が多いらしいけれど、私はそこそこ稼いでいるから、お金の心配は要らないよ。今の仕事を全て辞めたとしても、一生この家で、不自由無く暮らせる資産は持っているからね」


 さらりとエドワルドは言い切ったが、それは、とんでもない金額の資産を持っていると言う事で、他の貴族がこぞってエドワルドを欲しがる理由でもあった。
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