上 下
305 / 804
本編

254

しおりを挟む
 朝方まで、王族とエヴァンス家の者達で、ダンの他国の話や、アナスタシアの故郷の話、リラはエヴァンス領では普段どんな事をしているのか、雑談に興じる。

 アレクシスとアナスタシアは、昼頃に王都に住む住民や、王都に出て来た平民に新年の顔見せをしに、王宮のバルコニーに出なければいけないので、日の出まで一緒に過ごし、席を立つ。

 因みに双子達は、途中で眠くなり、部屋の奥にあるベッドで熟睡中だ。

 起きてからエヴァンス邸に戻ろうという事になり、それまでのんびりと過ごし、昼になる前にエヴァンス家へと戻る。

 昼になれば、国王一家がバルコニーに立つのを、一目見ようと大勢の人間が詰め掛けるからだ。

 エドワルドは馬車でエヴァンス邸に立ち寄り、玄関でリラと別れて屋敷に戻る。

 エドワルドも家で、クルルフォーン邸の使用人達と新年の挨拶を交わしてから、プライベートな空間に籠る。

 年明けから五日は政務官としての仕事も無いので、エヴァンス家においでとジルギリスから言われている。

 勿論、毎日リラに会える上、朝から晩まで居れば良いからとのお誘いに、エドワルドが喜ばない訳が無い。

 本当に行っても良いのかと、エドワルドが再確認した程だ。


「社交辞令で態々エヴァンス邸においでとは言わないから大丈夫だよ」


 その返事を聞いて、必ず行きますと返事をしたのだ。

 レオンは、三日から再教育が再開するが、エドワルドはリラとの仲でも深めていろと、アレクシス直々のお達しなので、エドワルドが王宮に顔を出さなくても良い事になっている。

 なので、エドワルドはその時間を、リラとの為に使うと決めている。

 政務の無い四日をエヴァンス邸で過ごし、エヴァンス邸ではエヴァンス家の家族として迎えられる。

 戸惑う事は多いが、エドワルドにとって、王宮に居た頃と比べると、まさに雲泥の差だ。

 そうしてエドワルドは新年からリラと共に過ごし、エヴァンス家の家族とボードゲームしたり、ダンやマッドに剣の相手をして貰ったり、リラの部屋でイチャイチャしたりと、充実した新年を過ごしていた。

 因みに、年越しのパーティーでジーンがリラと距離を置く態度を見せていた為、ジーンを味方に引き込む事ができるかも知れないと、画策した者達がジーンに手紙を寄越してきたので、ジーンは黒い笑顔で楽しそうに、ジルギリスやエドワルドと共にどう裁決を下すか話し合う。

 勿論有罪として。

 そもそも、幾ら仲が悪い妹であろうと、次期当主が、バレれば家が取り潰されるような話に、耳を貸すだろうと本気で思えるその頭自体を、どうにかしろと言いたかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】好きな人に身代わりとして抱かれています

黄昏睡
恋愛
彼が、別の誰かを想いながら私を抱いていることには気づいていた。 けれど私は、それでも構わなかった…。

【R-18】年下国王の異常な執愛~義母は義息子に啼かされる~【挿絵付】

臣桜
恋愛
『ガーランドの翠玉』、『妖精の紡いだ銀糸』……数々の美辞麗句が当てはまる17歳のリディアは、国王ブライアンに見初められ側室となった。しかし間もなくブライアンは崩御し、息子であるオーガストが成人して即位する事になった。17歳にして10歳の息子を持ったリディアは、戸惑いつつも宰相の力を借りオーガストを育てる。やがて11年後、21歳になり成人したオーガストは国王となるなり、28歳のリディアを妻に求めて……!? ※毎日更新予定です ※血の繋がりは一切ありませんが、義息子×義母という特殊な関係ですので地雷っぽい方はお気をつけください ※ムーンライトノベルズ様にも同時連載しています

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

【完結】番を監禁して早5年、愚かな獣王はようやく運命を知る

恋愛
獣人国の王バレインは明日の婚儀に胸踊らせていた。相手は長年愛し合った美しい獣人の恋人、信頼する家臣たちに祝われながらある女の存在を思い出す。 父が他国より勝手に連れてきた自称"番(つがい)"である少女。 5年間、古びた離れに監禁していた彼女に最後の別れでも伝えようと出向くと、そこには誰よりも美しく成長した番が待ち構えていた。 基本ざまぁ対象目線。ほんのり恋愛。

婚約者を想うのをやめました

かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。 「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」 最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。 *書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。

かわいそうな旦那様‥

みるみる
恋愛
侯爵令嬢リリアのもとに、公爵家の長男テオから婚約の申し込みがありました。ですが、テオはある未亡人に惚れ込んでいて、まだ若くて性的魅力のかけらもないリリアには、本当は全く異性として興味を持っていなかったのです。 そんなテオに、リリアはある提案をしました。 「‥白い結婚のまま、三年後に私と離縁して下さい。」 テオはその提案を承諾しました。 そんな二人の結婚生活は‥‥。 ※題名の「かわいそうな旦那様」については、客観的に見ていると、この旦那のどこが?となると思いますが、主人公の旦那に対する皮肉的な意味も込めて、あえてこの題名にしました。 ※小説家になろうにも投稿中 ※本編完結しましたが、補足したい話がある為番外編を少しだけ投稿しますm(_ _)m

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈 
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...