290 / 804
本編
239
しおりを挟む
夕食の準備が出来ましたと、侍女がリラ達を呼びに来る。
「長居してしまい申し訳無い。私も妻が待っているのでそろそろお暇をさせて頂くよ。ルナとルネ、だったね。年越しのパーティーで会えるのを楽しみにしているよ」
「「ん。送る、玄関!」」
双子がバルトを玄関まで送ると言うので、バルトはそれに甘える事にする。
「じゃあ、ルナとルネに送って貰おうか。では、私はここで」
「大したお構いもせずに、申し訳有りません。また今度、奥方様と一緒にいらっしゃって下さい」
「ああ、そうさせて頂くよ。じゃあ、行こうか」
リラ達とは部屋で別れ、双子達がバルトの手を片方ずつ握り、玄関まで送る。双子達もバルトも楽しそうで何よりだ。
リラは一息吐いて、無表情を装うのを止め、エドワルドに声を掛ける。
「わたくし達も行きましょう。食事が冷めてしまいます」
「ああ。……ダンは凄いな。まさかここまで差があるとは思わなかった」
エドワルドは若干落ち込んだ雰囲気を漂わせるが、リラからすれば、エドワルドは充分凄いと思えるのだ。
「わたくしも、エドワルド様が剣をお使いになられるとは、思ってもいませんでしたわ。エドワルド様、凄く格好良かったです!」
リラがキラキラした目で見て来るので、エドワルドは内心悶えるしかない。
(何だ、この可愛過ぎる生き物は!!私はダンに苦戦を強いられた挙げ句に、負けただけだと言うのに、それでもこんな風に見て来るなんて!!きっと、他の者なら慰める言葉を掛けながらも、内心ではがっかりするか幻滅する、もしくは貴族だから仕方が無いと思う程度なのに、まさか、本心で格好良かったなんて言ってくれるなんて、思いもしていなかった!)
多少がっかりされるか、ダンは強いから仕方が無いと、慰めてくるのではと思っていたエドワルドからすれば、リラの反応は予想外過ぎて読めない。
エドワルドが、顔をほんのりと赤く染めながらリラに聞く。
「……あれで剣を使えていると、格好良かったとリラは思ってくれているの?」
「はい!ダンを初めて相手にする者は皆、数分も持たない人が多いので。初めてであれ程長く持ったのは、数名程度だったと思いますわ!だから、エドワルド様は凄いです!」
そのリラの言葉に、同意するようにダンも言う。
「まぁ、そうだなぁ。ディーランでは、マーウの旦那と前の近衛隊長、後はエヴァンス家の使用人の中に三~四人いたぐらいか?」
「……そんなに少ないのか?」
「まぁな~。多少の手加減はしてるが、皆そんなもんだぞ」
マーウィンの場合は初見で上位貴族だと見抜いた為、手加減は加えているが、それでも数分は持つまいと思っていたのに、案外しぶとくて驚いた。
しかもそれが、この国の国王陛下だったなんて、誰が思うだろう。
ダンですら、この国平和だよなぁ……。と現実逃避したぐらいだ。
まぁその後、しつこく何度も挑み掛かられる事になり、げんなりする事になるとは思ってもいなかったのだが。
「長居してしまい申し訳無い。私も妻が待っているのでそろそろお暇をさせて頂くよ。ルナとルネ、だったね。年越しのパーティーで会えるのを楽しみにしているよ」
「「ん。送る、玄関!」」
双子がバルトを玄関まで送ると言うので、バルトはそれに甘える事にする。
「じゃあ、ルナとルネに送って貰おうか。では、私はここで」
「大したお構いもせずに、申し訳有りません。また今度、奥方様と一緒にいらっしゃって下さい」
「ああ、そうさせて頂くよ。じゃあ、行こうか」
リラ達とは部屋で別れ、双子達がバルトの手を片方ずつ握り、玄関まで送る。双子達もバルトも楽しそうで何よりだ。
リラは一息吐いて、無表情を装うのを止め、エドワルドに声を掛ける。
「わたくし達も行きましょう。食事が冷めてしまいます」
「ああ。……ダンは凄いな。まさかここまで差があるとは思わなかった」
エドワルドは若干落ち込んだ雰囲気を漂わせるが、リラからすれば、エドワルドは充分凄いと思えるのだ。
「わたくしも、エドワルド様が剣をお使いになられるとは、思ってもいませんでしたわ。エドワルド様、凄く格好良かったです!」
リラがキラキラした目で見て来るので、エドワルドは内心悶えるしかない。
(何だ、この可愛過ぎる生き物は!!私はダンに苦戦を強いられた挙げ句に、負けただけだと言うのに、それでもこんな風に見て来るなんて!!きっと、他の者なら慰める言葉を掛けながらも、内心ではがっかりするか幻滅する、もしくは貴族だから仕方が無いと思う程度なのに、まさか、本心で格好良かったなんて言ってくれるなんて、思いもしていなかった!)
多少がっかりされるか、ダンは強いから仕方が無いと、慰めてくるのではと思っていたエドワルドからすれば、リラの反応は予想外過ぎて読めない。
エドワルドが、顔をほんのりと赤く染めながらリラに聞く。
「……あれで剣を使えていると、格好良かったとリラは思ってくれているの?」
「はい!ダンを初めて相手にする者は皆、数分も持たない人が多いので。初めてであれ程長く持ったのは、数名程度だったと思いますわ!だから、エドワルド様は凄いです!」
そのリラの言葉に、同意するようにダンも言う。
「まぁ、そうだなぁ。ディーランでは、マーウの旦那と前の近衛隊長、後はエヴァンス家の使用人の中に三~四人いたぐらいか?」
「……そんなに少ないのか?」
「まぁな~。多少の手加減はしてるが、皆そんなもんだぞ」
マーウィンの場合は初見で上位貴族だと見抜いた為、手加減は加えているが、それでも数分は持つまいと思っていたのに、案外しぶとくて驚いた。
しかもそれが、この国の国王陛下だったなんて、誰が思うだろう。
ダンですら、この国平和だよなぁ……。と現実逃避したぐらいだ。
まぁその後、しつこく何度も挑み掛かられる事になり、げんなりする事になるとは思ってもいなかったのだが。
33
お気に入りに追加
9,230
あなたにおすすめの小説
本日はお日柄も良く、白い結婚おめでとうございます。
待鳥園子
恋愛
とある誤解から、白い結婚を二年続け別れてしまうはずだった夫婦。
しかし、別れる直前だったある日、夫の態度が豹変してしまう出来事が起こった。
※両片思い夫婦の誤解が解けるさまを、にやにやしながら読むだけの短編です。
悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜
ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……?
※残酷な描写あり
⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。
ムーンライトノベルズ からの転載です。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!
蜜柑
ファンタジー
*第13回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。ありがとうございました。*
レイラは生まれた時から強力な魔力を持っていたため、キアーラ王国の大神殿で大司教に聖女として育てられ、毎日祈りを捧げてきた。大司教は国政を乗っ取ろうと王太子とレイラの婚約を決めたが、王子は身元不明のレイラとは結婚できないと婚約破棄し、彼女を国外追放してしまう。
――え、もうお肉も食べていいの? 白じゃない服着てもいいの?
追放される道中、偶然出会った冒険者――剣士ステファンと狼男のライガに同行することになったレイラは、冒険者ギルドに登録し、冒険者になる。もともと神殿での不自由な生活に飽き飽きしていたレイラは美味しいものを食べたり、可愛い服を着たり、冒険者として仕事をしたりと、外での自由な生活を楽しむ。
その一方、魔物が出るようになったキアーラでは大司教がレイラの回収を画策し、レイラの出自をめぐる真実がだんだんと明らかになる。
※序盤1話が短めです(1000字弱)
※複数視点多めです。
※小説家になろうにも掲載しています。
※表紙イラストはレイラを月塚彩様に描いてもらいました。
ヨメペット幼児園
桜羽根ねね
BL
その園には、幼児退行した青年達が通っていた──。
毎度おなじみ常識改変世界のとんでもネタです!
美形×平凡を中心に複数カプが出てきます。ふたなりくんやカントくんもいるよ。
全員いちゃいちゃらぶざまハピエンです!
何でも美味しく食べる方向けです!
【R18】翡翠の鎖
環名
ファンタジー
ここは異階。六皇家の一角――翠一族、その本流であるウィリデコルヌ家のリーファは、【翠の疫病神】という異名を持つようになった。嫁した相手が不幸に見舞われ続け、ついには命を落としたからだ。だが、その葬儀の夜、喧嘩別れしたと思っていた翠一族当主・ヴェルドライトがリーファを迎えに来た。「貴女は【幸運の運び手】だよ」と言って――…。
※R18描写あり→*
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
イケメンな幼馴染と婚約したのですが、美人な妹に略奪されてしまいました。
ほったげな
恋愛
私はイケメン幼馴染のヴィルと婚約した。しかし、妹のライラがヴィルとの子を妊娠。私とヴィルの婚約は破棄となった。その後、私は伯爵のエウリコと出会い…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる