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本編

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 夕食の準備が出来ましたと、侍女がリラ達を呼びに来る。


「長居してしまい申し訳無い。私も妻が待っているのでそろそろおいとまをさせて頂くよ。ルナとルネ、だったね。年越しのパーティーで会えるのを楽しみにしているよ」

「「ん。送る、玄関!」」


 双子がバルトを玄関まで送ると言うので、バルトはそれに甘える事にする。


「じゃあ、ルナとルネに送って貰おうか。では、私はここで」

「大したお構いもせずに、申し訳有りません。また今度、奥方様と一緒にいらっしゃって下さい」

「ああ、そうさせて頂くよ。じゃあ、行こうか」


 リラ達とは部屋で別れ、双子達がバルトの手を片方ずつ握り、玄関まで送る。双子達もバルトも楽しそうで何よりだ。

 リラは一息吐いて、無表情を装うのを止め、エドワルドに声を掛ける。


「わたくし達も行きましょう。食事が冷めてしまいます」

「ああ。……ダンは凄いな。まさかここまで差があるとは思わなかった」


 エドワルドは若干落ち込んだ雰囲気を漂わせるが、リラからすれば、エドワルドは充分凄いと思えるのだ。


「わたくしも、エドワルド様が剣をお使いになられるとは、思ってもいませんでしたわ。エドワルド様、凄く格好良かったです!」


 リラがキラキラした目で見て来るので、エドワルドは内心悶えるしかない。

(何だ、この可愛過ぎる生き物は!!私はダンに苦戦を強いられた挙げ句に、負けただけだと言うのに、それでもこんな風に見て来るなんて!!きっと、他の者なら慰める言葉を掛けながらも、内心ではがっかりするか幻滅する、もしくは貴族だから仕方が無いと思う程度なのに、まさか、本心で格好良かったなんて言ってくれるなんて、思いもしていなかった!)

 多少がっかりされるか、ダンは強いから仕方が無いと、慰めてくるのではと思っていたエドワルドからすれば、リラの反応は予想外過ぎて読めない。

 エドワルドが、顔をほんのりと赤く染めながらリラに聞く。


「……あれで剣を使えていると、格好良かったとリラは思ってくれているの?」

「はい!ダンを初めて相手にする者は皆、数分も持たない人が多いので。初めてであれ程長く持ったのは、数名程度だったと思いますわ!だから、エドワルド様は凄いです!」


 そのリラの言葉に、同意するようにダンも言う。


「まぁ、そうだなぁ。ディーランでは、マーウの旦那と前の近衛隊長、後はエヴァンス家の使用人の中に三~四人いたぐらいか?」

「……そんなに少ないのか?」

「まぁな~。多少の手加減はしてるが、皆そんなもんだぞ」


 マーウィンの場合は初見で上位貴族だと見抜いた為、手加減は加えているが、それでも数分は持つまいと思っていたのに、案外しぶとくて驚いた。

 しかもそれが、この国の国王陛下だったなんて、誰が思うだろう。

 ダンですら、この国平和だよなぁ……。と現実逃避したぐらいだ。

 まぁその後、しつこく何度も挑み掛かられる事になり、げんなりする事になるとは思ってもいなかったのだが。
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