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本編

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「ここで待っていて下さい。あんな屑王の全裸や、あやかり女の全裸等、見たくもないでしょう?私はあれを殺す前に、あの節操無しな愚王の一物を去勢してやろうと心に決めていたので、見たくもない物を見せられた代償として、切り落として来ますから。マーウは来なさい。私一人では、動かれて手元が狂い、あっさり殺してしまい兼ねません。さすがにそれでは困ります。私はあの愚王にあっさりと死ねる死に方なんてさせたく有りませんから」


 ジルギリスが、実に良い笑顔で言い切った時、エドワルドとマーウィンを除く全員が、その背に真っ黒の翼と死神が見えた気がして、全身に嫌な脂汗が涌き出る錯覚に囚われ、生きた心地がしなかったと感じていたが、それを口に出せば、自分が標的になりそうで、大半の兵士達はドレファンでの出来事を、一切口に出さずに墓場まで持っていったらしい。

 エドワルドはジルギリスを親馬鹿呼ばわりしていた兵士を今引き渡そうかと思ったが、エヴァンス家の使用人達が裏で動いているかも知れないので、もう少し後で引き渡す事にする。

(愚王の去勢には、私も賛成だからな。どうせ数日内の命だろうが、とことん口答えする気力を削り取った方が、耳障りな声も聴かずに済むだろう。ああ、何ならあの舌も、切り落とせば、下らない言い訳や馬鹿な発言も、聞かずに済むかも知れないな。そうは言っても、一度ぐらいは発言を聞かねばならないだろうが)

 ジルギリスが国王の寝室に入り、少しした後に、外まで響く絶叫が響き渡る。

 ジルギリスはエドワルドが予想したように、エヴァンス家の使用人達を入れて、愚王の一物を切り落とす。勿論、意識の確りさせた状態で、ただ動けなくしただけで麻酔も使わず。

 ただし、ショック死や出血死等を避ける為に、使用人達の中に医師もいる。この程度で死なれては困るからだ。

(この阿呆には、ディーランに手を出した事を、とことん後悔して貰ってから、あの世に逝って貰わないと意味が無いからね。ドレファンが大敗した時もそうしたと記されていたけれど、どうも彼等には理解出来なかったのか、子孫に伝える事をしなかったようだからね。今回はきちんと伝えるように、愚王の首と上層部の首を並べて城下に晒して置こう。いい加減、平民達にも神がどうのと言う考えを、改めて貰わないと……)

 ジルギリスは全裸で叫び続ける男の切り落とした一物を、男の前で火を付ける。


「こんな物、触りたくも無いですから確り焼いてしまいましょう。少しは目が覚めましたか?早く上着を着て、少しは国王の威厳を出したらどうです?それもあと少しの事でしょうけれどね」


 不機嫌を隠しもせずに、ジルギリスは愚王に絶対零度の視線を向けた。
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