氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

本編

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　ダンが、隠し通路に控えている仲間に女を渡して、王妃を襲おうとした男をファーニーから受け取ると、ダン自ら男を担いで、隠し通路から城の外へと向かう。

　この隠し通路は、国王とエヴァンス家の者達しか知らない抜け道で、知らない者が迷い込めば、抜け出せず、死に至る場合もある程複雑なのだ。

　そんな通路を抜けて、ダンは城の外で待機してる仲間に男を引き渡す。

　男はエヴァンス家の馬車で、秘密裏にエヴァンス邸へと運ばれて、マッド達の贄になる。

　女の方は、手続きが済み次第、辺境へと送られる。

　アナスタシアは一時的に王妃の姿に戻り、ルナとルネを護衛に付けて待機、ファーニーは手引きした侍女の姿、リラとレベッカとリリーは共に、三人で隠し通路から元いた侍女の部屋に戻り、部屋に戻った事が分かるように、部屋の明かりで合図を送る。

　と、暫くして、取り次ぎの兵士が侍女頭に用件を話す。

　実は侍女頭も仲間に引き込んでいる。

　ジーンが、侍女姿に扮したリラ達を送り込む時に、侍女頭にも話を通していたのだ。そして、侍女頭には侍女頭だけに代々内密に受け継がれる箇条書きが有り、その中にはエヴァンス家に関する事も有る。

　曰く、エヴァンス家には必ず協力しろ、その遣り方に口を挟まない、そして、必要以上の詮索はするなと言った物だ。

　その箇条書きには、歴代の国王のサインがしてあり、国王公認の物だと分かる。

　そして、これは侍女頭だけに留まらず、極限られた者達だけに存在する極秘文書だ。

　侍女頭がリラ達三人を呼び、王妃様の夜勤当番と交代して欲しいと頼む。これもジーンの指示だ。

　この三人に交代させるのと、王宮に着いたばかりで不馴れだろうと言う理由を付けて、三人一緒に行動させて欲しいとジーンに頼まれていたからだ。

　今回、夜勤に当たる侍女がやらかそうとしていた事も、この三人を預かる時に聞かされていた為、侍女頭は内心あの侍女に激怒していた。

　最初はそんな事をするなんて、何かの間違いでは？と思っていたが、取り次ぎの兵士の用件を聴いて、侍女が実行に移したと知った。

　外からの用件で侍女の家族が急病で倒れたと言う言伝てを送る。と言われていたのだ。

　ただし、侍女が実行に移した場合、ここに戻って来る侍女は、その侍女そっくりの別人だから、丁重に頼む。と言われていた。

　そして侍女頭はリラ達を送り出し、暫くして来た、ファーニー扮する侍女に驚く。本人と違うと言われても、どこが？！と聞きたくなる程のそっくりだからだ。

　ただし、ファーニーは侍女の声真似をせずに、素の声で応対した為納得された。

　そしてファーニーは一旦城の外に出て、ダンが使用した抜け道から、城の中へと再び戻ったのだ。