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本編

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 エドワルドの言葉に、捕虜の男は本を手に取りページを捲る。

 男は、エドワルド達が持ち込んだ本を只管ひたすら読み続ける。

 嘘だ、信じられないと呟きながら。


「ディーランの歴史書だけで不満なら、ドレファン国の評価を他国の大使に聞いてみると良い。ただし、お前はドレファン国の罪人。大使に危害を加えられても困るから、裏からだ」

「……裏?」

「使用人達の使う部屋でなら、話を聞くことも出来るだろう。お前は使用人の服を着ろ。ただし、逃亡されても困るから、兵達を付ける。言って置くが他国の使者も、ドレファン国に対して良い印象は無いからな」


 そう言って、エドワルドはその男を連れ出し、とある部屋に向かう。


「これは王弟公爵様、どうかなさったのですか?」

「ああ、大使に少し聞きたい事が有ってな。ドレファン国をどう思う?」

「ああ、領土侵犯をして来たそうですね。本当にあの国は、馬鹿の一つ覚えみたいに……」

「ユリアナ国も、ドレファン国と領土を接していたな。ドレファンと同盟を結ぶ気は無いのか?」

「とんでもない!神の子孫?ただ初代の技量が良かっただけでしょう。呆れますよ。昔、大軍で戦を仕掛けて置きながら大敗してるのに、よく何度も挑戦する気になりますよね」

「大敗している事すら知らないのではないかな?国民はあの戦争で、国王が殺された事を知りませんから」

「あんな大掛かりな戦争を仕掛けて、ただで済む筈が無いでしょうに。あの戦争は周辺国で知らない国は無いですよ」

「周辺国ですら知る事実を、自国の国民が知らないなんて、滑稽としか言い様が無いよ」


 そんな雑談を、ユリアナ国の大使と話し続け、エドワルドが適度に話を切り上げ、元の部屋に戻った時、男も部屋に戻って来たが、顔色が悪く、その口は一言も話さなかった。


「どうだ?まだ他の国の大使に自国の評価を聞きに行ってみるか?結果は同じだろうが、納得するまで付き合ってやってもいいぞ?」

「……もう、結構です……」


 ぐったりと項垂れる男。それもそうだろう、周辺国で知らない国は無いとまで言われたのだから。


「お前もこの先、同じ事を繰り返すか?ディーランに大敗している事実を隠し、似非神の血筋を守り、国民達を幾度も死に直面させる。周辺国に馬鹿な国と言い続けられ、自国から出る事無く、偽りの神を崇め、自国民を騙し、自分を騙し、子孫達をディーランに攻めさせる。何故、ドレファンがディーランに勝てないか解るか?ディーランは進化しているからだ。お前達の国は、一歩も進んでいない。それがドレファンとディーランの違いだ」


 エドワルドは容赦無く追い込んだ。
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