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本編

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「ダンは分かるが、マッドは何故ここにいるんだ?警備しごと中だろう?」

「ああ、ダンに相談があってな。そういや、公爵様に会わせろとか言う貴族バカも来やがったんだが。公爵様に許可無く門前払い食らわしたけど、問題無いよな?」

「どこのどいつだその馬鹿は。他家にまで押し掛けるなんて、無礼にも程がある……。急用であるなら、クルルフォーン家の者が来るから問題無い」


 エドワルドは、リラを抱き締めたまま、きっぱり言い捨てる。


「ああ、その馬鹿っつーのはラガート令嬢らしいぞ。公爵に振られて、父親に激怒されたってのに、まだ懲りてねぇんだな」


 ダンの言葉に、エドワルドとリラは、初めての出会った時にいた、あの令嬢を思い出した。

 リラ的には毎回どうでもいい事で絡んで来ていた為、頭の中は大丈夫かと心配していたのだが。


「彼女……学習能力が無いのかしら……」

「ラガート……ああ、あの勘違い女か。話し掛けるなと言ったのに、まだ理解していないのか?」


 抗議と言う名の警告文だと言うのに、張本人である令嬢が態々わざわざ出歩き、関わるなと警告した相手に会いに来るとは、エドワルドですら思わなかっただろう。

 エドワルドの屋敷に来る事自体許されないと言うのに、訪問先まで押し掛けて来る等、迷惑極まりない。

 しかも、エドワルドがリラと会う為に忙しい中でどうにか時間を捻出し、何よりも大切にしているリラとの時間を潰そうとしたのだ。


「理解してねぇんだろうな。毎回ウチの嬢ちゃんに絡んでは、嬢ちゃんの正論に尻尾を巻いて逃げてったからなぁ。今回も、あんまりしつこかったんで、ジーン坊っちゃんが一筆書いて、実家に届けた。即引き取りに来たが、ジーン坊っちゃんの氷結攻撃に、父親は戦々恐々としてたぞ~」

「あの後、私が抗議の手紙を送ったと言うのに、野放しにした親も親だな。あそこまで自意識過剰な礼儀知らずになるのは親の教育が悪い。どうせ周りも甘やかすだけ甘やかしたのだろうが、限度があるだろうに。後でジーン殿に詫びを入れよう。私やエヴァンス家に関わるなと警告をしたと言うのに、ラガート侯爵はどうやら私に喧嘩を売っているようだとな」

「ああ、同位とは言えアポも無く、しつこく客人に会わせろって押し掛けてたからなぁ。今までは未成年者で手加減して来たが、今回の件では大切な客人にまで迷惑掛けようとしたから、さすがに見過ごせないって言ってたぜ?」


 これはもう、詫びを入れる序でに、この件もジーンと協力した方が早いなとエドワルドは思った。
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