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本編

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「それはエドワルド様にとって、良い事ですか?悪い事ですか?」


 エドワルドを見返すリラに、エドワルドは自然に笑みを返す。

(まさか、こんな風に笑える日が来るとは、自分でも吃驚だ)


「私にとっては良い事だよ。リラを見付けた事で、面白くも何とも無い色褪せた世界が、一気に色付いていったからね。自分でも吃驚だよ。ここまで感情が揺さぶられる相手に会えるなんて、思ってもいなかったから」


 エドワルドの変貌振りを知らないリラからすれば、リラと会う前のエドワルド等、想像出来ない。


「ジーン殿に聞けば分かるよ。私がどれ程笑わない人間だったか。まぁ、実際今もリラの居ない場所だとそれ程笑わないけれどね」

「……想像出来ません。だって……エドワルド様はいつもわたくしに、優しく笑い掛けて下さるのですもの」


 未だに膨れて拗ねているリラだが、エドワルドにとっては可愛いとしか思えない。


「私はリラ以外には優しく無いよ。……そんな私は嫌い?」

「?エドワルド様はエドワルド様ですもの。どんなエドワルド様でもわたくしにとって、エドワルド様は一人ですわ」


 膨れながらも、さらっと受け入れる発言をするリラが、エドワルドは愛しくて仕方無い。


「リラ、いい加減機嫌を直して?どうすれば機嫌を直してくれる?」

「……では、膝から降ろして下さい!わたくし、お疲れ気味なエドワルド様の上より、隣で寄り掛かって貰える方が嬉しいです!出来れば横になって下さい。あまりこんを詰め過ぎると、お身体に障りますっ!」


 そんなリラの言葉に驚くエドワルド。


「……そんなに、疲れているように見えますか?」

「何となくですが、わたくしはそう感じます!だから……休んで下さいね?」


 リラの言葉に、ダンが少し考えながら口にする。


「あー……そういや、エヴァンス家程の人材は無いから、公爵様がその大半を処理してるって坊っちゃんが言ってたな。……って、待てよ?それって通常の仕事もこなしてんだよな?おいおい公爵様、あんたいつ寝てんだ?」

「仮眠はちゃんと取っているから問題無い」


 ダンはその言葉を、あまり信用しない事にした。


「……嬢ちゃん、ここじゃあ休まらんだろうから、部屋のカウチで休ませてやれ。あんたは少し寝ろ!嬢ちゃんも付けてやるから!」

「本当に大丈夫だ。忙しい時はもっと疲れる時もある。今回はジーン殿がいるし、それ程酷くは無いから、時間が作り易い方なんだ」


 また、無理して来るなと言われたくないエドワルドは、横になる事を拒否した。
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