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本編

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 エドワルドは意識の無いリラの身体と自分の身体を簡単に洗い、湯の張られたバスタブで、リラを抱えながら浸かり、上がった後もリラの身体を拭き、用意されていた服を着せと、甲斐甲斐しく世話をして、ベッドまで戻ると清潔なシーツに取り替えられていた。

(これもジーン殿の采配かな?有能と聞いていたけれど、ここまで遭遇しないように配慮出来るのか)

 エドワルドは自分でシーツを剥ぎ取り、家の者を呼ぼうかと思っていたが、その手間も省けたので、意識の無いリラを清潔なベッドに横たえる。

 眠るリラを少しだけ眺め、約束の時間の少し前に、リラの部屋から出ると、丁度ジーンがこちらに向かって来る所だった。


「約束を守ってくれた事に感謝します。こちらに付いて来て頂きたい。愚かな馬鹿共が来る前に、本日のスペシャルゲストを紹介しますので」

「……スペシャルゲスト?」

「ええ。我が家の庭師の知り合いですが、時々、ご協力頂いている方々ですよ」


 そう言ってジーンは、最上階に作られた特別室、エヴァンス家では通称罠部屋と呼ばれる仕掛けの施された部屋へと案内する。勿論、愚かな屑連中に教えた部屋で、ああいった連中を罠に掛ける為の部屋だ。

 見た目は普通の上位貴族が使用する部屋。勿論、そのまま使用する事も可能な部屋で、置いている物も高級品だ。寝室は奥にあり、特に変わった様子は無い。が、そこには異様な人物がいた。


「あら、若様久しぶり~♪お呼び立て下さったそうね、有難う~♪王都じゃ中々会えずにいたから寂しかったわよぉ」


 そこには、ドレスを着こんだ筋肉ムキムキの男が数名控えていた。

 可愛いリラを散々堪能した後のエドワルドにとって、これはキツい。


「……ジーン殿?」


 エドワルドはジーンに怨めしそうな視線を向けるが、ジーンは気にしない。


「紹介しよう。彼女達・・・が、今回の屑連中共を(教調と言う名の)教育をしてくれる者達だ。屑共には自分達がしようとした事がどういう事か、その身を持ってきっちり味わわせてやる。マッド、こちらはクルルフォーン公爵様だ。彼はリラの婚約者で、一年以内には結婚する予定の相手だから、覚えておくと良いよ」


 マッド達は、見た目こそあれだが、中身は女性の、男性恋愛対象者だ。なのでジーンは彼女達と言い切った。


「リラお嬢ちゃんの旦那様。良いわぁ~♪スッゴク男前ねぇ!♪ああ、大丈夫よ、心配しないで?あたしだって、あの可愛いリラお嬢ちゃんの旦那様に、手を出すなんて、絶対にしないから!あたし達は、若様に言われてるの♪リラお嬢ちゃんに危害を加えようとする屑連中ならいくらでも相手にして良いって!貴族の男達って、華奢が多くて嬉しいわぁ~♪皆、一晩中愉しむわよぉ~!」


 マッドと呼ばれた男が、連れと一緒に寝室内に隠れ潜む。

「私達は屑共と少しだけ話した後は、出来るだけ寝室には入らないようにする。そっちで好き勝手にやってくれ。私のリラを辱しめようと考えた連中には、これぐらいの仕置きは必要だろう。彼等はそのつもりでこのエヴァンス邸に踏み込むのだから、自身がされたらどんな気分か、ここで学ぶと良い」


 ジーンはどす黒い笑顔で言い切った。
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