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本編

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 リラの中の熱が疼く。エドワルドの情熱的な口付けをされて以来の疼きだ。

(あつ……熱い……。変……嫌、こわい……)


「えっ、エドワルド様、怖いです!何か変~!」

「……変?」

リラの言葉に動きを止めて、顔を持ち上げリラを見る。


「なっ、何かゾワゾワします~!だ、怖いぃ~!」


 半泣きになりながらもエドワルドにしがみ付いて訴えるリラに、悩殺されるエドワルド。

(……それって、私に感じていると言う事だろう?何だ、この可愛い生き物は!!凶悪なぐらいに可愛過ぎる!!!)


「リラ、大丈夫だから。それは怖い物では無いよ。性行為の際に身体が感じているだけだから。気持ち良いとね」

「……気持ち、良い?」


 その言葉がエドワルドの欲情を更に煽る事になっていると気付かないリラは、潤んだ瞳で聞き返す。


「でも……そういった性教育の本には載っていませんでしたよ?その……ゾワゾワする、とか……かっ、身体が疼く、とか……」


(おっ……襲いたい襲いたい襲いたい襲いたい!!可愛過ぎるにも程がある!!落ち着け私!これからこの無垢で初心な彼女に、一から全部、何もかもを、私が全て教え込めるのだから!)

 役得感半端無い!!と、エドワルドはリラを潰さないよう抱き締める。


「変では無いし、怖い事なんて何もありません。私だからそうなるだけで……。ただし、私以外だと嫌悪感を抱くので、決して試してはいけませんよ?」


 エドワルドの言葉で、リラは本に載っていた裸で抱き合う男女の図解に自身と顔の分からない男を想像し、ゾッと血の気が引いた。


「やっ……いやです!だ!!気持ち悪いぃっ!!エドワルド様じゃなきゃ、いやぁ~!!!」


 急に必死にしがみ付いて来たリラに驚くも、その背を擦る。


「済みません、想像しましたか?大丈夫ですよ。私以外が貴女に触れるなんて事、絶対にさせませんから。私だけですよ、貴女の素肌に触れる事が出来るのは。だから、他の相手を想像せずに、私だけを想像しなさい。さぁ、リラ。私を見て。貴女の相手は誰なのか、その目でちゃんと見てご覧?」


 キュッとエドワルドにしがみ付く手に力を入れて、泣きそうな顔のまま、恐る恐るエドワルドの顔を窺い見る。

(……駄目だ。可愛過ぎて堪らない!!怯えさせないように、じっくり、ゆっくり味わっていかなければ……)

 エドワルドはリラの瞼のきわに口付けて、睫毛を濡らす涙を吸い取るようにリップ音を立てながら、リラの背中で急いで手袋を外し、再びリラの胸へと手を伸ばす。
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