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本編

54 (ジーン視点)

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 四曲目も、難無く踊り終えるリラとエドワルド。


「リラ嬢、飲み物を持って、少し外で涼みましょうか」

「ええ、そうします」


 エドワルドはリラの腰に手を掛けたまま、二人で飲み物を取りに行く。

 エドワルドの様子から、リラを逃がさない気が満々だ。リラは無表情を装っている為、周りはリラが喜んでいるのかそうで無いのかが解らないのだろう。

 ただ、一部の人間は、“王族や公爵狙いの癖に喜ぶ事も出来ないのか”とか、“ざまあみろ”と思っている者達もいる。リラ本人は喜んでいると言うのにだ。

 因みに、こう言った連中は大概リラ達から少し離れた場所で、ヒソヒソと話しているのだが、彼等は知らなかった。そう言った連中の近くにジーンがいて、彼等を密かに見張っている事を。

 そして、そのジーンを相手にリラに対する愚痴や、リラを公爵夫人にさせない企み等、良い具合にペラペラと喋ってくれる者達もいる。

 だから、ジーンはそれに対し、助言を与えるのだ。


「あまり喋っていると、知られてしまうぞ?」
[訳=あまり不穏な事を喋っていると、全部知られてしまうぞ?私やエドワルド殿に]


 そんなジーンの言葉に皆、こう返すのだ。


「大丈夫ですよ、ここには貴方と私達だけですから。ここにいる皆は全員不満を抱えているんです。彼女と公爵、特に貴方の妹君にね。貴方も嫌でしょう?彼女が貴方よりも身分が高くなるなんて」

「それもそうだな。だが、公爵はあれを離す気は無いぞ?」
[訳=それもそうだな。お前達は私に向かって喋っているのだから。リラの身分?そんな物で私達の仲が切れる訳が無い。だが、エドワルド殿は何があろうとリラを離す気は無いぞ?何せ陛下がドン引きする程の執着心だからな]

「ですから貴方に協力を求めているんです!屋敷に手引きして頂ければ、後は我々だけでやりますから」

「……良いだろう。今夜日付が変わる頃、私の屋敷に来れば良い。部屋は最上階を上がった右奥だ」
[訳=……良いだろう。エヴァンス家を敵に回すとどうなるか、我が身で嫌と言う程体験すれば良いさ。今夜日付が変わる頃、私の屋敷に来れば良い。部屋は最上階を上がった右奥だ。そこで使用人達と共に大歓迎してやろう]

「さすがジーン殿。やる事に無駄が無い」

「話は終わりだ。私まで怪しまれたくは無いからな」


 ジーンはテラス脇から彼等と別れる。彼等は知らなかった。不仲とされるジーンがリラ側だと言う事に。

(さて、丁度良い機会だ。エドワルド殿にもエヴァンス家ウチのやり方を見せてやろう。と言う事は泊まりだな。まぁ、あそこまで清々しい程の決意でトドめを刺したんだ。リラと言う褒美を与えるのに抵抗は無い。が、子供が先だとやはりリラが一番に非難されるだろうから、そこは譲れない。責めて式の日取りが決まり、一月を切ってからにして欲しい所だ)

 ジーンは遠目でリラ達を確認する。それから周囲も。

 不審な者達に目を光らせて、頭の中に書き加え、徹底的に調べ尽くして企みを全て暴き、裏でその内容に見合った裁決を下す。それがジーンの進む道だ。



*****

 ※7の兄視点をジーン視点に修正しました!こっちもジーン視点になる為、他が名前なのにジーンだけ名前じゃないのはなぁ~となりました♪
 そして、ジーンは裏で暗躍中~♪
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