71 / 804
本編
20
しおりを挟む
「えっ、エドワルド様に望まれて、不満に思う方なんて居ないと思いますし、寧ろ、不満に思われるのはわたくしの方ですわ!わたくし、本当に取り柄らしい取り柄なんてありませんし、他人との交流を期待されても困ります!」
リラは、取り柄が無いと言ってるが、本人はそのつもりでも、他から見ればそうでは無い。
他人とのコミュ障を除けば、特技は多いのだ。
しかも、記憶力が良すぎる程良いので、一度嵌まればそれに関する膨大な知識も吸収し、自身の物へとしてしまう研究者気質。
ただ、エヴァンス家の者は、リラ程の記憶力は持たないものの、広い知識を持つ者が多い為、本人は普通の人もそんな物だと思っているが。
リラ以外のエヴァンス家の者達は、エヴァンス家以外の者達を知っているから、リラの能力は普通では無いと知っているが、リラはエヴァンス家以外の者達との交流は無い為、自身を普通だと思っている。
他家に知られれば悪用しようと思う者達が出て来る可能性が高い為、リラの相手には婿入りさせる気でいたのだ。
(まぁ、エドワルド殿は、王位も権力も興味の無い方だから、リラの能力を悪用しようとは思わないだろうが、態々言う事でも無い。リラの能力よりも、リラそのものに惹かれているようだから、少しぐらいなら協力してもいいか。他の男と比べても婿入りさせれない事を除けば好条件だし、何より母が認めてしまったんだ。それなら、少しでも恩を売って協力し合い、敵の殲滅に力を注いだほうが良いだろう)
“敵”。それはリラがエドワルドに嫁ぐ事を良しとしない、自己都合主義の野心家や、お零れ頂戴のおべっか腰巾着、縁続き狙いの色仕掛け女と言った者達だ。
「リラ、昨日の夜中に焼き菓子を作っていたよね。リラの淹れてくれるお茶と一緒に食べたいな。エドワルド殿、甘い物は平気でしたよね?妹の手作りですが、いかがですか?妹の淹れるお茶も美味しいですよ」
「頂きます」
即答するエドワルドに、リラは驚く。
リラは夜中、確かに焼き菓子を作っていたが、あれは中々眠れそうになかった為、暇潰しにと作った物だ。
日持ちのする物なら大量に作った所で、使用人にも協力して食べて貰えば消費出来ると思ったからだ。エドワルドに食べさせる為に作った訳じゃないし、食べさせる事になると知っていれば、もう少し工夫した物を作った筈だ。
「おっ、お兄様?!あれは人様にお出しするような物ではありません!」
「大丈夫だよ。リラの作った物が口に合わないなんて言ったら、僕がこの家から追い出してあげる。リラはもう少し自信を持っても良いんだよ、僕の自慢の妹なんだから」
「おっ……お口に合わなくても、知りませんわよ?!」
[訳=お口に合わなかったらごめんなさい!!!]
つい、口調が外用になってしまったリラだった。
リラは、取り柄が無いと言ってるが、本人はそのつもりでも、他から見ればそうでは無い。
他人とのコミュ障を除けば、特技は多いのだ。
しかも、記憶力が良すぎる程良いので、一度嵌まればそれに関する膨大な知識も吸収し、自身の物へとしてしまう研究者気質。
ただ、エヴァンス家の者は、リラ程の記憶力は持たないものの、広い知識を持つ者が多い為、本人は普通の人もそんな物だと思っているが。
リラ以外のエヴァンス家の者達は、エヴァンス家以外の者達を知っているから、リラの能力は普通では無いと知っているが、リラはエヴァンス家以外の者達との交流は無い為、自身を普通だと思っている。
他家に知られれば悪用しようと思う者達が出て来る可能性が高い為、リラの相手には婿入りさせる気でいたのだ。
(まぁ、エドワルド殿は、王位も権力も興味の無い方だから、リラの能力を悪用しようとは思わないだろうが、態々言う事でも無い。リラの能力よりも、リラそのものに惹かれているようだから、少しぐらいなら協力してもいいか。他の男と比べても婿入りさせれない事を除けば好条件だし、何より母が認めてしまったんだ。それなら、少しでも恩を売って協力し合い、敵の殲滅に力を注いだほうが良いだろう)
“敵”。それはリラがエドワルドに嫁ぐ事を良しとしない、自己都合主義の野心家や、お零れ頂戴のおべっか腰巾着、縁続き狙いの色仕掛け女と言った者達だ。
「リラ、昨日の夜中に焼き菓子を作っていたよね。リラの淹れてくれるお茶と一緒に食べたいな。エドワルド殿、甘い物は平気でしたよね?妹の手作りですが、いかがですか?妹の淹れるお茶も美味しいですよ」
「頂きます」
即答するエドワルドに、リラは驚く。
リラは夜中、確かに焼き菓子を作っていたが、あれは中々眠れそうになかった為、暇潰しにと作った物だ。
日持ちのする物なら大量に作った所で、使用人にも協力して食べて貰えば消費出来ると思ったからだ。エドワルドに食べさせる為に作った訳じゃないし、食べさせる事になると知っていれば、もう少し工夫した物を作った筈だ。
「おっ、お兄様?!あれは人様にお出しするような物ではありません!」
「大丈夫だよ。リラの作った物が口に合わないなんて言ったら、僕がこの家から追い出してあげる。リラはもう少し自信を持っても良いんだよ、僕の自慢の妹なんだから」
「おっ……お口に合わなくても、知りませんわよ?!」
[訳=お口に合わなかったらごめんなさい!!!]
つい、口調が外用になってしまったリラだった。
55
お気に入りに追加
9,230
あなたにおすすめの小説
本日はお日柄も良く、白い結婚おめでとうございます。
待鳥園子
恋愛
とある誤解から、白い結婚を二年続け別れてしまうはずだった夫婦。
しかし、別れる直前だったある日、夫の態度が豹変してしまう出来事が起こった。
※両片思い夫婦の誤解が解けるさまを、にやにやしながら読むだけの短編です。
悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜
ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……?
※残酷な描写あり
⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。
ムーンライトノベルズ からの転載です。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!
蜜柑
ファンタジー
*第13回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。ありがとうございました。*
レイラは生まれた時から強力な魔力を持っていたため、キアーラ王国の大神殿で大司教に聖女として育てられ、毎日祈りを捧げてきた。大司教は国政を乗っ取ろうと王太子とレイラの婚約を決めたが、王子は身元不明のレイラとは結婚できないと婚約破棄し、彼女を国外追放してしまう。
――え、もうお肉も食べていいの? 白じゃない服着てもいいの?
追放される道中、偶然出会った冒険者――剣士ステファンと狼男のライガに同行することになったレイラは、冒険者ギルドに登録し、冒険者になる。もともと神殿での不自由な生活に飽き飽きしていたレイラは美味しいものを食べたり、可愛い服を着たり、冒険者として仕事をしたりと、外での自由な生活を楽しむ。
その一方、魔物が出るようになったキアーラでは大司教がレイラの回収を画策し、レイラの出自をめぐる真実がだんだんと明らかになる。
※序盤1話が短めです(1000字弱)
※複数視点多めです。
※小説家になろうにも掲載しています。
※表紙イラストはレイラを月塚彩様に描いてもらいました。
ヨメペット幼児園
桜羽根ねね
BL
その園には、幼児退行した青年達が通っていた──。
毎度おなじみ常識改変世界のとんでもネタです!
美形×平凡を中心に複数カプが出てきます。ふたなりくんやカントくんもいるよ。
全員いちゃいちゃらぶざまハピエンです!
何でも美味しく食べる方向けです!
【R18】翡翠の鎖
環名
ファンタジー
ここは異階。六皇家の一角――翠一族、その本流であるウィリデコルヌ家のリーファは、【翠の疫病神】という異名を持つようになった。嫁した相手が不幸に見舞われ続け、ついには命を落としたからだ。だが、その葬儀の夜、喧嘩別れしたと思っていた翠一族当主・ヴェルドライトがリーファを迎えに来た。「貴女は【幸運の運び手】だよ」と言って――…。
※R18描写あり→*
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
イケメンな幼馴染と婚約したのですが、美人な妹に略奪されてしまいました。
ほったげな
恋愛
私はイケメン幼馴染のヴィルと婚約した。しかし、妹のライラがヴィルとの子を妊娠。私とヴィルの婚約は破棄となった。その後、私は伯爵のエウリコと出会い…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる