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本編

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 暫くして、リラが落ち着きを取り戻す頃、席を外していた二人がサロンへと戻って来る。

(待って!折角落ち着いてきたのですから、そのままお帰り頂いて結構です!もうこれ以上の衝撃は要りません!)

 リラは心の中でそう叫ぶが、勿論そんなに都合の良い事等起こらない。

 その場でガッチリ固まったリラを相手に、エドワルドはリラの手を取り口付ける。


「一人にしてすみません。寂しかったでしょう?」

「いっ、いいえ?ちっとも、これっぽっちも寂しい等と思えませんでしたわ!」
[訳=貴方の事が頭から忘れられず、寂しいなんて思う暇すらありませんでしたわ!]

「それはそれで、私の方が寂しく思います。私の事で貴女の頭の中を占め尽くせられたのならば嬉しいですけどね」


(こっ、こここ……心をよっ、読まれたぁ~~~?!?何故?どうして解かってしまわれたのですか?!!)

 視線を外し、頬を赤く染められれば、相当鈍くない限りは解るだろうに。リラはそんな事にも気付かずに、エドワルドを凝視して口をパクパク動かし、更に顔を赤く染める。

(この可愛い生き物を、今直ぐ持って帰っては駄目だろうか。寝室に閉じ込めて、思う存分で尽くすというのに……)

 不穏な事を笑顔の裏で考えるエドワルドに、リラは気付く訳もなく、間近で見せられる甘い笑顔に落ち着きを無くす。


「こっこっこっ、公爵様!いい加減手をお放しになって下さい!」

「エドワルドです」

「……は、い?」

「公爵では無く、エドワルドと呼んで下さい。何ならエドでも良いですよ?」

「むむむっ、無理です、そんな、親しくも無いのに名前呼びなんて!」

いずれ私達は夫婦になるのに、爵位呼びなんておかしいじゃないですか。それに、親しく無いと仰いますが、初めは誰だってそうですし、貴女となら、これからいくらでもお互いを知る事が出来ます。だから、エドワルドもしくはエドと」


(ふっ……夫婦って夫婦って夫婦ってぇ~~~?!!)


「まっ、まだ、縁談を受けた覚えはありませんし、結婚なんてまだまだ先の話です!その間に気が変わる事なんていくらでもあるでしょうし、不快感が増す事だってありますわ!」
[訳=まだ縁談が成立した訳でも無いのに気が早すぎます!結婚なんて当人同士だけで出来る物ではありませんし、その間に公爵様の気が変わる事だっていくらでもあるでしょう?!わたくしに対する不満や不快感が増す事だってあるのですから、あまり好意を持たせるような発言をしないで下さいぃ~!]

「まだ逃げられると思っているのかな?可愛い人。残念ながら結婚は決定事項だよ。私の兄である、国王陛下にも話は通してあるからね。もし、結婚が取り止めになるとしたら、それは双方もしくはどちらかが死んだ時だけだからね」


 にっこりとエドワルドに物騒な事を言われているのだが、リラはそれよりも違う発言に気を取られていた。
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