ADHD(注意欠陥障害)の人

30代の頃

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旅館での仕事は午後3時まで部屋の掃除。
それから一時間の休憩を挟んで、調理場で夕食準備の仕事。

けっこう体力を使う。

調理場ではみんな忙しくてほとんど話をしないけど、掃除の時間、50代や60代のおばさん達と仕事をするのが憂鬱でたまらない。

「30才でしょ？なんで結婚しないの？」
「この仕事ずっと続けるの？社員にならないの？」
「彼氏はいるの？これからどうするの？普段何してるの？」
「お父さんとお母さんは何してるの？兄弟は？」

本当におばさん達は詮索するのが好きだ。

それに、私はこのおばさん達に見下され、私のいない所で色々噂されてるのがはっきりと分かる。

私が色々と失敗するたびに「またあの人失敗したよ」と、一人のおばさんが別のおばさんの所に言いに行く。コソコソとおばさん同士が固まって噂する。

掃除の仕事の時、完全に私は孤立している。


でも

私も同じような事をしていた。

ファミレスで働いていた時、30才でアルバイト、独身の男の人がいた。私はナオキくんとその人をバカにして笑っていた。

他の男の人はまだ10代だった私を甘やかしていたが、その人はとても厳しく、遅刻や失敗をする私を叱った。

確かボクシングがメインの仕事で、ファミレスは副業でやっていたと記憶している。


私はどうだろう。

その人を笑っていたけど、私も30才独身でアルバイト。彼にはちゃんとした夢があったけど、私には何もない。

笑われて当然かもしれない。

笑った報いかな、とも思う。