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今、大流行中の韓国の物を専門に売っている店を探し、入ると多くの人の目がこちらに向いた。
「きれー」
「絶対似合うよね」
変な目で見られているのではなく、褒められているのだと気がつき胸をなで下ろした。
「どれにしよう」
悩んでいると3人の女子高生に声をかけられた。
「あの、服を探してるんですか?」
「はい、どう選んだら良いか分からなくて」
「今まで如何してたんですか?」
そう思うのも仕方がない。雅の歳で服を選んだことがないと言うと変な目で見られるのがオチだ。
「昨日まで入院してて。ずっと病院服だったんです」
「あ、そうだったんですか!退院おめでとう御座います!」
「ありがとう御座います」
話が思ったよりも弾んできた。
「これなんか、如何ですか?」
1人の女子高生が服を一着持ってきた。抹茶色の胸が大きく開いた肩が出た露出の多いワンピースだった。胸も大きい雅ならきっと似合うだろう。もう1人が持ってきたのはノースリーブの上から華やかな白いレースでできた肩が出る服と黒といジーンズと竹でできた鞄だった。それとぴったりとしたジーンズ素材のミニスカートと、赤い半袖だった。白い文字でLOVEと書かれてあった。
「それ、買います」
「これは?」
女子高生たちのセンスは良く、どんどんどんどん雅に似合う服を持ってきてくれたり、人気のアクセサリーを持ってきてカゴに入れてくれる。
「沢山買いましたね~」
紙袋を両手に2袋ずつ持つと、女子高生たちと近くのお洒落なカフェに行った。
雅はベルギーチョコバナナパフェ、女子高生たちは猫をモチーフにしたふわふわショートケーキを頼んで食べていた。
「美味しい、これ」
甘過ぎではなく、好みの甘さで気に入った。
「お金持ちなんですか?」
「ここ、結構高くてなかなか入れないんです」
「しかも奢ってくれるって」
一瞬、なんと言おうか迷った。
「入院中に親族と死別してしまって、引き取って貰った人がお金持ちなんだと思います。まだ良く知らなくて」
雅のスマホに神楽坂の連絡先が入っていて、そこにカフェでスイーツを食べても良いかと連絡すると、構わないと返事が返ってきたが、すでに食べ始めていたので苦笑いを浮かべてしまった。
「ご馳走様でした!」
全員が食べ終えると店を出て雅は帰路についた。何もかも新鮮で面白くて、全身で幸せと喜びを感じられた。
「神楽坂さんが最近引き取った人?」
電車を降りて改札を出ると、急に声をかけられた。髪を桃色に染めた髪の短い男だった。
「そう、なるんでしょうか」
「ならいいや、神楽坂さんがお呼びだ」
ついて来いと言うことなのか、歩いてついて行こうすると男は浮き上がって飛んでいこうとする。
「え、歩いて行くんじゃ・・・・・・」
「なんで俺が歩くんだ?」
知るか!そんなもん!
雅は心の中で思い切り突っ込んだ。仕方がない、なんとか風を起こす。
「もうすぐ風が吹くよ」
ちゃんと風が吹いてくれた。男の後について空高く飛んでいく。雅の体の周りには暖かな風が優しく渦巻いていた。
「センスあるな、お前」
そう言われて嬉しくなり、赤面した。
「ここだ、奥に神楽坂さんがいるから」
本当に空を飛ぶと電車や車で移動するよりも早く着けて、安全だ。
「失礼します」
気の重い扉を軽くノックして部屋に入ると、そこには神楽坂がいた。青く光る瞳はあやしげな光を醸しだし、背筋になにかが走った。
「やあ、良く来たね」
その声は初めて会ったときとは違い、低く重たかった。
「きれー」
「絶対似合うよね」
変な目で見られているのではなく、褒められているのだと気がつき胸をなで下ろした。
「どれにしよう」
悩んでいると3人の女子高生に声をかけられた。
「あの、服を探してるんですか?」
「はい、どう選んだら良いか分からなくて」
「今まで如何してたんですか?」
そう思うのも仕方がない。雅の歳で服を選んだことがないと言うと変な目で見られるのがオチだ。
「昨日まで入院してて。ずっと病院服だったんです」
「あ、そうだったんですか!退院おめでとう御座います!」
「ありがとう御座います」
話が思ったよりも弾んできた。
「これなんか、如何ですか?」
1人の女子高生が服を一着持ってきた。抹茶色の胸が大きく開いた肩が出た露出の多いワンピースだった。胸も大きい雅ならきっと似合うだろう。もう1人が持ってきたのはノースリーブの上から華やかな白いレースでできた肩が出る服と黒といジーンズと竹でできた鞄だった。それとぴったりとしたジーンズ素材のミニスカートと、赤い半袖だった。白い文字でLOVEと書かれてあった。
「それ、買います」
「これは?」
女子高生たちのセンスは良く、どんどんどんどん雅に似合う服を持ってきてくれたり、人気のアクセサリーを持ってきてカゴに入れてくれる。
「沢山買いましたね~」
紙袋を両手に2袋ずつ持つと、女子高生たちと近くのお洒落なカフェに行った。
雅はベルギーチョコバナナパフェ、女子高生たちは猫をモチーフにしたふわふわショートケーキを頼んで食べていた。
「美味しい、これ」
甘過ぎではなく、好みの甘さで気に入った。
「お金持ちなんですか?」
「ここ、結構高くてなかなか入れないんです」
「しかも奢ってくれるって」
一瞬、なんと言おうか迷った。
「入院中に親族と死別してしまって、引き取って貰った人がお金持ちなんだと思います。まだ良く知らなくて」
雅のスマホに神楽坂の連絡先が入っていて、そこにカフェでスイーツを食べても良いかと連絡すると、構わないと返事が返ってきたが、すでに食べ始めていたので苦笑いを浮かべてしまった。
「ご馳走様でした!」
全員が食べ終えると店を出て雅は帰路についた。何もかも新鮮で面白くて、全身で幸せと喜びを感じられた。
「神楽坂さんが最近引き取った人?」
電車を降りて改札を出ると、急に声をかけられた。髪を桃色に染めた髪の短い男だった。
「そう、なるんでしょうか」
「ならいいや、神楽坂さんがお呼びだ」
ついて来いと言うことなのか、歩いてついて行こうすると男は浮き上がって飛んでいこうとする。
「え、歩いて行くんじゃ・・・・・・」
「なんで俺が歩くんだ?」
知るか!そんなもん!
雅は心の中で思い切り突っ込んだ。仕方がない、なんとか風を起こす。
「もうすぐ風が吹くよ」
ちゃんと風が吹いてくれた。男の後について空高く飛んでいく。雅の体の周りには暖かな風が優しく渦巻いていた。
「センスあるな、お前」
そう言われて嬉しくなり、赤面した。
「ここだ、奥に神楽坂さんがいるから」
本当に空を飛ぶと電車や車で移動するよりも早く着けて、安全だ。
「失礼します」
気の重い扉を軽くノックして部屋に入ると、そこには神楽坂がいた。青く光る瞳はあやしげな光を醸しだし、背筋になにかが走った。
「やあ、良く来たね」
その声は初めて会ったときとは違い、低く重たかった。
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