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「テオ、お待たせ」
「お仕事お疲れ様。僕に手伝えることがあったら言ってね」
「うん、ありがとう」

 仕事で席を外すと言って、部屋を出て行ったシエロが戻ってきて、僕は勉強をしていた手を止めて、シエロのもとに駆け寄った。僕は、近づいてようやくシエロの後ろに人がいることに気が付いて、足を止める。

「テオ君、久しぶり」

 そして、部屋に入ってきたのは、なんとブライト先生だった。

「ブライト先生!お、久しぶり……です!どうしてここに」
「僕が呼んだんだ。リアムに話があってね。そしたら、テオに会いたいっていうから」
「前より健康的な体になりましたね。良かった」

 その言葉に、当たり前だ、なんてシエロが返している。
 ブライト先生と留学に来てから帰るまでに会えると思っていなくて、驚いて固まっている僕をよそに、二人はなんだかんだと話している。シエロからブライト先生が協力してくれていたと聞いてはいたが、二人が話しているのを目の前にするとなんだか不思議な感じがして少し笑ってしまう。

「ふふっ」
「なにか、面白いことでもあった?」
「ううん、何でもないっ、ふふっ」
「……殿下、なんですか、その締まりのない顔は」
「うるさい」

 二人は気の置けない関係なんだと思うと嬉しかった。

「テオ君が好きそうなお菓子、持ってきたから食べようか」
「はい!みんなで食べましょう」

 そうして、紅茶を用意してもらい、三人でテーブルを囲んだ。
 色々な話をして、一息ついたころ、僕はどうしてもブライト先生に伝えたいことを話した。

「ブライト先生、ありがとうございました」
「え?急に改まって、どうしたの?」
「シエロから、聞きました。ブライト先生がシエロと再会できるように協力してくれたこととか、いろいろ」
「……そっか」
「それと、いつも僕のこと助けてくれていたから、そのお礼をさせてください。本当にありがとうございます。おかげで、シエロと再会できました」
「二人が再会できて、俺も嬉しいよ。本当に、良かった」
「はい」

 それからも、三人でお茶を楽しんだ。先生がいつまでこっちにいるのか聞いたり、僕の生活の話をしたり。先生はもうしばらくこちらにいるようだから、今度はみんなで、ソラナ殿下も呼んでお出かけをしようと話した。
 そんな楽しい時間を過ごした。


 それからも、いろんなことをして過ごした。海に出かけたり、街に出かけたり。両陛下とシエロとソラナとみんなでご飯を食べたり、お茶をしたり。楽しくて、初めての体験をたくさんした。もちろん勉強も、シエロの仕事の手伝いも変わらずした。そんなすごく充実した毎日を過ごした。
 “家”が、“みんなで囲む食卓”がこんなに安心できる、楽しい空間だったことなんてなかったから、そうなったことがすごく嬉しかった。
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