Crowd Die Game

織稚 影願

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第一章・1stGame~3rdGame

決着。そして、その後

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「久しぶりだなぁ、こんなに戦う前から血沸ちわ肉踊にくおどる気持ちになれるのは……!」
「あっそ、そりゃどーも」
「興味無さそうだな……まぁいい、始めようか……」
    そう言うと熊取屋ししやは、剣の先をこちらに向けてきた。
「そうだな……みんなを待たせてる」
    俺はそう溜息をつき、熊取屋を見ながらも脱力した。
「……余裕そうだな……それじゃ、こちらから行かせてもらう……ぞ!」
    熊取屋が言うと同時に、辺りに轟音ごうおんが響いた。
「ぐっ……!」
    瞬間、ハーデスが剣を振ると、ガキンッという音がした。熊取屋の剣とぶつかったのだ。
「……っ……!    はえぇな!」
「ふっ……まだ実力を出し切ってねぇぞ……!」
    熊取屋が叫ぶと同時に、衝撃波しょうげきはが起きた。
    ──ソニックブームだ。
「うっそだろっ!?」
    さすがに驚きの言葉を隠せなかった。というより、驚くなという方が無茶だった。
「どうした、その程度か?    喧嘩売っておいてそれは拍子ひょうし抜けだぞ!」
「……うっせぇ!」
    最後に反撃のごとく剣を振り熊取屋を遠ざけたが、しかしそれは一瞬の隙を作る程度で終わった。
    いや、程度、というのは、普通ならばで、一瞬の隙を作ることが出来たというのは、俺にとっては好機だった。
「でも……隙……多すぎるぜ?」
    そう言って俺は、熊取屋のふところへと潜り込んだ。
    そしてその瞬間、切っ先が熊取屋の首元に向いた。だが、それだけだ。
「……どうした?    切らないのか?」
「──いや……なんでもない……」
    そう言うと俺は剣を下ろした。
    と言っても、戦意を喪失そうしつしたわけではない。戦う気はある。だが……
「これ以上戦えねぇな……俺が死んでしまう」
「なんだ?    負けを認めたか?    それとも……」
「──まだ気づかねぇのかよ」
    決して俺は、負けを認めたわけでも諦めた訳でもない。
    最初から感じていた違和感を、ほかの感覚として感じ取ったからだ。
「なんの話しだ?」
「時計うさぎだよ」
「……は?」
「まだわかんねぇのかよ。お前やっぱ頭回んねぇのな」
「なっ……んだとっ!?」
「見ろよ、時計うさぎがいたところ。ぺちゃんこになってるだろ?」
    これは気の所為ではなかった。ちゃんとぺちゃんこになっている。つまりは
「もうあそこにはいねぇってことだよ。バーカ」
「……は?」
「つまり、あなたは失格ということですよ、熊取屋さん」
    途端とたんに、熊取屋の顔が青ざめるのがわかった。そりゃそうだ。
    眠らせたと思っていた時計うさぎが、平然としていて尚且なおかつ熊取屋の真後ろにいるのだから。
「──んで……」
「あ?」
「なんで!    なんでこいつが寝てねぇんだよ!」
「はぁ?    何言ってんだよお前。時計うさぎだぞ?」
「だからそれがなん──」
    熊取屋の言葉をさえぎるように、俺は切っ先を熊取屋に向けた。
「俺が恐れてる唯一の『バケモノ』だぞ?    この程度で眠られてちゃ拍子抜け過ぎて困る」
「──なっ……!」
    しかし熊取屋が続きを言うよりも先に、時計うさぎが熊取屋の動きを止めた。
「おっと、もうダメですよ。失格ですから」
「……くそっ……!」
    はからずして自らの勝利を勝ち取った俺は、そのまま立ち去ろうとした。
    正直、この勝ち方は自分の中でも納得がいかない。楽して勝てるならいいが、それでも相手の自業自得とはいえ、相手の失格負け。釈然しゃくぜんとしない。
「……」
    このまま終わってもいいのだろうか。もしかしたら、クルリアのみんなに侮蔑の目で見られるかもしれない。いや、そもそも納得すらしないだろう。
「これで負けたとは認めねぇぞ……!」
    熊取屋が言った。
「再戦だ……今度はてめぇと一対一タイマンで決着をつけてやるよ……!」
    その言葉で、俺の頭に電撃が走ったような気がした。
    そうだ。相手もこちらも釈然としないのであれば、再戦すればいい。相手が負けたと認める戦いをすればいい。こんなのは……勝ったとは言わない。
「──いいぜ?    ルールは簡単、殺してもよし、生かしてもよし。ただし生かす場合は相手がギブアップと言わせた方の勝ち。これでどうだ?」
「もちろんいいぜ」
「ただし条件がある」
    熊取屋の言葉を遮るように俺は言った。
「……条件……?」
「ああ。お前の再戦要求を飲む。その代わり、お前が負けたらクルリアは俺のチームの支配下に置き、お前の不正にさらった人は生きている限り全員解放すること」
「……厳しすぎやしないか?    それに、生きている限りってことは……」
「もちろん死んでいる場合は、遺族いぞくに謝罪だ」
「……うわっ、めんどくさ……」
「その条件を飲まないのであれば再戦はしない、クルリア中に触れ回ってやろう。お前は悪だと。そして、アホだと」
    もちろん、この条件を飲もうが飲ままいが結果は変わらない。遺族に謝罪しに行く時点で、触れ回っているのと同じだ。ならこの条件を飲む人は少ない。だが、ただそれだけなら、の話だ。
「その代わり、お前の安全は保証しよう。クルリアにいる人達に俺から頼んでおく」
「……なんだと?」
「命が大事か、プライドが大事か、どっちか選ぶんだな」
    そう、確かに条件を飲もうが飲まなかろうが変わりはしない。だが、飲んだ時に命の安全を保証されるのであれば、それは大きく変わる。
    触れ回った場合、クルリアで反乱が起き、熊取屋は大量の人と相手しなければならない。しかもその時は俺達も協力するつもりだ。そうなれば、熊取屋はおそらく死んでしまうだろう。だが、謝罪しに行った場合は、安全が保証されているため、死ぬことは無い。
    どちらをとるか、相手次第だ。だが賢いやつはもうひとつに気づく。俺の言った言葉に間違いがあることを。
「おいおい、何言ってんだよ……命とプライドが大事か、プライドだけが大事か……だろ?」
「……よく分かったな」
    条件を飲まなければ、命が危ういだけでなく、負け犬としてのレッテルを貼られることになる。それはものすごくプライドが傷つくだろう。だが飲めば、プライドだけで済む。つまりは、命が惜しいか惜しくないかの問題で、プライドなんてものは考える必要が無いのだ。
    要は最初から、熊取屋に選択肢などなかったのだ。
「…………わぁったよ、その条件飲むよ。だから再戦してくれ」
「いいぞ、むしろこちらこそだ。俺もこの勝ち方は釈然としないからな」
「なんだよ……お前もかよ」
    二人は苦笑した。

「さぁ……こっからがホントの戦いってなもんよ」
    熊取屋が剣を振り回し言う。
「……浮かれてるな」
    それに対し俺は構えながら答える。
    この二人の間に、ただの敵という感情は存在しない。二人の中にある感情はただ一つ。
    『殺す』という感情だけだった。
「当たり前だろ?    こんな強い相手と殺しあえるなんて嬉しいに決まってる」
「そうかよ……んじゃお望み通り殺してやるよ」
    もちろん、俺は熊取屋を殺す気はない。そもそも殺したら条件の謝罪とかができない。だが、殺す気で行かなければ勝てないのも事実だ。
「……私を置いて勝手に話を進めて……まぁいいです。では二人とも、準備はいいですか?」
「もちろんだ」
「……ああ。いつでも戦える」
    二人とも構えながら言った。お互いに睨み合いながら。
「ではいきますね……スタート!」
    その声を合図に、二人の戦いが始まった──。

    開始したと同時に、熊取屋と俺は跳んだ。熊取屋が切りかかりにくるが、俺はその攻撃をギリギリのところでかわす。
「相変わらず、速いな、おっさん!」
「お褒めに預かりありがとよ!    だが……褒められた気は全然しないな……!」
    実際褒めているのだが、たしかに簡単に追いつかれていては褒められた気はしないだろう。
    だがこれでも、ギリギリの所で追いついているだけで、完全とは言えない。俺に殺す気がないとはいえ、ギリギリまで攻められる熊取屋は確かに強い。
「そうかい……本気で褒めてるんだけどな……!」
「ありがと……よっ!」
    その打撃は、衝撃波しょうげきはのように周りに飛ぶように放たれた。正直威力がおかしい。
    本当に勝てるのだろうか。そんな疑問が、ふと頭をよぎった。いけない。そんな考えを持ってしまったら、それこそ負けてしまう。
「威力はバケモン並だな……だが、こっちも……!」
    言いつつ、こちらも剣を振る。衝撃波ソニックブームが起こった。だが、熊取屋の出した衝撃波ソニックブームより威力は弱い。熊取屋が腕を振ると、衝撃波ソニックブームは消えていった。
「本当にバケモンじゃねぇか……やっぱパワーはあっちに分があるな……!」
    だが、こちらもこれで終わる訳では無い。
    ──そろそろ終わらせる時が来たようだ。

    決着をつけるため、俺は熊取屋に対峙たいじして立った。
「一つだけ言っとくぜ?」
    俺はそう言って、今度は俺が熊取屋に剣を向けた。
    その直後、俺は熊取屋の視界から消えた。高速移動で一気に差を縮めるためだ。
    しかし流石は熊取屋、伊達だてにクランマスターの地位に君臨しているだけはある。
    高速で近づいた瞬間、熊取屋は振り向いて剣を素早く振った。
「……っ……ぐっ……!?」
    攻撃態勢から即座に防御態勢に移ったが、しかし受けるだけで正直精一杯だった。
    体格に似合わず意外に素早く、それに俺が後ろに回って攻撃をすると即座にわかる優れた五感。さらに、その攻撃に対するどうすればいいかの判断がぐに出来る。熊取屋はやはり強い。だが、負けはしない。
「一つだけ言っとくってのは……なんだ?    どうした、早く言えよ」
「いや……どうしようもねぇ事なんだがな……。俺って、実はただのプレイヤーとは違うっぽいんだわ。だから……ごめんな?    …………俺の勝ちだよ」
    そう言って、俺は熊取屋に対して片手をかざした。その手には魔力が宿っている。
「ただのプレイヤーじゃないだと?    ……バカ言え、どう見たってただのプレイヤーじゃねぇか。どこがただのプレイヤーじゃないんだよ」
「さて……?    どうだろうな。少なくとも、二刀流使いの時点で普通はないが……これはただのプレイヤーじゃできないと思うがな……?」
「はぁ……?    何言って……」
    俺は熊取屋の声を遮って、一言叫ぶかのように唱えた。
「“グラシオス”!!」
「……なんだぁ?    魔法みたいな呪文いいやがって。てめぇは剣士だろ」
「……言ったはずだぞ……とな」
    その瞬間、熊取屋の足元が凍り、木の根のようなものが地面から出てきた。
「……んだよこれ……!    まさか……本当に魔法だとっ!?」
「俺はただの双剣使いじゃない。俺は……」
    木の根のようなものは、熊取屋にまとわりついている。熊取屋の爪先つまさきがどんどんと凍り始め、動けなくなった。
「──俺は、死神の名前を受け継ぐ、ハーデス……いや。それよりはこっちの方がいいか。……俺は黒魔家末裔まつえいだ。よぉく、覚えとけよ?」
    こうして、熊取屋とハーデス──黒魔魔織くろままおりの戦いは終わった。

    戦いが終わり、平穏で平和な日常が来ると思ったが、しかし実際にはそうでもなかった。
    まず、熊取屋が回復するまで、クルリアの引き継ぎをした。熊取屋の住んでいた家は差し押さえとなり、『ネメシス』の第二拠点となった。と言っても、統治は引き続き熊取屋にやってもらうつもりだから、大した変化はない。
    統治してもらう条件もちゃんとある。まずは住民に手を出さない。そして何かあったら『ネメシス』の救援に向かうこと。だが基本的には農業など、産業中心でいてもらいたい。という条件で、熊取屋に統治の話を持ち出すと、「とんでもねぇ、それだけで生かされてるならな」と言って、快諾した。
    次に、熊取屋を引き連れ、攫われ、殺されてしまった遺族の元に行き、謝罪をした。遺族と言っても、家族という訳ではなく、友達や知り合い、赤の他人もいた。まぁ、チーム毎に内訳が変わるわけだから、当たり前ではあるが。
    遺族のみんなは、最初は恨みつらみを熊取屋にぶつけていたが、何度か謝罪をするとこころよく許してくれた。
「ハーデスがいてくれたから、みんな許してくれたんだ。じゃねぇと俺は入った瞬間死んでる」
    熊取屋の実力なら普通死にはしないが、今はクルリアの住民に手を出さないという約束をしているため、大人しく攻撃を受けることしか出来ない。だがまぁ、ここで死なれては困るから、俺もついて行っている。
   それが終わったら帰れるかと言うと、そうでもない。なにせ条件を出したとはいえ守るとも限らないし、街に慣れておくべきだ。しばらくはここで過ごす必要がある。
    とは言っても、
「……まぁ、一応休めるからいいか……」
    空いている建物は多かったため、男女別れて泊まることになり、風呂も各部屋にあり、銭湯も一応ある。しかも自動だ。電気も通っているらしい。
「便利な街だなー……つっても、ここで住むのもちょっとな……」
    便利で住みやすく、なんの不満もないように思えるが、それは普通の現代の生活ならば、の話だ。今はデスゲーム『Crowd』の途中。戦争中のようなものだ。戦時にここを拠点にするのはあまり向かない。
    こういう街は、奇襲に弱い。一軒家がポツンとある程度なら、奇襲に対処しやすいが、街だと広すぎるし、非戦闘員が多すぎる。そうなると対処が遅くなる。そういった点で、あまり向かないのだ。
「ここは貿易都市みたいにして、友好的にすれば、攻め込まれない……か?    いや、でも、こっちも攻め込みにくいな。都市手に入れても使いにくいなー」
    できる限りの人員と土地が欲しかったから勝負したが、街となると、非戦闘員がいて人員の意味がなくなる。
「……戦闘員を増やすか?」
    だが一夕一朝で身につくものでは無い。そんな期間待っていられるか、と思った。なにせ、今回の戦争で俺達の仲間はだいぶ減ったのだ。地上のみんなも標高が上がり苦しくなり始めるだろう。
「空気供給があると言ってもな……」
    俺はその後も、独り言のように──実際独り言なのだが──今後のことを自室で呟いていた。

    時は遡って、地上。
「宣戦布告って……何やってんだよ、あいつ!」
    ハーデスと同じ高校に通う生徒のひとりが、怒鳴るように言った。避難所の端まで響き渡る。
「やっぱり古川じゃダメなのかな……」
「あんなおっさんに勝てるわけねぇじゃん。もう終わったなー」
「でも、むしろ古川が死んじゃえばあと安心じゃね?    むしろなんであいつがリーダーなのかわかんねぇくらいにアホだから、別の人がリーダーなら……」
「バッカ、見てみろよ。会議っぽいのしてるの全員脳筋だぞ?」
「あぁ無理だ……もう終わった!!!」
    一人の叫びを皮切りに、他の人も口々に罵倒を呟く。
    この連鎖はしかし、ある少女の一言によって止まった。
「でも……古川を頼る以外、僕らが生き残る方法ないよね。古川だって、みんなが思うほど馬鹿じゃない。なにか考えがあるんだよ。多分──勝つよ」
    その発言は、説得力なんてなかった。だが、他の人全員の心に重く響いた。
    今までだって、見てきたはずだ。古川が、見たこともない力で、様々な敵を倒すのを。なら今回も、やってくれるはずだ。
    勝って……くれるはずだ。

    そして時は経ち、熊取屋との決戦。凄まじく、速い攻撃に、地上にいる全員は圧倒された。
「すっ……げぇ…………」
「なんだよ……あれが……古川なのかよ?」
「……強い……」
    みんな口々に感嘆の声を漏らす。古川がゲームに参加することに終わりを告げられたと思うのも、こうして古川の強さを前にして、感嘆するのも、無理もない話だ。なにせ、ゲームが始まる前までは、凡人中の凡人、なんの取り柄もないただの陰キャでしかなかったからだ。
    だが実際は、こうして策略を練り圧倒的な強さを持つ、人を超越したものだった。驚きしかないだろう。一人を除き、初めは誰もが絶望したのだから。
「やっぱり凄いね、……。信じてよかった」
    最初から信じ抜いていた少女は、安堵の溜息と共にそう言葉を零した。そしてその少女は、深い闇夜へと消えていった──。

    しばらくすると、モニター画面の中のハーデスはこう言った。
『一つだけ言っとくぜ?』
    その顔は、自信に満ち溢れた顔だった。勝ちを確信したような……そんな顔だった。
    そして実際、ハーデスは続けてこう言った。
『…………俺の勝ちだよ』
    と。そして手をかざし、熊取屋に向けた。
『“グラシオス”』
    その言葉で、熊取屋に異変が起きたのを、地上にいる全員が気付いた。
    そうして……ハーデスが勝った。あまりの出来事に、全員息を飲んで喋ることすらままならなかった。
    だが、次に言った言葉で、全員が我に返り、疑問を抱いた。
『俺は黒魔家末裔、黒魔魔織だ』
「…………は?」
    ハーデスは古川という名前だったはずだ。それなのに黒魔と言った。何を言ってるんだ?    とみんな思ったが、しかし下の名前で間違えていないのかもしれない、と思い始めた。
    ハーデスの名前は、古川真織まおり。何もおかしいところはない。黒魔魔織の字を知らないみんなは、疑問をそこには抱かなかった。だが、そもそも黒魔という苗字で疑問しかなかった。
「黒魔……どういうこと?」
    全くわからないと言うように、女子生徒が言った。
    しかしその答えを言えるものは、ここにはいない。
「それが……あいつの本名……ってことか……?」
「それ以外……ねぇだろ」
    黒魔の名にどんな意味を持つのか、この場にいる全員は知らない。だが、これだけは分かった。
    その名前を名乗ったのには、意味があるのだ、と。
    そして誰かが、今まで誰も抱いてこなかった疑問を口に出した。
「そういや……この戦争で人死んでたけど……なんで陸地が上がんないんだろう……?」

「はぁぁぁあ!?    戦争被害の死者では、地上は上がらない!?」
    何人が死んだのかを把握して、どれくらいの陸地が上がったのかが気になった俺は、時計うさぎを呼び、聞いてみた。
    その結果が、「地上は上がりませんよ」という一言だった。
「どうして!?」
「どうしてもなにも、本来この戦争では誰も死ぬことがなかったはずなのに死んで、それで上げられる、というのは理不尽でしょう?    流石にそんなことはしませんよ」
「……」
    流石に言葉が出なかった。これは優しさからなのか、それともなんの意図もなくなのか。その真意はわからないまま、しかし陸地が上がっていないことに対しては、安堵の声が漏れた。
「どうしました?」
「──っ、……よかっ……たぁ……」
    心底安心した様子で、実際に胸を撫で下ろした。
    これで今後の方針は決まった。地上が上がっていないというのなら、誰も苦しんでいない。これでゆっくり訓練ができる。
    こうして、チーム『トルスートイ』と『ネメシス』の戦争は、完全に終結した。
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みんなの感想(1件)

暇人
2018.12.23 暇人

内容はガキが書いたかのような黒歴史
こんなの投稿してて恥ずかしくないのか

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