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第一章・Gizel編
対荒らし、女の子に……
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俺は困っていた。
俺は今、トイレにいた。
しかし俺は、今、体が女の子である。
グリフィンの装備、トイレとかお風呂の時だけ外せる。ちなみに姿は女の子のまま。
トイレもお風呂も俺は目を瞑っているが、それだときついものがある。
「どうしたもんかね………男になれって念じても変わんないしな」
謎にそこら辺の能力無視がある。やめて欲しい。
自分の体とはいえ、俺は男だ。そういうのは犯罪な気がしてならない。
「でもこのまま入らなかったら漏れるぅ!」
究極の選択だ。
みなさんは自分の体が異性の体に変わっていたらどうしますか?
例えば男の人は女体化、女の人は男体化していたら。
作者はもちろん喜んで異性の姿になるでしょう。
でもそうはいかないこともあるのです。
その原因の二つがお風呂とトイレです。
皆さん、異性化はいいことばかりではないことを知ってください。
そして、俺もその一つの例だ。
俺は女の子になっても別に不自由はないと思っていた。
だが、この二つが生活の邪魔をしてきた。
「これは………早々に男に戻らなければならんな。」
でもどうしようもない。手段がない。
………もう諦めようか。
「女の子になれば、体のことで不自由もなくなるし、いいよな!?」
俺は半分ヤケになっていた。
しかしそうもいかない。激ねむのこともあるし、うさぎのこともある。なにより、俺の巻き添えに近い感じでこの世界に来たクラスのみんなのこともある。
みんなを引いて歩くには、男である必要がある。
男でないと、まず威厳がないからだ。え?男でもないって?うるさいな、あると思ってるんだよ俺は。
そして……クラスのヤツらに笑われる………そんなの絶対に嫌だ。
ということで戻らなければならない。
「おトイレもできない乙女な俺が男に戻る……無理ゲーに近くね?」
というか俺はまだ入れてないのだ。絶対漏れる。
俺は目を瞑って仕方なくおトイレを終わらせた。
「んー、これはこれは、完全に女の子だね」
俺は一人では無理だと思ったので、N君に相談に行った。
「女の子かぁ………男の子に恋したりとかするのかな」
何言ってるんだコイツ。ちょっと頭大丈夫か?
「それは知らんけど、完全に女の子のような感情もあるよ。例えば、可愛いものを可愛いと思ったりとか」
ん?あれ?俺男の時から可愛いものを可愛いと思ってたような………あれ?何も変わってない?
まぁいい、そんなことは戻る時には些細なことである。
「でも、ごめん、俺にもわかんないや。一番いいのは多分、男性用装備のモンスターを討伐することだと思う。」
「やっぱそれしかないかー」
それは考えなかった訳では無い。
しかし、それは認めたくない事実ではあった。
なにしろ、この装備をつけて、女の子になってからというものの、少し身体能力が落ちたのだ。
あの超人的な動きができたのは男の時のみで、女になったらあそこまでの動きはできない。
できるとすれば、能力の使用のみだ。
「きっついなー、それじゃあ。N君手伝って?」
俺は少し甘い声を出してN君にお願いした。
まぁ、釣られるだろうと………思ったわけですよ。
「うっ…………仕方ないなぁ、できる限りの事はするよ。でも、難易度7以上は誰にも行けないからそれ以外ならね。」
さて矛盾点を見つけた人はいるでしょうか。
俺は前にグリフィンを倒しました。あれは難易度☆9でした。
7以上は誰にも行けなくはないのです。男のGizelは普通に勝てるでしょう、7程度なら。
しかしまぁ、女になってからは7くらいで少し苦戦するでしょう。だからN君に頼んだんだけど。
「そっかー、わかった。じゃあさ、黒い感じの男性用装備ってどこにあるかは分かる?」
俺はN君に行ってもらうのを諦めました。
そして、自分で☆7に行こうと決めたのだ。
「防御弱くていいならすぐ作れるけど?」
その矢先にこれだった。
「………俺さ、見た目さえよければいいんだよね。戦いには関係ないし。」
なにしろ俺は能力で硬質化もできるし、障壁を張ることも可能なのだ。それなら防御はいらない
「それなら、1、2日かかるけどそれでもいい?」
「うん。一番早く終わるのがそれならそれでいいよ」
一番早く戻るのがそれならな。
しかし、これはまぁ実験に近い感じだ。幸い、お金はグリフィン討伐によって沢山あるからな。実験は何度でもできる。
「じゃあ、頼んだよ、N君」
俺はそう言って、その部屋を出た。
俺はβ連合に遊びに来ていた。いや、N君に相談に来たのがメインで、そのついでにβ連合の様子も見る、と言ったところだろう。
(しかし…………これ、いいのか?働いてる様子全くないが………)
俺はいくつもの部屋を見て違和感を感じていた。
それは、β連合の要塞に入った時から感じていた。
その違和感の正体とは、その、仕事をしている様子が全くない、という点である。
(さすがに、仕事しなさ過ぎだろこれ)
俺はこの団体の団員でもないため、口出しができずにイラついていた。
「よお、Gizel!何してんだ?そんな所で。」
俺が部屋を見ていると、突然声をかけてきたのは、スピカだった。
「やぁスピカ、お前こそどうしたんだ?」
「いや、俺はちょっと出かけてて、今戻ったとこなんだ。」
「あぁ……おかえり。俺はちょっと部屋の中の様子をね。」
スピカに言うべきだろうか。そもそも、スピカは仕事をしている様子が全くない事実を知っているのだろうか。
「部屋の様子?どうして?」
「あぁ、いや………仕事………してないなぁ……って……」
「え?そうなのか?N君に任せていたんだけど……」
そういえば、N君は司令官だったな。
「なんでだろ、働かせてないのかな?それとも、気付いていないのか……?」
そういえば、N君忙しそうだったなぁ………あ。
「N君忙しそうだったから、見てないんじゃ?仕事の書類がここに置かれているってことは、本当は仕事として割り当てられているんじゃないのか?」
仕事がないものは何も置かれないはずだ。見回りのものもしかり。うちなんて殆どが見回りだから書類はほかのところにはあまり置いていない。
「ってことは………んー、指示だそうって思ったけど俺こういうの苦手なんだよな。Gizel、お前指示出してくれるか?ってか、今日暇か?」
「暇っちゃ暇だよ。うちの書類は終わらせたしね。どうせ俺がいなくても、新しい書類とかは処理してくれるでしょ。優秀な副団長さんが。」
「よっし、なら決まりだな。手伝ってくれ。指示だしてくれるだけでいい」
つまり、書類片付けの割り当てをしろと?
「いいよ。ただ、かなり雑把になるよ。ここの団員知ってる人少ないから。」
「大丈夫だ!お前ならな!」
謎の信頼感は困るなぁ。まぁ、頑張るか。
「じゃあ、全員を集めてくれ。広場的なところにな。」
俺はにやりと笑い、そう言った。
「よーし、みんな集まったな?」
そこには、総勢千は超えるであろう人がいた。
そして演説台に立つのは………俺だ。
「それじゃあ、Gizel君による演説をはじめマース」
隣でスピカが元気にそんなこと言っていた。
「あ、あー………えっと」
俺は深呼吸をした。何のためにか?それは……
「てめぇら!刮目しろ!この書類の山はなんだ!?何故こんなにも多くある!何故か!分かるか!?」
こう叫ぶためだ。というかお説教の為。
「この書類の山はお前らが仕事してこなかったから起こったことだ!この書類の山はどうすべきだと思う!」
そこで、一人の手が挙がった。
「し、仕事して片付けるべきだと」
「いいや違うな。今までやってきてなかったんだから、これからも出来るはずがない。」
それならどうするか。強硬手段ではあるが、これしかない。スピカはまだしも、N君に後で怒られるかもしれない。覚悟しておこう。
「簡単な話だ。焼き捨てればいい。この中には結婚式の案内状や、無料券、優待券とかもあるかもしれない。だが、焼き捨てる。それが早いだろ?」
「そ、そんな!もったいな」
「それがお前達が招いた結果だろう?それともなにか?『俺達は悪くない』とでも言うのか?ふざけんなよ」
「で、でも無料券とかまで捨てる必要は」
「本当に焼き捨てればお前らは今後こんなことがないように仕事を頑張るだろう?それより焼き捨ててもらう方がいいか?これからも。まぁ、仕事しなくていいから楽だよな。」
俺は不敵に笑みを浮かべた。
「お前らはそうしたいんだろう?仕事をしたくないんだろう?別に飯には困らないだろうからいいだろ?」
今回のことは……俺は……。
少し悪役になるつもりでいる。
「でも、無料券とか欲しいのなら。チャンスをあげる。」
男用装備を今日中に………ってのは嘘で。
「今から2時間で5千万枚の書類をこなしてきてくれ。それができたら許そう」
ま、全員が、だけどね。一人でもできないやつがいたらもうダメだよぉ、みんなぁ?
「て、て言うか!」
しかし負けじと、β連合団員のうちの一人が声を上げた。
「お前、そんな権利ないだろ!部外者だし」
しかしそう言われても、残念ながら
「その権利ならもらって」
「女だし!」
…………………
「ん?Gizel?どうした?」
スピカが隣で心配そうに見てくる。
ごめんスピカ、数人死ぬかも。
「……………………あ”?」
俺は女とは思えない低い声を出した。
ものすごい形相で睨みながら。
「女だから?女だから………ねぇ……」
その途端そうだそうだと叫んでいた男が数人。
いきなり倒れた。
「今は女の姿だけど、女の姿だからってなめたら……」
俺は少し下を向き、ニッコリと笑いながら、上目遣いで。
「死ぬよ?」
と言った。
その瞬間、立っていたみんなは、跪くように雪崩落ちた。
「あ、あー、みなさん、こちらにおわすのはー」
いつの間にかN君が後ろにいたようで。
N君はマイクを片手に、俺のことを指した。
「かの有名な神聖帝の団長で………恐らくこの世界で2番目に強い人だよ。喧嘩はうらない方がいい。」
もし売るなら覚悟を持ってね?
「まじかよ……Gizelって女……?」
「違うよ。」
N君は、俺の変な噂が流れようという空気になる前に、それを否定した。
「彼は、あの難易度☆9の、誰も勝つことが出来なかった『グリフィン』を、ソロで勝った唯一の人だったんだけど、今そのグリフィンの装備を作って着けたら女性用装備だったってだけ。」
「そうだ。つまり不可抗力ってわけ。」
俺は可愛いー声で睨みつけてそう言った。
「だから、逆らわずに書類仕事してきた方がいいよ。今から。早く!」
N君の頬には汗が浮かんでいた。
あれ?何焦ってんのN君。
その言葉を受けて、団員たちは全員走って仕事に取り掛かった。
その場には俺とN君、スピカだけが残った。
俺は………その後N君に部屋に呼ばれた。スピカと一緒に。
「あのさぁGizel………怒るのは分かるけど、あの殺気は辞めてくれない?スピカとかめっちゃ震えてたよ?」
と言われてもな………
「というか、やりすぎ。どうすんのあれ。」
「結局焼かなかったんだから仕事したやつにわたしゃいいだろ。」
焼きたかったなー。まぁ、仕方ないだろう。
それより、あれの手配はできたのだろうか。
「あぁ、もう……まぁ、仕事するようになったから助かったけど………もういいや、怒るのもだるくなってきた。」
「お、おう………まぁ、あとはスピカに任せるよ。」
俺はスピカに責任転嫁した。
「はぁ…………もういいや。そうそうGizel、例の装備。明日届くよ。」
「お、そうか。なら明日戻れるなー」
まだ確定事項ではないが、俺はそう信じている。
俺は明日戻れる。
…………はずだったのに。
「なんで装備できないの!?」
装備しようとしても、やはりこの装備は呪われているという言葉が出てきた。
つまりどうやっても戻れないのだ。
「なに!?俺は女の子にならなきゃなの!?」
それは嫌だ。早く男に戻りたい。
ここ最近うさぎも冷たいし、激ねむも俺のこと聞いてからか、俺に会ってくれない。
なにより、クラスメイトに笑われるからArtoriaにも行けない。
「いいんじゃない?ちょっと女の子口調してみてよ」
N君は笑っている。腹を抱えて。ものすごく笑っている。怒るよ?
しかしそこで乗らない俺ではない。
「えぇー、無理だよー私にはそんなのー。私女の子じゃないもん!」
ちょっと頬を膨らませて俺は言った。
「おおー、可愛いじゃん」
と、スピカが言った。んなわけないだろ、褒めても何も出ないぞ
多分今にやけちゃってるよ俺。
あと、なんでN君は頬を赤らめてるのかな?
「か、可愛すぎだろ………ちょ、だめ……」
あっ、照れてるのか?
それとも惚れたのか?ダメだぞ俺は男だから!
「あー、可愛すぎて、似合いすぎて笑う」
笑っていたらしい。酷くね?
というか………
「か、可愛くない!可愛くないもん!やめて!やめてよー!」
照れるだろうが!思わず素の言い方で言ってしまった。
え?あの口調は素じゃないのかって?作ってました。
「照れてる………あー、これは貴重だわー」
「もう!やめて!?俺可愛くないから!ほんとに!可愛くないからやめてよ!」
「その否定の言葉の口調も可愛い………それも作ってんの?」
N君は笑いながら聞いてきた。
「いや、作ってない!作ったら可愛いとか言われるから!」
俺はちょっと顔を赤くして、そう言った。
すると
「まって、素でそれって、お前女の子向いてるんじゃないの?」
なんて言ってきやがった。笑いながら。
「むーいーてーなーいー!やめてってそういうのは!」
いい加減にしないと怒るよ!?
「はぁ…はぁ……まぁ、真面目にどうするか考えないといけないな。」
やっと話が戻った。
「そうだよなぁ………どうしよう、風呂とかで胸切り取るとか?」
「………切り取るだけの胸あるの?」
…………ゲシッ
「あいた!?」
失礼なことを言ってきたN君は俺に蹴られて悲鳴をあげた。
「ごめんごめん。でも、男って言い切るなら胸小さいって言われて怒るか?普通」
うっ………そこは否定出来ない。
「……目覚めちゃってんじゃねぇ?」
なっ………ないと言いたいが………
「否定出来ないのが辛い………うぅ………」
「んじゃ俺と付き合ってみ」
「それは絶対嫌だ。」
ネタで告ろうとしてきたN君は、俺に即答されて撃沈した。
「じょ、冗談だよ………そうだな、男の時はやって、女になってからやってないことはなんかある?」
え?なんの関係があるんだそれ
「んー………激ねむとのキス?うさぎと一緒に寝なくなったし……あっ、見回りもしなくなったな。」
してないことと言えばそれぐらいだ。
「「………リア充爆ぜ」」「て」「ろ」
N君とスピカに同時に言われてしまった。
ちなみに「て」がN君だ。
「……まぁいい。それじゃあ、全部やって来たら?見回りは俺らも行くよ」
それで治るのだろうか。
三つの選択肢のうち、まず俺は見回りをすることにした。しかし、それで変わるはずもなく、失敗に終わった。
「でも、新たに知れたこともあるなー………」
俺は3人で見回りをしながら呟いた。
「新たに知れたことって?」
「この街、やたらと女の子が優遇されてるんだよ。あと、気のせいかもだけど………」
俺は周りを見て言った。
「みんないやらしい目で見てきてる気がする」
「「それは無い」」
「声揃えて言うな!」
そんな全否定しなくても!
「だって、お前見た目からして完全幼女じゃん」
「普通に見てそれは………」
ふたりして否定しようとしていた時だった。
周りから視線を浴びている。
そう感じ取ったN君は。
能力を使った。
「『イーグルアイ』………」
『イーグルアイ』………察知能力を高め、細かな部分をも見ることができるようになる能力。
N君はどうやら、視線の先を辿っているようだ。
「ほんとだ……Gizelを見てる………それに、少しニヤついてる……?」
それだけではない。俺は普通の目で見てわかった。
「それに、結構の人が勃起してる…………」
そう。股間部が膨らんでいた。
「ね………いやらしい目で見てきてるでしょ……?」
というか、こんないたいけな少女の姿をした男に勃起するとは………みんな変態か?
「あ、それは多分ねー」
スピカが気がついたようにいう。
「グリフィンの装備がエロいからだと思うよ」
………は?
「だってさー、胸の部分と局部は隠れてるけど、露出度高いもん。そりゃ興奮するよ。」
ちなみにこの防具には相手を興奮させる作用はない。
てことは、体型関わらず
「装備が際どすぎるんだな……」
それならコートでも羽織ってくるんだった。
と、言うか。
「今からコート羽織ろう………」
俺はコート出現を念じてそのままそれを着た。
だが、ほかの人はいやらしく見てくる。
「まはか、ほんとに変態たちばかりか……!?」
と言っている時だった。一人の勃起男性が近づいてきて
「そこの女の子可愛いね…………魅力あるよ、俺とお茶しない?こんな奴らほっといてさ。」
と言ってきた。
さて、この場合俺はどうするだろうか。
N君やスピカが助けてくれるのを待つ?
いいや違う。むしろN君達には手出しをするなと目線で伝えた。
それならどうするか。決まっている。
「ごめん、日本語話してくれないかな?お猿さん?それとも日本語話せない?私猿語わかんないからお返事できないなぁ、ごめんねぇ?」
毒舌で煽る。
俺は、どんな温厚な人でも、ドMでも怒らせれる自信がある。何故か、それは一目見ただけでその人が怒るツボが分かるからだ。それだけではない。どんな人でも絶望に落とすことも出来る。
伊達に第一級調教師とは言われていない。これも調教のうちだ。
「なっ…………どういう意味かね……」
「え?バナナ食べたい?ごめんね私バナナついてないんだー、あの男の子に貰ったら?」
「下ネタかよ!」
男は青筋を浮かべて聞いてきた。それを軽く下ネタでスルーしたら、N君にツッこまれた。意味深じゃないよ。
「………ふざけているのかね君は。どうやら、無理矢理にでも犯されたいようだ。全員で取り押さえろ!」
その合図とともに、全員がこちらに向かってきた。
そして、俺たち3人によって倒された。その間約0.002秒。瞬殺だ。
「ねぇねぇ、雑魚のくせに『取り抑えろ』なんて大口叩いてこのざまってどうよ?なめんじゃねぇぞ、こちとら最高峰名乗ってんだよ。」
「さすがに俺たちに勝てると思ったのは愚策すぎだね。俺たちを舐めすぎた」
「それがわかったら今後Gizelちゃんに手を出そうとしない方がいいよ、お猿さん。」
俺達は喧嘩を売るように…否、喧嘩を売った。
そして、俺は声をかけてきた男に聞いた。
「なぁ、なんで俺襲おうとしたの?」
すると男は答えた。
「めちゃくちゃ可愛くて……エロかったから………知ってるか、この街ではな……」
男は一息置いて、言葉を続けた。
「貧乳とか好まれるんだよ………つい最近も、1人、捕らえた。犯される順番としてはまだ先だが………」
嫌な予感がした。俺はその捕えられた女の名前を聞いた。すると、返答は予想しなかった言葉だった。嫌な予感は的中した。
「激ねむって名前だったかな………」
「……なっ!?」
俺は憤った。道理で会えないわけだ。それ以前に、連絡すら取れなかったらしい。
するとN君がにやりと笑いこう言った。
「じゃあ次に試すのは、激ねむとのキスだな。」
そうして、俺らは激ねむ救出作戦を開始した。
そしてその時、捕えられている男も、にやりと笑っていたことに、俺達は気づかなかった。
俺は今、トイレにいた。
しかし俺は、今、体が女の子である。
グリフィンの装備、トイレとかお風呂の時だけ外せる。ちなみに姿は女の子のまま。
トイレもお風呂も俺は目を瞑っているが、それだときついものがある。
「どうしたもんかね………男になれって念じても変わんないしな」
謎にそこら辺の能力無視がある。やめて欲しい。
自分の体とはいえ、俺は男だ。そういうのは犯罪な気がしてならない。
「でもこのまま入らなかったら漏れるぅ!」
究極の選択だ。
みなさんは自分の体が異性の体に変わっていたらどうしますか?
例えば男の人は女体化、女の人は男体化していたら。
作者はもちろん喜んで異性の姿になるでしょう。
でもそうはいかないこともあるのです。
その原因の二つがお風呂とトイレです。
皆さん、異性化はいいことばかりではないことを知ってください。
そして、俺もその一つの例だ。
俺は女の子になっても別に不自由はないと思っていた。
だが、この二つが生活の邪魔をしてきた。
「これは………早々に男に戻らなければならんな。」
でもどうしようもない。手段がない。
………もう諦めようか。
「女の子になれば、体のことで不自由もなくなるし、いいよな!?」
俺は半分ヤケになっていた。
しかしそうもいかない。激ねむのこともあるし、うさぎのこともある。なにより、俺の巻き添えに近い感じでこの世界に来たクラスのみんなのこともある。
みんなを引いて歩くには、男である必要がある。
男でないと、まず威厳がないからだ。え?男でもないって?うるさいな、あると思ってるんだよ俺は。
そして……クラスのヤツらに笑われる………そんなの絶対に嫌だ。
ということで戻らなければならない。
「おトイレもできない乙女な俺が男に戻る……無理ゲーに近くね?」
というか俺はまだ入れてないのだ。絶対漏れる。
俺は目を瞑って仕方なくおトイレを終わらせた。
「んー、これはこれは、完全に女の子だね」
俺は一人では無理だと思ったので、N君に相談に行った。
「女の子かぁ………男の子に恋したりとかするのかな」
何言ってるんだコイツ。ちょっと頭大丈夫か?
「それは知らんけど、完全に女の子のような感情もあるよ。例えば、可愛いものを可愛いと思ったりとか」
ん?あれ?俺男の時から可愛いものを可愛いと思ってたような………あれ?何も変わってない?
まぁいい、そんなことは戻る時には些細なことである。
「でも、ごめん、俺にもわかんないや。一番いいのは多分、男性用装備のモンスターを討伐することだと思う。」
「やっぱそれしかないかー」
それは考えなかった訳では無い。
しかし、それは認めたくない事実ではあった。
なにしろ、この装備をつけて、女の子になってからというものの、少し身体能力が落ちたのだ。
あの超人的な動きができたのは男の時のみで、女になったらあそこまでの動きはできない。
できるとすれば、能力の使用のみだ。
「きっついなー、それじゃあ。N君手伝って?」
俺は少し甘い声を出してN君にお願いした。
まぁ、釣られるだろうと………思ったわけですよ。
「うっ…………仕方ないなぁ、できる限りの事はするよ。でも、難易度7以上は誰にも行けないからそれ以外ならね。」
さて矛盾点を見つけた人はいるでしょうか。
俺は前にグリフィンを倒しました。あれは難易度☆9でした。
7以上は誰にも行けなくはないのです。男のGizelは普通に勝てるでしょう、7程度なら。
しかしまぁ、女になってからは7くらいで少し苦戦するでしょう。だからN君に頼んだんだけど。
「そっかー、わかった。じゃあさ、黒い感じの男性用装備ってどこにあるかは分かる?」
俺はN君に行ってもらうのを諦めました。
そして、自分で☆7に行こうと決めたのだ。
「防御弱くていいならすぐ作れるけど?」
その矢先にこれだった。
「………俺さ、見た目さえよければいいんだよね。戦いには関係ないし。」
なにしろ俺は能力で硬質化もできるし、障壁を張ることも可能なのだ。それなら防御はいらない
「それなら、1、2日かかるけどそれでもいい?」
「うん。一番早く終わるのがそれならそれでいいよ」
一番早く戻るのがそれならな。
しかし、これはまぁ実験に近い感じだ。幸い、お金はグリフィン討伐によって沢山あるからな。実験は何度でもできる。
「じゃあ、頼んだよ、N君」
俺はそう言って、その部屋を出た。
俺はβ連合に遊びに来ていた。いや、N君に相談に来たのがメインで、そのついでにβ連合の様子も見る、と言ったところだろう。
(しかし…………これ、いいのか?働いてる様子全くないが………)
俺はいくつもの部屋を見て違和感を感じていた。
それは、β連合の要塞に入った時から感じていた。
その違和感の正体とは、その、仕事をしている様子が全くない、という点である。
(さすがに、仕事しなさ過ぎだろこれ)
俺はこの団体の団員でもないため、口出しができずにイラついていた。
「よお、Gizel!何してんだ?そんな所で。」
俺が部屋を見ていると、突然声をかけてきたのは、スピカだった。
「やぁスピカ、お前こそどうしたんだ?」
「いや、俺はちょっと出かけてて、今戻ったとこなんだ。」
「あぁ……おかえり。俺はちょっと部屋の中の様子をね。」
スピカに言うべきだろうか。そもそも、スピカは仕事をしている様子が全くない事実を知っているのだろうか。
「部屋の様子?どうして?」
「あぁ、いや………仕事………してないなぁ……って……」
「え?そうなのか?N君に任せていたんだけど……」
そういえば、N君は司令官だったな。
「なんでだろ、働かせてないのかな?それとも、気付いていないのか……?」
そういえば、N君忙しそうだったなぁ………あ。
「N君忙しそうだったから、見てないんじゃ?仕事の書類がここに置かれているってことは、本当は仕事として割り当てられているんじゃないのか?」
仕事がないものは何も置かれないはずだ。見回りのものもしかり。うちなんて殆どが見回りだから書類はほかのところにはあまり置いていない。
「ってことは………んー、指示だそうって思ったけど俺こういうの苦手なんだよな。Gizel、お前指示出してくれるか?ってか、今日暇か?」
「暇っちゃ暇だよ。うちの書類は終わらせたしね。どうせ俺がいなくても、新しい書類とかは処理してくれるでしょ。優秀な副団長さんが。」
「よっし、なら決まりだな。手伝ってくれ。指示だしてくれるだけでいい」
つまり、書類片付けの割り当てをしろと?
「いいよ。ただ、かなり雑把になるよ。ここの団員知ってる人少ないから。」
「大丈夫だ!お前ならな!」
謎の信頼感は困るなぁ。まぁ、頑張るか。
「じゃあ、全員を集めてくれ。広場的なところにな。」
俺はにやりと笑い、そう言った。
「よーし、みんな集まったな?」
そこには、総勢千は超えるであろう人がいた。
そして演説台に立つのは………俺だ。
「それじゃあ、Gizel君による演説をはじめマース」
隣でスピカが元気にそんなこと言っていた。
「あ、あー………えっと」
俺は深呼吸をした。何のためにか?それは……
「てめぇら!刮目しろ!この書類の山はなんだ!?何故こんなにも多くある!何故か!分かるか!?」
こう叫ぶためだ。というかお説教の為。
「この書類の山はお前らが仕事してこなかったから起こったことだ!この書類の山はどうすべきだと思う!」
そこで、一人の手が挙がった。
「し、仕事して片付けるべきだと」
「いいや違うな。今までやってきてなかったんだから、これからも出来るはずがない。」
それならどうするか。強硬手段ではあるが、これしかない。スピカはまだしも、N君に後で怒られるかもしれない。覚悟しておこう。
「簡単な話だ。焼き捨てればいい。この中には結婚式の案内状や、無料券、優待券とかもあるかもしれない。だが、焼き捨てる。それが早いだろ?」
「そ、そんな!もったいな」
「それがお前達が招いた結果だろう?それともなにか?『俺達は悪くない』とでも言うのか?ふざけんなよ」
「で、でも無料券とかまで捨てる必要は」
「本当に焼き捨てればお前らは今後こんなことがないように仕事を頑張るだろう?それより焼き捨ててもらう方がいいか?これからも。まぁ、仕事しなくていいから楽だよな。」
俺は不敵に笑みを浮かべた。
「お前らはそうしたいんだろう?仕事をしたくないんだろう?別に飯には困らないだろうからいいだろ?」
今回のことは……俺は……。
少し悪役になるつもりでいる。
「でも、無料券とか欲しいのなら。チャンスをあげる。」
男用装備を今日中に………ってのは嘘で。
「今から2時間で5千万枚の書類をこなしてきてくれ。それができたら許そう」
ま、全員が、だけどね。一人でもできないやつがいたらもうダメだよぉ、みんなぁ?
「て、て言うか!」
しかし負けじと、β連合団員のうちの一人が声を上げた。
「お前、そんな権利ないだろ!部外者だし」
しかしそう言われても、残念ながら
「その権利ならもらって」
「女だし!」
…………………
「ん?Gizel?どうした?」
スピカが隣で心配そうに見てくる。
ごめんスピカ、数人死ぬかも。
「……………………あ”?」
俺は女とは思えない低い声を出した。
ものすごい形相で睨みながら。
「女だから?女だから………ねぇ……」
その途端そうだそうだと叫んでいた男が数人。
いきなり倒れた。
「今は女の姿だけど、女の姿だからってなめたら……」
俺は少し下を向き、ニッコリと笑いながら、上目遣いで。
「死ぬよ?」
と言った。
その瞬間、立っていたみんなは、跪くように雪崩落ちた。
「あ、あー、みなさん、こちらにおわすのはー」
いつの間にかN君が後ろにいたようで。
N君はマイクを片手に、俺のことを指した。
「かの有名な神聖帝の団長で………恐らくこの世界で2番目に強い人だよ。喧嘩はうらない方がいい。」
もし売るなら覚悟を持ってね?
「まじかよ……Gizelって女……?」
「違うよ。」
N君は、俺の変な噂が流れようという空気になる前に、それを否定した。
「彼は、あの難易度☆9の、誰も勝つことが出来なかった『グリフィン』を、ソロで勝った唯一の人だったんだけど、今そのグリフィンの装備を作って着けたら女性用装備だったってだけ。」
「そうだ。つまり不可抗力ってわけ。」
俺は可愛いー声で睨みつけてそう言った。
「だから、逆らわずに書類仕事してきた方がいいよ。今から。早く!」
N君の頬には汗が浮かんでいた。
あれ?何焦ってんのN君。
その言葉を受けて、団員たちは全員走って仕事に取り掛かった。
その場には俺とN君、スピカだけが残った。
俺は………その後N君に部屋に呼ばれた。スピカと一緒に。
「あのさぁGizel………怒るのは分かるけど、あの殺気は辞めてくれない?スピカとかめっちゃ震えてたよ?」
と言われてもな………
「というか、やりすぎ。どうすんのあれ。」
「結局焼かなかったんだから仕事したやつにわたしゃいいだろ。」
焼きたかったなー。まぁ、仕方ないだろう。
それより、あれの手配はできたのだろうか。
「あぁ、もう……まぁ、仕事するようになったから助かったけど………もういいや、怒るのもだるくなってきた。」
「お、おう………まぁ、あとはスピカに任せるよ。」
俺はスピカに責任転嫁した。
「はぁ…………もういいや。そうそうGizel、例の装備。明日届くよ。」
「お、そうか。なら明日戻れるなー」
まだ確定事項ではないが、俺はそう信じている。
俺は明日戻れる。
…………はずだったのに。
「なんで装備できないの!?」
装備しようとしても、やはりこの装備は呪われているという言葉が出てきた。
つまりどうやっても戻れないのだ。
「なに!?俺は女の子にならなきゃなの!?」
それは嫌だ。早く男に戻りたい。
ここ最近うさぎも冷たいし、激ねむも俺のこと聞いてからか、俺に会ってくれない。
なにより、クラスメイトに笑われるからArtoriaにも行けない。
「いいんじゃない?ちょっと女の子口調してみてよ」
N君は笑っている。腹を抱えて。ものすごく笑っている。怒るよ?
しかしそこで乗らない俺ではない。
「えぇー、無理だよー私にはそんなのー。私女の子じゃないもん!」
ちょっと頬を膨らませて俺は言った。
「おおー、可愛いじゃん」
と、スピカが言った。んなわけないだろ、褒めても何も出ないぞ
多分今にやけちゃってるよ俺。
あと、なんでN君は頬を赤らめてるのかな?
「か、可愛すぎだろ………ちょ、だめ……」
あっ、照れてるのか?
それとも惚れたのか?ダメだぞ俺は男だから!
「あー、可愛すぎて、似合いすぎて笑う」
笑っていたらしい。酷くね?
というか………
「か、可愛くない!可愛くないもん!やめて!やめてよー!」
照れるだろうが!思わず素の言い方で言ってしまった。
え?あの口調は素じゃないのかって?作ってました。
「照れてる………あー、これは貴重だわー」
「もう!やめて!?俺可愛くないから!ほんとに!可愛くないからやめてよ!」
「その否定の言葉の口調も可愛い………それも作ってんの?」
N君は笑いながら聞いてきた。
「いや、作ってない!作ったら可愛いとか言われるから!」
俺はちょっと顔を赤くして、そう言った。
すると
「まって、素でそれって、お前女の子向いてるんじゃないの?」
なんて言ってきやがった。笑いながら。
「むーいーてーなーいー!やめてってそういうのは!」
いい加減にしないと怒るよ!?
「はぁ…はぁ……まぁ、真面目にどうするか考えないといけないな。」
やっと話が戻った。
「そうだよなぁ………どうしよう、風呂とかで胸切り取るとか?」
「………切り取るだけの胸あるの?」
…………ゲシッ
「あいた!?」
失礼なことを言ってきたN君は俺に蹴られて悲鳴をあげた。
「ごめんごめん。でも、男って言い切るなら胸小さいって言われて怒るか?普通」
うっ………そこは否定出来ない。
「……目覚めちゃってんじゃねぇ?」
なっ………ないと言いたいが………
「否定出来ないのが辛い………うぅ………」
「んじゃ俺と付き合ってみ」
「それは絶対嫌だ。」
ネタで告ろうとしてきたN君は、俺に即答されて撃沈した。
「じょ、冗談だよ………そうだな、男の時はやって、女になってからやってないことはなんかある?」
え?なんの関係があるんだそれ
「んー………激ねむとのキス?うさぎと一緒に寝なくなったし……あっ、見回りもしなくなったな。」
してないことと言えばそれぐらいだ。
「「………リア充爆ぜ」」「て」「ろ」
N君とスピカに同時に言われてしまった。
ちなみに「て」がN君だ。
「……まぁいい。それじゃあ、全部やって来たら?見回りは俺らも行くよ」
それで治るのだろうか。
三つの選択肢のうち、まず俺は見回りをすることにした。しかし、それで変わるはずもなく、失敗に終わった。
「でも、新たに知れたこともあるなー………」
俺は3人で見回りをしながら呟いた。
「新たに知れたことって?」
「この街、やたらと女の子が優遇されてるんだよ。あと、気のせいかもだけど………」
俺は周りを見て言った。
「みんないやらしい目で見てきてる気がする」
「「それは無い」」
「声揃えて言うな!」
そんな全否定しなくても!
「だって、お前見た目からして完全幼女じゃん」
「普通に見てそれは………」
ふたりして否定しようとしていた時だった。
周りから視線を浴びている。
そう感じ取ったN君は。
能力を使った。
「『イーグルアイ』………」
『イーグルアイ』………察知能力を高め、細かな部分をも見ることができるようになる能力。
N君はどうやら、視線の先を辿っているようだ。
「ほんとだ……Gizelを見てる………それに、少しニヤついてる……?」
それだけではない。俺は普通の目で見てわかった。
「それに、結構の人が勃起してる…………」
そう。股間部が膨らんでいた。
「ね………いやらしい目で見てきてるでしょ……?」
というか、こんないたいけな少女の姿をした男に勃起するとは………みんな変態か?
「あ、それは多分ねー」
スピカが気がついたようにいう。
「グリフィンの装備がエロいからだと思うよ」
………は?
「だってさー、胸の部分と局部は隠れてるけど、露出度高いもん。そりゃ興奮するよ。」
ちなみにこの防具には相手を興奮させる作用はない。
てことは、体型関わらず
「装備が際どすぎるんだな……」
それならコートでも羽織ってくるんだった。
と、言うか。
「今からコート羽織ろう………」
俺はコート出現を念じてそのままそれを着た。
だが、ほかの人はいやらしく見てくる。
「まはか、ほんとに変態たちばかりか……!?」
と言っている時だった。一人の勃起男性が近づいてきて
「そこの女の子可愛いね…………魅力あるよ、俺とお茶しない?こんな奴らほっといてさ。」
と言ってきた。
さて、この場合俺はどうするだろうか。
N君やスピカが助けてくれるのを待つ?
いいや違う。むしろN君達には手出しをするなと目線で伝えた。
それならどうするか。決まっている。
「ごめん、日本語話してくれないかな?お猿さん?それとも日本語話せない?私猿語わかんないからお返事できないなぁ、ごめんねぇ?」
毒舌で煽る。
俺は、どんな温厚な人でも、ドMでも怒らせれる自信がある。何故か、それは一目見ただけでその人が怒るツボが分かるからだ。それだけではない。どんな人でも絶望に落とすことも出来る。
伊達に第一級調教師とは言われていない。これも調教のうちだ。
「なっ…………どういう意味かね……」
「え?バナナ食べたい?ごめんね私バナナついてないんだー、あの男の子に貰ったら?」
「下ネタかよ!」
男は青筋を浮かべて聞いてきた。それを軽く下ネタでスルーしたら、N君にツッこまれた。意味深じゃないよ。
「………ふざけているのかね君は。どうやら、無理矢理にでも犯されたいようだ。全員で取り押さえろ!」
その合図とともに、全員がこちらに向かってきた。
そして、俺たち3人によって倒された。その間約0.002秒。瞬殺だ。
「ねぇねぇ、雑魚のくせに『取り抑えろ』なんて大口叩いてこのざまってどうよ?なめんじゃねぇぞ、こちとら最高峰名乗ってんだよ。」
「さすがに俺たちに勝てると思ったのは愚策すぎだね。俺たちを舐めすぎた」
「それがわかったら今後Gizelちゃんに手を出そうとしない方がいいよ、お猿さん。」
俺達は喧嘩を売るように…否、喧嘩を売った。
そして、俺は声をかけてきた男に聞いた。
「なぁ、なんで俺襲おうとしたの?」
すると男は答えた。
「めちゃくちゃ可愛くて……エロかったから………知ってるか、この街ではな……」
男は一息置いて、言葉を続けた。
「貧乳とか好まれるんだよ………つい最近も、1人、捕らえた。犯される順番としてはまだ先だが………」
嫌な予感がした。俺はその捕えられた女の名前を聞いた。すると、返答は予想しなかった言葉だった。嫌な予感は的中した。
「激ねむって名前だったかな………」
「……なっ!?」
俺は憤った。道理で会えないわけだ。それ以前に、連絡すら取れなかったらしい。
するとN君がにやりと笑いこう言った。
「じゃあ次に試すのは、激ねむとのキスだな。」
そうして、俺らは激ねむ救出作戦を開始した。
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