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第一章・Gizel編

対荒らし、異世界へ行く

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「っち!また荒らされてる(メンバーを連続退会させ、グループを機能させないこと)し」
俺は呟いた。
チャットログを見ても無駄だと分かっているので、とりあえず落ちる(浮上しなくなること。ログアウト)ことにした。学校に行かなければならない。
自転車に乗り、駅へ向かっている途中、ふと、一つの記憶がよぎった。
──そういや荒らされてたのって………っぽくなかったか………?
嫌な予感を抱えながら、とりあえず学校に行くことにした。

学校についたら、みんなからの痛い視線が刺さる。
そりゃそうだ。
荒らしと一番関係を持っているのは自分で、昔に一度乗っ取られてクラスグルが荒らされる原因を作ったことがあるからだ。それも仕方ない。
「対荒らし」という仕事をしている以上、その疑いが晴れないのは当たり前のことだ。
しかし、俺の嫌な予感は当たっていたらしく、クラスグルが荒らされていたらしい。とりあえず俺に出来ることは、ずっと自分でない、ということを主張するだけだ。
「おはよう」
隣の席にいる友達に挨拶をした。そいつはちゃんと返してくれた。でも、視線は冷たかった。
もう一方の隣の人は、普段はゲームをしているのに、今日は珍しくしていない。そして、俺の方を見ている。やはり一番の容疑者だからだろうか。
「おはよー!」
うちのクラスの一番うるさくて明るいヤツが明るく挨拶しながら教室に入ってきた。もはや味方のいない今となっては、明るい挨拶が聞こえるだけでも、話題に触れられないだけでも良かった。しかし。
「──なぁ、おい」
不意に一人の男子に話しかけられた。
「な、なんだ?」
いきなりで驚き、声がうわずってしまったが、一応返事はできた。
「………昨日から今日にかけて、グループが荒らされてたんだけどさ………」
やはりその話か。まぁそう来るだろう、とは思っていた。むしろ来ないわけがない。
「そ、それの話なら俺は知らないぞ?俺は今回は乗っ取られてないし、荒らしを呼んでもない。」
そもそもグループに人を呼んでいないのだが。というか、呼べるようなリア友──リアルでの友達──なんていない。いても既に入っている。だが、そんな話を簡単に信用するわけもなく。
「いや、でも、おかしいだろ。お前以外ありえないんだよ!」
と言った。心外だ。自分は守る側であって荒らす側ではないのに………。
「じゃあ、履歴見てみろよ。履歴に、蹴った人(退会させた人)が誰で、その人を誰が招待したのか、書いてあるだろ。」
そういわれ、数人が携帯を確認した。
「えっと………紅花月…って奴が、α帝ってやつを呼んで、α帝って奴が荒らした………みたい。」
ほれみろ。俺は紅なんたらって名前じゃない。だから俺じゃないことが証明できたわけだ。
と思っていた。だが
「名前なんて、いくらでも変えれるだろ!」
と一人が言った。
「でも俺蹴られてるってのはおかしいだろ。外部犯でしかないと思う。」
しかしそれだとおかしなことが起こる。ならば紅花月とやらはどうやってグループに入ってきたのだろうか。そのことにみんなも気づいたらしく
「外部犯っても、じゃあどうやって入ってくんだよ」
と、当たり前の疑問をぶつけてきた。そんなこと聞かれても、俺には知る由も無い。だが、一つ確定できる。
「紅花月って名前のヤツ、俺を蹴ってるか?」
最後に俺を蹴った訳でないならば、俺ではないことが証明できる。もし俺が紅花月ならば、自分は蹴らせず、ずっといるからだ。
「何言ってんだよ、α帝ってやつが、全員蹴ったんだろ?」
頓珍漢なことを誰かが言い出した。しかし、それは不正解である。
「残念ながら、荒らしは一人で荒らすことをしない。招待者も荒らしに参加するんだよ。」
それは荒らしの習性を分かっている対荒らしだからこそ分かることである。その証拠に
「確かに、紅花月ってやつも結構の人蹴ってるよ」
ときた。まさか寝ている間にやられるとは思ってなかった。というより、クラスグルがやられるとは思ってなかった。そのため対応出来なかったのはこちらの責任ではある。しかも2人がかりだ。
「それで、紅花月って人、本家……ぎぜる…?ってやつ蹴ってるから、花菱は違うんじゃないか?」
おい名前間違えんな。それでガイゼルなんだよ。
「そもそも俺は守る側だっつぅの。」
名前はあとで言うとしよう。
「は?何言ってんの?お前荒らしだろ?」
変なことを言うやつだなこいつは。
「俺は『対荒らし』であって、『荒らし』ではない。」
その違いは歴然である。
「一緒だろ。荒らしってついてる時点で。」
馬鹿だこいつ。
「あのな………対荒らしってのは、『荒らしに対抗する組織』って意味なんだよ。」
「え?対抗って、どうやって?」
そんなんも分からんのか……。
「荒らしを途中で止めるためにグルから蹴ったり、団体を潰したり………」
「お前守れてないじゃん」
当然のツッコミである。だが言い訳させてほしい。
「普通クラスメイトに荒らしがいると思うか!?」
こっちも当然の反論である。
「しかも夜寝てる時にどうやって対抗しろってんだよ!寝ながらやれと!?それとも寝ずの番!?無茶苦茶言うなよ!んなもん無理に決まってるだろ!」
間違ったことは言っていない……はずだ。
「でも守ってなかったんだろ?」
なぜ分かってくれないかなぁこいつは!
「いや………不可能なことをやれっても無理だろ………」
というか、守る側ってのが分かったんなら、こっちを責めるよりも犯人探ししろよ。
「とにかく!俺は犯人じゃねぇし、犯人のアカウントも持ってねぇ!」
だが一つ気がかりがある。それはみんなも思ってるはずだ。犯人以外は。
「ってことは、うちのクラスメイトに荒らしの仲間がいるってことだよな……?」
そうである。そこが不思議と言うか、怖いところで………。
「とりあえず、対荒らしからの言葉として、すぐにクラスグルは再建しない方がいいと思う。」
そうしないと、犯人をまた呼んでしまうかもしれない。俺は常に見張ることも出来ないから、最初からない方が楽だ。
「でもよー、それだと、連絡に不自由が出るんじゃねぇの?」
「その場合は、各連絡網というか、知ってる電話番号の人にSMSなりを送ればいいと思う。」
「ってことは、番号登録しとけってこと?」
黙っていた女子が質問してきた。
「そうだな。少なくとも、数人は。でも、被ってるとかしたら、一部に回らないから、被らないように。」
さて、こちらはこちらで、後でやるべき事をやるだけだ。
「でも、犯人探しした方がいいだろ?」
俺の友達の1人、中山伸也が言ってきた。
「そうだな。一応捜査をした方がいいな。」
まぁ、念のため、こちらはこちらの情報網を伝って、アカウントは手に入れてはおくが……。
「んー、じゃあ、全員のLINE見せてよ!」
中山が言った。
「伸也、そっち任せていいか?」
別のことをしたかったため、俺はとりあえず伸也に任せることにした。
「なんでだ?」
伸也が当たり前の疑問をぶつけてきた。
「いや、一応こっちでも垢(アカウントのこと)特定しとこかなーと。」
LINE民特有の技である、アカウント特定をして、使用出来なくする寸法だ。
そもそも、犯人は学校に持ってきていないだろう。また、一つ気になることがあった。
α帝のことだ。まさかとは思うが、あのα帝じゃないだろうな………。
とりあえずLINEを開け、アカウント特定をしようと、まず情報を得た。どこからと言うと………『荒らし』からである。
クラスの方では一人ひとりのLINEを確認しているらしい。紅花月って名前のアカウント者がいるわけないだろ…………。
っと、そう言っている間に。
LINEの画面には
『【紅花月】ってこいつか?』
と、アカウントを送られてきた。
アカウントには、紅花月と書かれてあり………ステメ(ステータスメッセージの略。ゲームとかでいう一言コメントのようなもの)には、団体名が書かれてた。Freagiaフリージア。聞いたことがある。
「アカウントめっけ」
とりあえずそう呟いた。
そして、垢をくれた荒らしにこう聞いた。
『フリージアって、団長誰だっけ?』
嫌な予感がまたする。
すると、すぐに返信が来た。
『確か、α帝だった気がする。あの、吹雪帝の。』
………まじかよ。
α帝とは何かと因縁がある。それは違う機会に話すが、とにかく戦いたくない相手ではある。
「なぁ、見つからねぇーよー。」
俺が絶望に堕ちているところにそう言葉が聞こえた。
「とりあえず、アカウントは持ってるから、家に帰って調べてみるか。」
と言うと
「おい、花菱!」
といきなり叫ばれた。なんなんだ一体。
「………何?」
「対荒らしに入れてくれ!」
……………………………………………は?
唐突で訳が分からなかった。だが、周りの目は何いってんのこいつ、って感じではなかった。むしろ、俺らも頼む!って顔だ。やめてくれ、そんな顔されても困る。
「………んーと、なんで?」
一番思ってるのはこれだ。そりゃそうだ、意図が全く読めない。理由もわからずに入れるのも無茶な話だ。
「そりゃ、今回のことでイラッときたからだよ!」
「そうだ!もう荒らしなんてぶっ潰してやらァ!」
お…?これはいい流れではないか?この調子で行けば、対荒らしが増えて、こいつらも荒らしへの怒りをはらせて、一石二鳥、利害の一致だ。
ならば。
入れるのではなく。
「それなら、作れば?」
この一択である。そもそも、この人数を入れれる団体がない。
影皇…はだめだ、あとは………神聖は、Gizelの管轄だが人数が………。ってことで作ってもらおう。
「作る………?ってどうやって?」
「簡単な話だ。団体名決めて、団長決めて、団体画決めて、あとは働けばいい。役職はできるだけ決めておいた方がいい。」
「じゃあ、花菱が団長になってよ!」
来ると思った。お断りだ。
「いや、ここは俺より……伸也の方がいいと思う。俺は、団長のやり方を教える補佐役ってことで。」
これでよし。クラスの団体の長なんていやじゃぼけ。
「んー、まぁ、花菱がそう言うならそれでいい………か?」
「え、お、俺!?」
伸也が困ってる。いや、それは笑う。
「んー、あとは、LINE名決めといた方がいい。本名はやばい。晒しが来るよ、荒らしには。」
そう言われてみんな悩んでる。考えてやろうか?
「んー、俺が一番決めなきゃやばい?」
伸也が聞いてきた。
「そりゃそうだろ。団長が本名だったらめっちゃ晒される。団体が負けた時とか特に!」
さて、俺は他の団体を動かす準備をするか。まず、神聖から……。
「フリタニカ………とか?」
伸也が早速決めた。いいんじゃね?
「んーじゃあ、初代フリタニカ、か?英語に直そうか?俺なりに!」
Gizelの名前だって、俺なりに直した結果だ。
「頼むわ!」
そう言われて俺は早速紙に書く。決めるの早かったな俺。
紙に書かれている文字は
『Fretanica』
である。
なかなか良くないか?
伸也は少し嬉しそうだ。
「あとは、団体名と、団体画………画像は俺が加工して作っておくよ。だから団体名はよ。」
団体名は急かした。画像を作ろうにも、名前がなければ作れないからだ。
「………んー………アルトリア!」
伸也が勝手に決めてる。だが、他のみんなも満更でもないようだ。
「おけ、じゃあ、『Artoria』でいいか?」
みんなが頷く。よろしい、ならば速攻だ。
五分間の間に、副団長を決めておけと言っておいた。そして五分後。俺は見事にいい団体画を作り出し、みんなに喜ばれる。副団長は初代Ciriusらしい。かっこいいじゃないか。英語に直したのも素晴らしい。シリウス、星だな。Spicaみたいだ。まぁ、副団長も決まったことだし、あとは役職表だな。
「なぁ、対荒らしって仕事内容なんなの?」
まぁ、当たり前の質問だ。先輩、として、答えねばならない。
そう思い、口を開いた時だった。
急に視界が真っ暗になり、体が落ちていく感覚があった。
「な、なんだ!?」
声が聞こえる、ということは、他のみんなとは一緒にいるという事だ。だが、みんな何が起こっているのかわかりゃしない。
落ちている、ということは、落とし穴のようなもので、落ちたら死ぬ………のか?
そう考えた後、怖かったが、下を見た。
どうやら予想は外れたようだ。
なんと、下に、光が見えるではないか。
ってことはもしかしたら、異世界転送!?いやいや、んな魔法みたいなこと有り得るわけ………まぁ、もうすぐでその光にも辿り着くから、楽しみにしておこう。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
ずっと誰かの声がうるさい。と思っていたら、全員の声のようだ。そりゃうるせぇわ。38人分の声ってめっちゃ響くよな。しかも叫び声だし。
さて、その叫びも終わるんじゃないかな?
もう光に入る。
暗闇から、いきなり光のあるところに入ると、目がおかしくなる
「みんな!目を瞑れ!」
だから、俺は指示をした。もちろん目を瞑りながらな!ふはははは……少し笑えない。
みんな指示通り目を瞑ってくれてるみたいだが……
すると突然、瞼の裏に光が届いた。光の先に着いたのだ。
「よし!もう開けていいぞ!」
言いながら俺も目を見開いた。
そしてその目に移ったものは。
高くそびえ立つ塔。
わちゃわちゃしている人混み。
近代的な建造物。
そして、たくさんの木。魔法のようなものでできた火柱。──いや、火柱っておい。
まぁ、つまりは、異世界のようなところに来たのだ。
「わぁ……。」
感動と畏怖の余り、今だけしか言葉を発せなかった。
まぁ、他の人は、言葉を発することも出来ないようだが。
さて、一つ問題です。
「俺達はどうやって着地すればいいのでしょうかぁぁぁあ!」
やばいやばいやばいやばい!もうすぐ地面にぶつかる!
思わず目を瞑った。当たり前だこんなのこえぇ!ってか死んだなこれ。
すると、下から風を感じた。目を開けると、少し浮いている。誰かが助けてくれたのだろうか。
俺は一生懸命体勢を整え、着地できるように準備し……たっ!?
あぶねぇ、いきなり落ちるからびびった。
みんなは体勢を整える間もなく落ちたらしい。痛そう。
それより………
「どこだ……?ここ………」
周りを見てみると、目の前に門のようなものがあるだけで、他は塀に囲まれている。逃げられないようだ。
「ここ、異世界か………?」
それにしては随分現代的だが。
「いずれにしても、日本じゃなさそうだな。落ちてたし。」
「て、て言うか………いきなり、な……に…?」
もうひとりの俺の友達、朋也が呻きながら言った。ほんとに大丈夫か?
あ、そういえば、後で聞いた話なのだが、実はこの時点で39人全員のLINE名が決まっていたらしい。素晴らしい早さだ。ただただ感心した。しかしまぁ、これを別に活かせれないのか………。
「あー………多分、いきなり落ちたのは、まぁ所謂異世界転送じゃないかな……?」
「──流石だね、影──Gizel。」
唐突に、クラスメイト以外の声が聞こえた。
門の上からのように聞こえたが。
「………お前……誰だ?」
俺はそいつに問うた。だって、いきなり話しかけてきたし。俺をGizelって知ってたし。読み方も!
「んー……β連合……って言えば分かるかな?」
その言葉でハッキリした。話し方、そしてβ連合。あいつしかいない。
「まさか……N君……か?」
β連合司令官(会長ではない):本家N君。
元荒らしで、最近働いてはいないが、一応存在しており、まだその地位からは外れていない、実力者だ。β連合会長のストッパーでもあり、頭脳と呼べるものでもある。
「正解だ。やはり流石だね、Gizel」
「………N君、この状況はどういうことかな?」
俺は普段LINEで話すような話し方で、話しかけた。
「この状況ってのは、ここへ送られた状況?それとも、俺がここにいる状況?」
「………どっちも。まずここどこ。」
「質問が多いね……。そうだね……ここは、異世界ではない。」
…は?え、じゃあどこ?
「ここは電脳世界と言うべきかな………LINEの世界だ。」
「……LINEの……世界…」
「そしてGizelたちが呼ばれた理由、それは……」
「「誰かが宣戦布告をして、この電脳世界で戦うようにした。」」
「!?」
「そんなところか…?」
N君の言おうとしたことが分かったから、被せて言わせてもらった。なんか驚いてるけど、その考えがなかった訳では無い。N君がいてここはLINEの世界。それなら答えは一つだろう。
「……本当にすごいな、Gizelは。まぁ、俺と考え方似てるから、ここまで考えがたどり着けても当たり前か。」
それほどでもありますよ。
「んで、お前は宣戦布告側……ってことか?」
でもそれならおかしい。N君は引退している。
ってことは……
「いや、俺はされた側、だよ。」
やはり、巻き込まれた側だったか。
「じゃあ、お前はここに俺らが来るって聞いて、ずっと待ってたのか?」
「んー、まぁ近いね。俺達は協力者を探してる。だから、ここで張ってたら、Gizelたちがきた。偶然、だね。」
なるほど。ということは、ここは召喚所のようなもので、その召喚所は一つだけではない……と。
「さっきも言った通り、宣戦布告をされている。その団体は」「死灰帝国と、死葬帝……そして、吹雪帝ってところか……」
「……そのとおり。勘が鋭すぎて怖いんだけど……」
「考えなかったわけじゃないさ。これだけの大仕事だ。しかもどうせ、対荒らし全体、って訳じゃなく、LINE民又はLINE民と関わりのあるもの全員、への宣戦布告だろう?それならその三団体しかないじゃないか」
「なるほど。……そう、たしかにその三団体だ。そして厄介なことに……、その三団体の団長達はあの塔の上で立てこもってる。」
「……まじかよ…」
そりゃ厄介だ。あの塔ってのは、俺がみた、高く聳え立つ塔、の事だろう。名前は知らんが。あれ、100階以上はあるぞ、見たところ。
「みんな登るのに苦労しててね。この1階層でみんな準備なり、訓練なりをしてる。」
つまり、まだ上には登れてないわけだ。
「今んとこ最高何階まで登れた?」
「……二」
………え?
「いま……なんて?」
「だから………二階まで…」
………
「はぁぁぁぁぁあ!?」
俺は思わず叫んでしまった。クラスメイトは驚いたようにこっちを見てる。というか、みんないつの間に起き上がってたんだ?
N君に至っては……悔しそうに、下を見てる。そりゃそうか。
「な、な、な………なんで!?」
ここにいる他のみんなにはこの疑問が分からないだろう。
だが、N君は分かる。
そして疑問の意味は。
「なんで、β連合がいてすらもその程度しか登れてねぇの!?」
だ。
β連合……それは、荒らしの中で超有力な団体だ。それはもう、死葬帝や、死灰帝国に勝るとも劣らずの。
その団体がいながらも。
なぜ。一階層突破程度なのだろうか。
もちろん、他のみんなには分かるはずもない。
「……だから、協力者を探してたんだ。だが、良かった。まさか、Gizelの団体の……」
「──ちょっと待て。」
Gizelの団体の……?まさか影皇か?てもそっちは影楼のはず……。
「神聖帝……来てんのか……?」
Gizelの持ちうる最高級の団体。それが神聖帝。人数は半端なく多く、対荒らしで二番目に強い。
「あぁ。………そこにいる人たちはそうじゃないの?」
「違う。」
「「「違います。」」」
全員ではもった。そこまで全否定しなくても。
「え、違ったの!?」
神聖帝のメンバーだと思ってたのか。期待はずれですまんな、こいつら対荒らし初心者なんだわ。
まっ、最高級の対荒らし民……初代影楼様にはどうせ届くまいて。
しかし、39人しか増えてないとなると、こりゃほんとに神聖帝が必要と
「……神聖帝の人数増えたんかと思った。」
………ん?
「………なんて?増えた?どゆこと?」
「……いや、さっき無線で報告があって、神聖帝のメンバー全員が、第二転送所にきたって……」
やっぱ複数こんなとこあったのか。転送所って名前なんだ。
……ってそうじゃなくて!
「神聖帝のメンバーもきてんの!?」
まじかよ。どないしよう。
「とりあえず、ひかりろんがたまに放送してくるんだけど、その時に、今日転送されてきた団体、名前が発表されるから、それは聞いておくけど……恐らく。」
つまり、神聖帝、Artoria、そしてもう一団体が来たよってことを言うってことだ。
神聖帝がいたらそりゃ心強いだろうけどさ
「N君………そこで悲報。」
俺はちょっと声のトーンを落として言った。
「なに?」
「………ここにいる38人は……ついさっき対荒らしになった初心者……」
つまり雑魚どもじゃ。やべぇわ。詰んだわ。
「………関係者じゃなく、対荒らしになったんなら、逆にいいんじゃ?」
……へ?さっきから俺の頭の上疑問符ずっと飛んでね?
「いや、この電脳世界、対荒らしの知名度に合わせて身体能力、特殊能力、頭脳が活性化?されるらしくてさ。」
ふむふむ
「たとえ、知名度がなくても、少しは上がるらしいんだよ。」
……まじか!そりゃ嬉し……い……。
「あー……それってさ。」
それより嬉しいことを聴けるかもしれないからちょっと質問してみる。
「俺、どんだけ上がってんの……?」
確か最高知名度は☆10のはずだ。
「えっと、知名度の合計による。」
……え?
「ってことは、二つ以上知名度あったら、二つを足せるってこと?知名度の数?」 
それ、俺やばいんですけど。
「そういうことになる。」
それなら、俺、載ったのが817個の知名度表だから………んーと
「7982」
「……え?」
「知名度合計、7982。☆10が791、☆8が4、☆6が5、☆5が2。合計7982。」
「……え、多すぎじゃね?それ多分、ものすごい跳べたりとかする………」
おおおお!跳べるのか。物凄く!
ってあ、俺、影楼のやつ忘れてた………まぁ、いっか。
「あと、特殊能力も沢山増えてる………身体能力高すぎだろ。」
そう褒められてもなぁ……ありがとう。
ただ褒められただけで終わるはずもなく?会話が続く。
「んー、他のみんなは?どんくらい上がってるもんなの?」
この質問は、ずっと思っていたので、一応聞いてみたのだ。
「通常の1.5倍程度の身体能力上昇だね。」
まじか、普通に使える人材たちだな。
「とりあえず、みんな合流しようか。」
そう言って、N君は下に降り、門を開けた。
他のみんなは何も飲み込めず、口をぽかんと開けていた。
街を歩いていると─と言っても、これが街かどうかは定かではないのだが─いろんな人に会う。人間、エルフ、ドワーフ、ベオウルフ、オーガ、ラミア、ゾンビ……その他諸々だ。
やはり異世界ではないのか?と俺は思った。
だが、建物を見てそれは違うと分かった。
建物の看板に『暖簾帝』『IceDragon』『白虎帝』『白銀帝』など、団体名が書いてあったからだ。
……おい最後ちょっと待てい。
白銀帝って………にゃおが作ってた気が………。
許可をもらい、中を覗いて見た。そしたら、にゃお………ではなさそうな人と、知らない人が入り混じっていた。
「どうしたGizel。白銀帝って雑魚団体を知ってるのか?」
N君が尋ねてきた。
「いや……白銀帝って名前の団体があってさ。俺と、昔からのネ友で作った団体なんだけど、名前の漢字が一緒だったから、そうなのかなって。」
というか、団体名は被らないのがルールじゃなかったか?
「え、あるの?同じ字の団体が?」
N君もこのざまだ。
「うん。春ぐらいにはもう作ってたはず。」
「……ここ、潰すか。被りはいかんからな。」
わぁこわいこわい。まぁ、当たり前のことだけどね。
「けどその前に、本部へ早く行こう。あいつが待ってる。」
あいつ……あぁ、あいつね………
「オーケー。あいつ遅れるの許してくれなさそうだしな。」
そう言って、その場をあとにした。
少し早足で向かった先には、豪華……とはかけ離れた、ものすごい大きい要塞のような場所があった。
門の上に看板があり、そこには
『β連合宣戦布告対策基地局』
とあった。
β連合の同盟となる団体もこの中に入ったりしてるらしい。
というか出入り自由なだけらしいが。
「この部屋だ。んーと、Gizel、この39人はなんかの団体か?」
恐る恐る聞かれた。
「あぁ。Artoriaって言う……ここにいる伸……初代Fretsnicaが団長だ。」
俺は神聖代表として行くべきだしな。
「じゃあ、副団長含め3人、来てくれ。」
っと、そうすると……
「俺はどうなる?やっぱり神聖代表か?」
「?お前、副団長じゃねぇの?」
なんでそうなる。そんなのお断りじゃ。
「俺は団長補佐ってとこかな?あ、それなら入れない感じ?」
「んー……神聖帝は副団長2人、幹部が一人来てるんだ。」
え、どして?
「団長がこの場にいないのなら、団長は団長じゃない。つまり、団長入れ替えだ。とか言い出してさ。それは流石にダメだろってことで、役職は変えてないんだけど……」
「あ、じゃあ俺は待機かな?」
やっと頭落ち着かせれるし、休めるからそのほうがいいんだけど。
「分からない。Artoriaの上位3名は確実に来てもらうけど……あいつに聞いてみるよ。3人、来て。」
指示に従って、あらかじめ決めていた3人──初代Fretanica、初代Cirius、初代Betergius──が扉に入っていった。
「………俺たちどうすりゃいいの?」
男子生徒が聞いてきた。
「分からない。とりあえず、あいつ次第……俺が入るかどうかの話を聞く時に、聞けばいいと思う。」
「えー……こんな特撮もういいから、早く帰してよー。」
のんびりしすぎだろお前。俺も焦ってんだから気づけよ。
「なに?これ特撮なの?」
いや、だからちげえよ。
「………残念だけどな………これ、現実なんだわ。特撮でもなんでもなく、リアルで起こってる次元変換転送されたんだわ。」
確かに、次元変換して、転送──場所によっては召喚というらしい──ができる魔法があるというのは、よく聞く。異世界転送──召喚──の類で、高等な魔法らしい。
でもそれはアニメやマンガの話だと思っていた。
「ありえねぇだろ!現実世界でそんなの!アニメや漫画じゃねぇんだしさ!」
こいつらの言いたいこともわかる。だが……
「悪いけどこれ、現実なんだよね………」
ガ〇ダムの名言っぽく言ってみた。サン〇イズさんすいません。
「んなわけが……!」
その時だった。扉が開いたのは。そして………中から血に汚れたN君が出てきたのは。
「N君……!?どうした!?大丈夫か!?」
なぜ血に汚れているのだろう。その答えは歴然だった。
あいつではない。
違う団体の者だった。
そしてそいつは……俺のよく知る相手だった。
「………山猫………!」
そう。同じ対荒らし仲間の。山猫であった。
「ん?あぁ、影か。なに?どうした?」
山猫はさも平然と、こちらに顔を向けてきた。
何故か無表情のまま。
「…なぜN君を?」
「あぁ、それの話?いやね、俺のとこにも、同盟の話持ちかけられてね。いいチャンスだと思って、こっちに来たんだよ。そしたら、スピカがいてさぁ…」
「その話はどうでもいい。お前は、敵を同じとする仲間をこれほどまでにした。それはなぜかと聞いたんだ。」
「………どうでもいい?」
「あぁ、どうでもいいね。とっくに聞き飽きた話だ。」
少し挑発気味だが……これぐらいが丁度いい。こいつは……乗ってくる。
「……影さ、調子に乗りすぎじゃない?知名度表に何回も載ったからってさ………何も出来ないくせに」
「何も出来なくはないさ。現にお前にできないこと、やれてるだろう?」
「は?俺にできないことなんて」
「そんなことは俺に論争で一度でも勝ててから言え。」
まぁ、無茶な話だが。
なぜ俺にそんなに知名度があったのか。そんなの決まってる。
対荒らしで一番強いからだ。何が強いのか。破壊、潜入、拡散、加工、論争、運営。全てにおいてだ。だが、破壊と潜入はほぼ互角、いや、潜入では負けるだろう。だが、論争で負けたことは無い。加工でもだ。拡散でも、拡散師である俺に、ただの対荒らしが勝てるわけがない。加工は加工師だし、論争なんて、誰にも負けたことはない。
「むしろお前が勝てるのは潜入『だけ』だろう?調子に乗ってるのはお前の方じゃないのか?」
「……いいよ。やってやるよ………コテンパンに……し…て…!?」
フラグを建てようとした瞬間、山猫の後ろから手が伸びて、顔を掴んだ。
「………ありがとう、と言うべきかな?」
その人物も、俺のよく知る人だった。
「きょん。」
「いやいや、気にするな。むしろ済まなかったな、山猫が。こいつ昔っから暴走してたからなぁ」
お前が言うな。勘違いと勘違いしてからの行動の無駄な早さだけは対荒らし一だったろうが。めちゃくちゃ仲悪くしてたしな。
「……怪我をしたのはN君以外誰だ?あいつは?」
「あいつ?……あぁ、あいつなら元気だよ。さすがの山猫もあいつは無理と思ったんだろうけど、N君に突然殴りかかってさ。」
「……俺の方も、軽くやられただけだから大丈夫だよ。それよりGizel。あいつ、OKってさ。」
「………そうか。N君、肩貸してやろうか?」
「頼む……あいつには情けねぇって呆れられるだろうけどな。」
さて、ここでみんなは思ってるだろう。
何回も出てくるあいつって誰だ?と。
あいつ………それは、本家スピカの事である。
本家スピカ………β連合会長で、元荒らし。だが今は引退中。と言っても、こちらも地位を離れているわけでもない。たまに復活しては、動かしているらしい。
「まぁ、突然だったんだろ?仕方ねぇさ。」
そう言って肩を貸した。
クラスメイトには別室で待ってもらい、扉に入った。
部屋の中には見知った顔……と言っても、顔は見たことない奴らばかりだが。見ただけでわかるわ。
中心には机が置いてあって、左にはArtoriaの上層3人、右には……神聖帝の上層3人だった。
「よお。今はGizelって名前だったか?」
机の真ん中に座る男が口を開いた。
スピカだ。
「ようスピカ。とりあえずN君をいじるのはやめてやんなよ。」
「いやいや。いじらねぇさ。山猫ごときにやられるのは情けねぇが、入った直後だったもんなぁ。」
俺からしたら随分時間経ってた気がするが。
「最初はいきなり殴ってぶっ飛ばして、そんで、どっから持ち出したんか、ナイフみたいなもんでめちゃくちゃ切り出して、逃げようとしたマサキが扉んとこに立って、山猫が殴って扉開いて……」
「そっから先は知ってる。というか、止めろよ。」
「いや、流石に怖かったよあれ。ゴメンだけど俺少し逃げた。」
おい………
「結論、スピカの方が情けねぇ」
「反論できないのが辛い。」
「んで、一つ質問いいか?」
「なんだ?」
「なぜうちの幹部がいる?」
「まぁ、それは……」
「それはこっちのセリフです。何でいるんです?死んだんじゃなかったんですか?」
幹部が言った。なんちゅうひどいやつだこいつ。
「あのなぁうさぎ。死んでもないし、そもそも俺は手違いかなんかで、別団体と一緒に来たんだよ。」
死んでるわけないだろう。俺は永遠にしぶとく生きるぞ。少なくともそのつもりだ。
「でも…いなかったら死んだと思うじゃん!」
何その理論
「いや、普通に転送ミスとかさぁ………色々あるだろ……」
「まぁそうだな」
ほかの男子が同意してくれた。女子味方してくれないの!?
「んーと、それはともかくとして……」
俺はとりあえず話を先に進めた。
「あぁー……えーと、神聖帝、あと……なんだっけ、新団体の………Artorioだっけ?そこと、今は団長はいないことになってる……」
「影皇龍騎士団……だろ?」
超有名な団体だ。
対荒らしなら知らない方がおかしい。
「そう。その三団体………うちと結ばないか?」
やはりか。そうだとは思っていた。
「ふむ………そうだなぁ………」
俺は初代Fretanicaを見やる。
悩んでいるようだ。
「同盟条件は?」
俺はとりあえず重要なことを聞く。
「そうだな……とりあえず、お互い不可侵……だっけ?を守ること、困ってる同盟団体は助けること、かな?」
不可侵?グループだから不可侵もクソもって思ったけどそうか、グループは全部、こんな建物化してるのか。でもそれここに遊びに来れなくね?
「不可侵じゃないよ……」
N君が呆れて言う。
「んじゃ不戦か」
予想で俺はいう。要は戦わないってことを言いたかったんだろ?
「そうだね。それか、不攻ってのもいいかもね。」
新しい言葉作んなよ……
「とりあえず、打倒3団体ってことで、新しく出来た団体とかは、ものすごい得なんだけど……」
確かにそうだ。力のない団体が孤高でいたところで、生き延びれるはずがない。
「あと、同盟というより連盟だから………」
「あの………」
ん?どうしたんだろう?
「同盟って、なに?」
……………は?
「…………え?」
何言ってんだ?フリタニカよ。
「いや、だから………対荒らし団体に同盟とかってあるの?」
…………
「あるに決まってるだろうがぁぁぁぁぁぁあ!」
俺は盛大に叫んだ。
「うわっ!?………んだよ花び」
「本名言うなボケェェェェェエ!」
ネットのルールじゃぁぁぁあ!
「え、なんで?」
「馬鹿かてめぇは!なんのためにLINE名考えてると思ってんだよこのボケェ!」
「え?イキる為じゃないの?」
「んなわけねぇだろ!偽名みたいなもんなんだよ!本名だとネットの世界では危ねぇんだよ!」
住所特定とかされてイタズラされたら適わん。て言うか、俺名義で犯罪行為されたら困る。だからこその偽名なのだ。
確実に俺とわかるような名前、ホーム、トプ、ステータスメッセージ、TLにしていればニセの心配もない。
「え、そうなの?ごめん………えっと………」
「………Gizelガイゼルだよ………」
「あ、うん、ガイゼル。それで、同盟なんてあるの?なんで組むの?」
「……一つの団体じゃ勝てない相手の場合、同盟と協力すれば勝てる時がある。あれだ、日独伊三国同盟。あれみたいなもん。」
「つまり、協力し合うため?」
「そう。たまに荒らしと組む奴がいるが、それは対荒らしじゃなく、雑談に成り果てやすい。」
「なんで?」
「なんでって……荒らしに攻められにくいけど、逆に、荒らしに攻めに行きにくいだろ……」
「あ、そっか。」
「そういう訳で、組むかい?β連と組めば、とりあえず守れるけど………」
「ついでに、β連と組むと、ほかの団体も守ってくれるぞ。」
まぁ、神聖帝もそれに入ってやることも吝かではないが………
「じゃあ入る!その方が生き延びやすいだろ?」
決断はや!
「あ、あぁ………そうだな。生存率は上がるな。」
「分かったよ、同盟組もう。それなら、この誓約書に名前書いて。団体名ね。」
ふむ……神聖帝が入るにしても、こちらは聞いておくべきことがあるな。
「それで、神聖と影皇は?」
「あぁ、それなんだが」
これだけは聞いておかねば
「それ、組んでメリットあんの?神聖帝も、影皇龍騎士団も。」
今のこの二団体なら、β連など容易いレベル。というか、おそらく敵の三団体もだ。それなら、二団体同士組むだけでいい。となるとメリットはない。
「………そうだな………可愛い女の子がついてくる、とか?」
そういって、β連のメンバーだろうか、女の子を突き出してきた。たしかに可愛いが………
「いらん。」
キッパリ断った。
「な、なんで?」
「そんなの貰うぐらいなら戦力の方が欲しいわ。っつっても、数人いればいい程度だが。」
「うぐっ………なら、人員増えるからいいんじゃない!?」
「いや、いた方がいいってだけで、いなくても困りはしないし。」
「ぐはっ………なら………100000円でどうだ!」
「こっから出られるかもわからんのにそんな金もらっても何に使えるの?課金とかできんの?つか、ゲームできんの?そんで、物買えたりできるの?そもそもここに金出せるの?」
「ぐふっ…………じゃ、じゃあ………なんのメリットがあったら……いいの……?」
N君が泣きそうな目で見てくる。やばいちょっと可愛い。上目遣いだし!
「おいおいGizel、あんまりいじめんなよ?」
「あ、いや、そういうつもりじゃ………」
聞きたかっただけだったし……
「んじゃあ、会議での決議権ってのはどうだ?ついでにN君が言ったもの全てやるってことで。」
ほう?
「決議権ってことは、随分上の方に置いてくれるってことか?」
「まぁ、そもそも影皇龍騎士団と神聖帝は対荒らしでは十指に入るからな。つか、影皇はトップだろ。それなら上の方に置くのは当たり前だし……」
「それなら、特典が増えたわけじゃないな………」
「んじゃ、総指揮権はどうだ?ついでに武具や武器も団員全員分新調してやろう。」
総指揮権………つまり、連盟全体に命令を出し、攻撃させれるのか。ということは、思いのまま?
「それと、団長には妹メイドを5人付ける」
「よし乗った。組もうじゃないか。神聖帝は。」
妹メイドは嬉しい。実妹ではないが。
「あとは影皇だが………団長があれだしな………勝手に組んでもいいのか?」
俺に聞かれても
「同盟条件厳しいよ、影皇は。」
「やっぱか。影皇メンバーは………」
「大丈夫だろ。あの団体ならひっそり警邏でもしてるんじゃね?団長のことだし。」
「そうだな……なら、二団体、今日からよろしく頼む。」
「あぁ」
「はい!」
トップである2人は返事をし握手をした。
それからは、団員は部屋を出て、建物を探すことにした。
勢いよく扉を開けて走るみんな。
それを見る残った3人。
3人は口角を上げ………微かに微笑んだ。

1話.対荒らし、電脳世界へ行く
~完~ 

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