40 / 53
40 主犯への復讐(ルーツ視点)
しおりを挟む
俺は、ブラストやヒルデ、同志たちと共にミストロア王国の城を強襲した。有無を言わさず、王を拉致する。
その次のターゲットは帝国の首都ブリドーアム。世界崩壊の中心地となるに相応しい場所だ。同志たちと共に中央府を襲撃し、あっという間にドゥルナス皇帝の元に辿り着く。
「貴様が魔道士オーデルグか」
「ようやく会えたな、ドゥルナス皇帝。これで、俺の宿願も果たされる」
「首都を直接襲撃するとは、愚かな! 一時的に私を拘束したところで、ここは我が帝国軍の真っ只中だ。すぐに貴様らなど鎮圧されるぞ!」
「いや、そうはならないさ。ここは街と共に滅ぶ」
「なに?」
俺は地面に右手を向け、魔法陣を形成した。宗教国家スオードの時と違い、創造神サカズエと破壊神トコヨニの力を目一杯注入する。それだけの力を加えれば、この魔法は世界全部を包むことができる。
魔法陣から紫の魔力空間が形成され、周囲に向かって広がり始めた。結界の範囲内に入った周囲の兵士たちが次々と倒れ、石のようになる。
「こ、これは!?」
「帝国軍も皆こうなる。もはやここには誰も来られない」
「な、何ということを……! 貴様、一体どういうつもりだ! 創造神サカズエはこのような愚行、決して許さぬぞ!」
「サカズエの力は俺の手中にある。気が付かなかったか?」
「な、何だと……!?」
ドゥルナス皇帝の顔が驚愕に染まる。俺の持つ紫の水晶の中にあるサカズエを理解できるだけの魔力は持っていたようだ。
「皇帝、貴様の行いの原動力はサカズエだったはず。後ろ盾を失ったな」
「ぐぬぬ……」
「創造神を味方にしたから自分が神にでもなったつもりだったか? 愚かだな」
皇帝の顔に焦りが浮かぶ。だが、もう状況を覆す手札は無いだろう。俺たちの、勝ちだ。
「旦那、連れてきたぜ」
ブラストは、手錠をかけられたミストロア王を連行してきた。
「ミストロア王!? なぜ貴公がここに!」
「ドゥルナス、すまん。奴らは全てお見通しだったようだ……」
「何ということだ……」
世界にケンカを売った愚かな親子。先代皇帝が病没し、皇帝の座を受け継いだまではよくある話だろうが、創造神サカズエと出会ってしまったことがお前たちの不幸だったな。
「私たち、オーデルグの同志ほぼ全てが貴様ら親子に恨みがある」
ヒルデが部屋に入ってきて言った。ヒルデも国を滅ぼされ、家族を失った。
「我が宿敵、ドゥルナス皇帝!」
「ミストロア王! 貴様も黒幕の一人だ!」
同志たちから次々と怨嗟の声が上がる。
「貴様ら、何をするつもりだ?」
「ドゥルナス皇帝とミストロア王。お前たちにもあの兵士たちと同じように眠ってもらう。だが、お前たちには、死ぬまで悪夢を見させる」
「な、なに!?」
「ニーベ村虐殺事件に関わった者や、ここにいる同志たちが憎む者たちも同様だ。俺や皆が味わったように、地獄を見て、後悔しながら死んでいけ!」
俺は左手をドゥルナス皇帝とミストロア王に向け、赤い光を放った。皇帝とミストロア王が地面に倒れ、赤く輝く石のようになる。
「これで、終わった……のか?」
「オーデルグ?」
「ああ。奴らは悪夢を見始めた。悪趣味だが、どんな悪夢を見て苦しんでいるか、皆に配った魔法道具があれば確認することもできるぞ。自由に見ろ」
同志たちから歓声が上がった。
「後は、皆の自由だ。それぞれ復讐したい者がいるだろ? 探して悪夢を見させるも良し。全部終わったのなら、皆も夢に落ちるも良しだ」
悪夢を見させていない者は、幸せな夢を見る。肉体が滅ぶまで、幸せな世界で、穏やかに死んでいけるようになっているのだ。
「俺は、ここで全部終わった。故郷に帰って、家族の墓の前で眠りにつくよ」
「私はもう少し探さないといけない敵がいる」
「旦那、あんたの夢は俺の夢でもある。最後まで付き合うぜ」
同志たちやブラストが次々に想いを口にする。去る者たちとは一人一人握手を交わした。
「ありがとうオーデルグ。俺たちに道を示してくれて」
「最後まで一緒に戦わなくて、ごめんなさい。本当にありがとう」
一人一人と別れの言葉も交わし、見送った。
残ったのは俺とブラスト、ヒルデ、それに同志が5人ほどだった。
「残るのは俺とブラストだけかと思ったら、皆、物好きだな」
「恩返しがしたいからね。あなたたちがやりたいのなら、私も付き合うわ」
「ああ、俺たちもだ!」
ヒルデや同志たちが言った。
「旦那、あと少しだぜ。俺たちの悲願までな」
「そうだな、ブラスト。あと少しだ……」
ブラストの力強い言葉に、俺は静かに反応した。
その次のターゲットは帝国の首都ブリドーアム。世界崩壊の中心地となるに相応しい場所だ。同志たちと共に中央府を襲撃し、あっという間にドゥルナス皇帝の元に辿り着く。
「貴様が魔道士オーデルグか」
「ようやく会えたな、ドゥルナス皇帝。これで、俺の宿願も果たされる」
「首都を直接襲撃するとは、愚かな! 一時的に私を拘束したところで、ここは我が帝国軍の真っ只中だ。すぐに貴様らなど鎮圧されるぞ!」
「いや、そうはならないさ。ここは街と共に滅ぶ」
「なに?」
俺は地面に右手を向け、魔法陣を形成した。宗教国家スオードの時と違い、創造神サカズエと破壊神トコヨニの力を目一杯注入する。それだけの力を加えれば、この魔法は世界全部を包むことができる。
魔法陣から紫の魔力空間が形成され、周囲に向かって広がり始めた。結界の範囲内に入った周囲の兵士たちが次々と倒れ、石のようになる。
「こ、これは!?」
「帝国軍も皆こうなる。もはやここには誰も来られない」
「な、何ということを……! 貴様、一体どういうつもりだ! 創造神サカズエはこのような愚行、決して許さぬぞ!」
「サカズエの力は俺の手中にある。気が付かなかったか?」
「な、何だと……!?」
ドゥルナス皇帝の顔が驚愕に染まる。俺の持つ紫の水晶の中にあるサカズエを理解できるだけの魔力は持っていたようだ。
「皇帝、貴様の行いの原動力はサカズエだったはず。後ろ盾を失ったな」
「ぐぬぬ……」
「創造神を味方にしたから自分が神にでもなったつもりだったか? 愚かだな」
皇帝の顔に焦りが浮かぶ。だが、もう状況を覆す手札は無いだろう。俺たちの、勝ちだ。
「旦那、連れてきたぜ」
ブラストは、手錠をかけられたミストロア王を連行してきた。
「ミストロア王!? なぜ貴公がここに!」
「ドゥルナス、すまん。奴らは全てお見通しだったようだ……」
「何ということだ……」
世界にケンカを売った愚かな親子。先代皇帝が病没し、皇帝の座を受け継いだまではよくある話だろうが、創造神サカズエと出会ってしまったことがお前たちの不幸だったな。
「私たち、オーデルグの同志ほぼ全てが貴様ら親子に恨みがある」
ヒルデが部屋に入ってきて言った。ヒルデも国を滅ぼされ、家族を失った。
「我が宿敵、ドゥルナス皇帝!」
「ミストロア王! 貴様も黒幕の一人だ!」
同志たちから次々と怨嗟の声が上がる。
「貴様ら、何をするつもりだ?」
「ドゥルナス皇帝とミストロア王。お前たちにもあの兵士たちと同じように眠ってもらう。だが、お前たちには、死ぬまで悪夢を見させる」
「な、なに!?」
「ニーベ村虐殺事件に関わった者や、ここにいる同志たちが憎む者たちも同様だ。俺や皆が味わったように、地獄を見て、後悔しながら死んでいけ!」
俺は左手をドゥルナス皇帝とミストロア王に向け、赤い光を放った。皇帝とミストロア王が地面に倒れ、赤く輝く石のようになる。
「これで、終わった……のか?」
「オーデルグ?」
「ああ。奴らは悪夢を見始めた。悪趣味だが、どんな悪夢を見て苦しんでいるか、皆に配った魔法道具があれば確認することもできるぞ。自由に見ろ」
同志たちから歓声が上がった。
「後は、皆の自由だ。それぞれ復讐したい者がいるだろ? 探して悪夢を見させるも良し。全部終わったのなら、皆も夢に落ちるも良しだ」
悪夢を見させていない者は、幸せな夢を見る。肉体が滅ぶまで、幸せな世界で、穏やかに死んでいけるようになっているのだ。
「俺は、ここで全部終わった。故郷に帰って、家族の墓の前で眠りにつくよ」
「私はもう少し探さないといけない敵がいる」
「旦那、あんたの夢は俺の夢でもある。最後まで付き合うぜ」
同志たちやブラストが次々に想いを口にする。去る者たちとは一人一人握手を交わした。
「ありがとうオーデルグ。俺たちに道を示してくれて」
「最後まで一緒に戦わなくて、ごめんなさい。本当にありがとう」
一人一人と別れの言葉も交わし、見送った。
残ったのは俺とブラスト、ヒルデ、それに同志が5人ほどだった。
「残るのは俺とブラストだけかと思ったら、皆、物好きだな」
「恩返しがしたいからね。あなたたちがやりたいのなら、私も付き合うわ」
「ああ、俺たちもだ!」
ヒルデや同志たちが言った。
「旦那、あと少しだぜ。俺たちの悲願までな」
「そうだな、ブラスト。あと少しだ……」
ブラストの力強い言葉に、俺は静かに反応した。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【破天荒注意】陰キャの俺、異世界の女神の力を借り俺を裏切った幼なじみと寝取った陽キャ男子に復讐する
花町ぴろん
ファンタジー
陰キャの俺にはアヤネという大切な幼なじみがいた。
俺たち二人は高校入学と同時に恋人同士となった。
だがしかし、そんな幸福な時間は長くは続かなかった。
アヤネはあっさりと俺を捨て、イケメンの陽キャ男子に寝取られてしまったのだ。
絶望に打ちひしがれる俺。夢も希望も無い毎日。
そんな俺に一筋の光明が差し込む。
夢の中で出会った女神エリステア。俺は女神の加護を受け辛く険しい修行に耐え抜き、他人を自由自在に操る力を手に入れる。
今こそ復讐のときだ!俺は俺を裏切った幼なじみと俺の心を踏みにじった陽キャイケメン野郎を絶対に許さない!!
★寝取られ→ざまぁのカタルシスをお楽しみください。
※この小説は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
君と僕の一周年記念日に君がラブホテルで寝取らていた件について~ドロドロの日々~
ねんごろ
恋愛
一周年記念は地獄へと変わった。
僕はどうしていけばいいんだろう。
どうやってこの日々を生きていけばいいんだろう。
俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前。でも……。二人が自分たちの間違いを後で思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになる。
のんびりとゆっくり
恋愛
俺は島森海定(しまもりうみさだ)。高校一年生。
俺は先輩に恋人を寝取られた。
ラブラブな二人。
小学校六年生から続いた恋が終わり、俺は心が壊れていく。
そして、雪が激しさを増す中、公園のベンチに座り、このまま雪に埋もれてもいいという気持ちになっていると……。
前世の記憶が俺の中に流れ込んできた。
前世でも俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前になっていた。
その後、少しずつ立ち直っていき、高校二年生を迎える。
春の始業式の日、俺は素敵な女性に出会った。
俺は彼女のことが好きになる。
しかし、彼女とはつり合わないのでは、という意識が強く、想いを伝えることはできない。
つらくて苦しくて悲しい気持ちが俺の心の中であふれていく。
今世ではこのようなことは繰り返したくない。
今世に意識が戻ってくると、俺は強くそう思った。
既に前世と同じように、恋人を先輩に寝取られてしまっている。
しかし、その後は、前世とは違う人生にしていきたい。
俺はこれからの人生を幸せな人生にするべく、自分磨きを一生懸命行い始めた。
一方で、俺を寝取った先輩と、その相手で俺の恋人だった女性の仲は、少しずつ壊れていく。そして、今世での高校二年生の春の始業式の日、俺は今世でも素敵な女性に出会った。
その女性が好きになった俺は、想いを伝えて恋人どうしになり。結婚して幸せになりたい。
俺の新しい人生が始まろうとしている。
この作品は、「カクヨム」様でも投稿を行っております。
「カクヨム」様では。「俺は先輩に恋人を寝取られて心が壊れる寸前になる。でもその後、素敵な女性と同じクラスになった。間違っていたと、寝取った先輩とその相手が思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになっていく。」という題名で投稿を行っております。
ずっと君のこと ──妻の不倫
家紋武範
大衆娯楽
鷹也は妻の彩を愛していた。彼女と一人娘を守るために休日すら出勤して働いた。
余りにも働き過ぎたために会社より長期休暇をもらえることになり、久しぶりの家族団らんを味わおうとするが、そこは非常に味気ないものとなっていた。
しかし、奮起して彩や娘の鈴の歓心を買い、ようやくもとの居場所を確保したと思った束の間。
医師からの検査の結果が「性感染症」。
鷹也には全く身に覚えがなかった。
※1話は約1000文字と少なめです。
※111話、約10万文字で完結します。
悲しいことがあった。そんなときに3年間続いていた彼女を寝取られた。僕はもう何を信じたらいいのか分からなくなってしまいそうだ。
ねんごろ
恋愛
大学生の主人公の両親と兄弟が交通事故で亡くなった。電話で死を知らされても、主人公には実感がわかない。3日が過ぎ、やっと現実を受け入れ始める。家族の追悼や手続きに追われる中で、日常生活にも少しずつ戻っていく。大切な家族を失った主人公は、今までの大学生活を後悔し、人生の有限性と無常性を自覚するようになる。そんな折、久しぶりに連絡をとった恋人の部屋を心配して訪ねてみると、そこには予期せぬ光景が待っていた。家族の死に直面し、人生の意味を問い直す青年の姿が描かれる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる