隣のマンションの白い壁

守 秀斗

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第11話:屋上への扉の鍵

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 ある日の事、会社の仕事を終えて、私が夜に自宅マンションに帰ると廊下に鍵が落ちていた。キーホルダーが付いていて、『屋上扉』と書いてある。

 あら、管理人さんが落としたのかしら。でも、管理人さんは午後五時頃には帰ってしまう。明日、管理室に届けてあげようと思った私。でも、いやらしい変態の私。

 屋上へ出るのは禁止されており、この十五階にある屋上への非常階段の扉は普段閉まっている。そして、突然、ある事を思い付いてしまった。自分の部屋に帰る。夕食後、シャワーを浴びて今日は仕事で疲れていたので、さっさと横になる。いつもは鏡の前で自分で楽しむことが多いんだけどね。眠りつつも、自分の考えにぞくぞくしちゃった。

 翌日は休日。
 私は近くの鍵屋さんに行って、屋上への扉の鍵の合鍵を作ってもらった。簡単な鍵で時間は十分もかからなかった。そして、マンションに戻ると、一階の管理室にいる初老の管理人に元の鍵を渡した。

「これ、私の部屋の階の廊下に落ちていたんで、お届けに来ました。『屋上扉』ってキーホルダーが付いてますけど」

 すると、管理人がその鍵を見て驚くとともに私にお礼を言った。

「いやあ、すみません。探していたんですよ。屋上の年一回の貯水槽清掃のため、業者が入る時に開けたんだけど、どうやら鍵を差したままにしてしまったようでね。ただ、今日、取りに行ったら無かったんですよ。あれ、じゃあ、どこかに落としたのかなあって悩んでたんです。それとも、どこに片付けたのかなあ、俺、呆けちゃったのかなあって。どうも見つけてくれてありがとうございました」
「いえ、どうぞおかまいなく」

 勝手に合鍵を作ったことに、ちょっと罪悪感。でも、本物は返したからいいわよね。よくないか。とにかく、にこやかに微笑んで、私は部屋に戻る。

 そして、夜。

 管理人さんはすでに帰宅している。私はコート姿で屋上への階段を上る。そして、合鍵で屋上へ入った。このマンションはここら辺では一番高いほうだわ。隣のマンションと同じくらい。

 広々とした空間があるが、周りの柵は低い。私は端っこに行って、ちょっと下を見る。目が眩みそうな高さで怖い。あまり端っこには近づかない方がいいと思った。そして、隣のマンションの屋上を見る。誰もいないわね。

 そして、屋上の中央辺りに行くと、コートを脱いだ。私が着ているのは青いメタリックのビキニスタイル。足は黒いピンヒールを履いて、腕には黒いロンググローブを着ている。何となくいやらしい格好だと自分でも思う。そして、そんな格好をしている自分を見てもらいたいの。

 持ってきた三脚台にスマホを設置する。リモコン操作で自分の体を撮影する。フラッシュが焚かれる。何度も写していると興奮してきた。動画も撮影する。いろいろとセクシーなポーズを撮影すると、さっさと部屋に戻った。

 部屋に戻って、スマホの画像を確認してみる。夜中の屋上でピンヒールを履いた青色ビキニ姿の女が映っている。プールとか海水浴場は水着でもおかしくないけど、普通のマンションの屋上で水着姿。非日常的で興奮しちゃうわ。誰かが遠くから見ていたかもしれない。ああ、誰かに見られていたかもしれないわ。でも、この格好なら別に大丈夫よね。むしろ、見てほしいわ、私の美しい体を。

 すっかり興奮した私は自分の部屋で裸になる。全身が映る鏡で自分の体を見る。その後も、何度も似たようなことをして楽しんだ。水着だけではなく、黒い下着やら白いレオタードを着る。レオタードと言っても薄い生地で下が見えそう。そして、私の大好きなボンデージファッション。

 真夜中のマンションの屋上でいやらしい格好をする私。
 ああ、あそこが熱くなるわ。

 そんないやらしい格好をしてはスマホで撮影して、部屋に戻って、画像や動画を見る。そして、全裸になって楽しむ。気持ちいいわ。いやらしい私。でも、やめられないわ。

 私の行動はどんどん大胆になっていく。そして、ある日、真夏の暑い夜。屋上でコートを脱いだ私は黒いピンヒール以外は何も着ていない裸になった。そして、スマホで撮影。いろんな格好をする。大きく股を開いたり、四つん這いなってお尻を突き出す。そんな姿をスマホはフラッシュを焚いて撮影していく。

 本当に気持ちいい、快感だわ。誰か見てるの、私のいやらしい姿を。私のあそこを、大事なところを、濡れたあそこを。ああ、それを想像するとさらに興奮してしまうの。部屋に戻って鏡の前で全裸になる。自分でしてしまう。思わず、快感で口から涎を垂らす。見られたいわ、本当に見てほしい、私の美しい体を……。

「ああ、いいわ、気持ちいい、気持ちいいの……」

 激しく自分でして、すっかり快感に体をゆだねてしまう私。

 何度も楽しんでは、すっかり疲れてベッドに全裸で横になる。気持ち良かった。けど、もっと過激なこともしてみようかしら……。

……………………………………………………

 今日から一週間夏休み。
 でも、彼氏無し。
 情けないわね。

 それで、ちょっと、迷ったんだけど、昼間に屋上へ行ってみることにした。通販で一番安かった全身が映る鏡を持って。

 真昼間の暑い屋上。私はかなりのハイレグ競泳水着を着てみる。まあ、この格好なら見られても、別におかしい格好ではない。日光浴と言い訳も出来るし、実際のところ誰にも見られないとは思う。そして、その水着姿を見て、興奮する。もし、突然、人が入って来て見られたら恥ずかしいかも……。

 持ってきた鏡に映るいやらしいハイレグ競泳水着の自分を見て興奮してしまう。足には黒いハイヒールを履いているから、なおさら淫靡な感じがするわ。

 いや、むしろ見てほしいと思ったりもする。誰かが見ているのを想像すると私は興奮してしまう。こんなマンションの屋上で水着姿になっているという非日常的行為が自分を興奮させて、部屋に戻っての行為の快感がさらに増しちゃうの、ああ、気持ちいいわ!

 次の日も晴天。
 ハイレグレオタードを着る。今日はものすごく蒸し暑いわね。すごい湿度よ。汗だくになって、いろんなポーズを取る。薄い白いレオタードなので、汗まみれになると下の肌が薄く見えるの。それを鏡で見るの。ああ、全裸よりいやらしく見えるわ。それが、また私を興奮させるのよ。

 変態だなって?
 だから、変態ですよって言ってるでしょ!

 ああ、誰かに見られたいわ……私のいやらしい姿を見てほしい……ああん、全身もあそこもぐしょ濡れの私を見て……視線で私をメチャクチャにして……いや、いっそのこと、私を現実に貫いて……。

 私は鏡に映った汗だくの自分を見てさらに興奮してしまう。陶酔した気分になる。そして、部屋に戻って、スマホで撮影した画像や動画を見て、激しく自分で楽しむ。

 次の日から、さらに大胆になっていく。黒い下着やらボンデージファッション。ずうっと暑い夏が続くマンションの屋上。水道の蛇口があったので、白いシャツ一枚を着て、自分に水をかけてみる。下の肌が透けて見えて色っぽい。下半身は裸よ。そして、いろんなポーズを取る。気持ち良くて仕方がない。

 そして、我慢できずに私はとうとう全裸になる。真昼の屋上で全裸。全身、玉の汗をかいた自分の裸体を鏡で見て興奮は最高に達した。我慢できず、すぐに部屋に戻って、延々と一人で楽しんだ。

 部屋の中で鏡に映る全身汗まみれの女。
 壁に手をついて、お尻を突き出して、私はあそこを激しく擦る。
 
「ああ、気持ちいいの、ああ、私を貫いて、後ろから、私を……ああん、征服して、私を完全に……ああ、いくわ、いく、いくうう」

 気持ちよかったわ。でも、やっぱり私って露出狂の変態ね。でも、すごく気持ちいいの……ああ、もっともっと過激なことをしたい。でも、さすがに我慢しようかしら、屋上では。ああ、けどしたいの、したくて仕方が無い。

 ああん、我慢できないわ!
 
 昼間、屋上に行く。真夏の太陽が照らす中、いつものようにコートを脱ぐの。私は鏡の前に立つ。ハイヒールを履いて、黒いハイレグレオタードを着ている。しかし、レオタードの股の部分はオープンクロッチタイプ。普通のレオタードではないわ。夜の営み用ね。そして、スマホをセットして動画撮影。私は自分の部屋で楽しんでいたことを、屋上でする。汗だくになって、気持ち良くなる。ああん、気持ち良くなっていくわ……。

 真昼間の屋上で自分でして、汗だくになって楽しむ私。
 快感にふるえている私。
 いやらしいわ。
 でも、すごく気持ちいいの。
 ああ、やめられないわ。

 屋上で誰か見ているかわからないのにこんなことをして、気持ち良くなっている。私は真性の変態ね。でも、やめられないの。私はいつの間にかその行為に没頭していたの。

 屋上の中央に立つ私。
 真夏日。

 汗だくになって、色っぽいわ。
 広々とした屋上。私の頭は妄想でいっぱいになる。

 ここは白いステージよ。
 その上でいろんな格好をしては、大勢の人が見てるの。三百六十度、あらゆる方向から私を見てるのよ、美しい私を見るの。そして、その美しい私が自分でするのを見られるの。見てる人たちはスマホやらデジカメやらビデオカメラで私の痴態を撮影している。

 あそこからいやらしい液が垂れ流れていくのを見られるの。ああん、見て、いやらしい淫らな行為をしている私を撮影して。ああ、気持ちいいわ、もっと見て、記録して、私の全てを。そして、征服してほしい。私を完全に支配してほしい。徹底的に乱暴してほしい。

 そして、私が自分でしていると男の人たちが、私の周りに集まってくる。着ているレオタードを引き裂かれて、全裸にされる。その後、ありとあらゆる辱めを受けるのよ。ああ、ものすごく気持ちがいいの、快感よ。もう、私の足元がびしょ濡れになるくらい興奮する。

「ああん、気持ちいいわ、いくわ、いく、いくう……」

 ああ、いっちゃった。
 真昼の屋上で。

 お前は真性の変態だと言われそうね。

 実際に乱暴されてしまえって言う人もいるかもしれない。でも違うのよ。わかったわ、私には。現実と妄想は違うのよ。現実の男の人は自分勝手に女性を襲ってひどい目に遭わすだけよ。でも、妄想の男の人たちは私を気持ち良くさせるのよ。

 自分勝手じゃないのよ、妄想の男の人は。全て、私を気持ち良くさせるために存在するの。佐島君とか元カレを思い出してしまう。私を抱いて出したら、急に関心を失くすのよ。急に冷たくなるの。何なのよ、男って。もっと女性を大切にしなさいよ。

 私の変態趣味に付き合ってよ!
 恋人なら。
 私の体で楽しんだんでしょ。

 妄想の男の人たちは文句を言わずに私を気持ち良くさせてくれるの。私の変態行為を嫌がらないの。何度でも私を満足するまで抱いてくれるの、出してくれるの。ああん、そういう男性、現実にいないかしら。

 いるわけないだろって?
 そうかしら。

 まあ、何度も出すのは疲れるでしょうけどね。
 でも、私の理想の男性はどこかにいると思うわ。

 そして、私はもっと変態行為をしたくなったの。
 真昼の屋上でね。
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