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第9話:ヴァネッサ様に呼ばれる

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 その夜は午前四時までアラン様に抱かれた私。
 さすがにぐったりとして、身体をうごかすのも億劫になった。

 アラン様からは正午まで休んでいいと言われたので、そのままベッドで眠ることにした。

 そして、私がアラン様の寝室で寝ていると揺り動かされた。
 目を覚ますと、メイド長のカミーユ様がいた。

「フランソワーズ、起きなさい」
「あ、申し訳ありません……あの、アラン様から正午まで休んでいいって言われましたので」
「その事は聞いてるわよ。ただ、お妃様があんたを呼んでるのよ」

 ヴァネッサ様が、何のご用だろう。
 昨夜のことかしら。

 怒られるのかしら。
 まさか、この城から追放処分とか。

 それともヴァネッサ様が怒って、その場で殺されてしまうとか。
 怖くなってしまう臆病な私。

 けど、ご命令ならばすぐに従わないといけないわ、私はただのメイドなんだから。
 私はあわててメイド服を着るとドキドキしながら、ヴァネッサ様の部屋の扉をノックする。

「どなた」
「あ、あの、フランソワーズです」
「ああ、入って」

 私は扉を開けて中に入る。
 ヴァネッサ様が豪華な椅子に座っていたので、私はすぐに頭を深々と下げた。

「あの、ヴァネッサ様。昨夜は本当にとんでもない、はしたなくて淫らなところをお見せしてしまって、大変申し訳ありません」
「昨夜のことは別にいいわ。あなたに責任はないし、アランに無理矢理やらされたんでしょう」

 ヴァネッサ様は少し微笑んでいらっしゃる。
 どうやら、怒ってはいないらしい。

 私はほっとした。
 そして、ヴァネッサ様から籠いっぱいの果物をいただいた。

「これは精力がつく果物よ。人間にも効果があるみたいよ。本当にあなたにはすまないわねえ。あんな夜中まで働かされてるなんて、知らなかったわ。あの人、独占欲が強いし。アランに言っておくわ。もっと、フランソワーズを大切にしなさいと」
「あ、別に、その、アラン様は私を大切にしてくれてます。私が疲れると休憩を取らしてもらえますし」

「けど、恥ずかしいこともいろいろとされたりしているんでしょ」
「……ええ、まあ、けど、私としては平気です……」

 確かに恥ずかしい格好もされたりするけど、それが性的快感にもなるので、私は不満はなかった。すごく気持ちがいいし。

 しかし、その後のヴァネッサ様の発言に驚いてしまった。

「でも、おしっこを飲ませるなんて、女としては恥ずかしくないの。あと、なんていうかあのときに出しちゃう液を飲むとか変態行為。私はあなたが肉体的にも大変だけど、精神的にもおかしくならないかと心配なんだけど」

 どうして、そのことを知ってらっしゃるんだろう、ヴァネッサ様は。
 極秘事項だったはず。

 アラン様が言うにはヴァネッサ様も知らないって話だったのに。
 自分とお前だけの秘密だって言われていた。

「あの、なんで、私がアラン様に、お、おしっこ、それから、その、はしたない液を飲ませてるって知ってるんですか」
「私もやってくれって言われたからよ。もちろん断ったわよ。それで仲が悪くなったの。どうしようもない変態ね、アランは。おまけに、今時、すごい男尊女卑の考えを持っているし。まあ、政治とか他の事は真面目にやっているので許してやってるけどね。ただ、あなたはアランに逆らうことが出来なくて大変よね」

「あの、ヴァネッサ様も特異体質なんでしょうか」
「何の事よ、特異体質って」
「アラン様が言うには、私のおしっこや、その、はしたない液には吸血鬼の身体を活性化する成分が入っているって話だったんですけど」

 ヴァネッサ様は妙な顔をした後、少し笑った。

「しょうがない変態男ね。そんなのあるわけないじゃない、あきれたわ。そんなことをあなたに言って、自分の変態趣味を隠したかったのよ」
「あの、じゃあ、何でアラン様は私の汚いおしっこなんて飲むんですか」

「そりゃ、あの人が変態で、そして、あなたのことが好きだからでしょ。まあ、ストレスもかなりたまっているみたいね、政治って大変だから。権力者って、そういうストレスを解消するために変態的行為に走ることもあるみたいね。なぜかサディスティックな方より、マゾヒスティックなことをされたがる政治家って多いみたいよ。変なお店で鞭とか打たれたりとか。アランの場合は、女を男より下のものと馬鹿にしているくせに、女のおしっこを飲んだりすることかしらね。まあ、あなたをひどい目に遭わせているようではないからいいけど、もし、もっと変な事を強要されたら私にすぐ言ってね。とっちめてやるわ、あの変態男」

 また仰天する私。
 てっきり、私は特異体質のため、アラン様に抱かれているものと思っていた。

「じゃあ、私が命を助けられたのは……」
「それは、あなたが好みの女の子だったからでしょうね。一目惚れかしらね。従順な感じがしたんじゃないの。実際、あなたは真面目で大人しいし。アランはあなたのことが大好きなのよ。愛しているのよ。自分を暗殺に来たのに、城のほぼ全員の反対を押し切って、人間のあなたをこの吸血鬼しかいない吸血鬼城にただ一人の人間のメイドとして採用したんだから」

 アラン様が私のことを愛している!
 ほ、本当なの。

 本当ならこんなに嬉しいことはないけど。
 別にどんな変態行為をされてもいい。

 何をされてもかまわない。
 もう、どんなことでも従うわ。

 アラン様に愛されるなら。
 けど、ヴァネッサ様が言うことは本当かしら。

「あの、アラン様が人間の女を好きになるなんて本当でしょうか」

 するとヴァネッサ様が、高価そうな透明の花瓶に入った、赤い薔薇の花を花瓶ごと私に手渡す。

「この赤い薔薇は永久に咲いたままに措置された特別な物よ。あなたにあげるわ」
「え、なんで私にくださるのですか」

「アランからは単に余っているからという理由にして、あなたにあげなさいって言われたけどね。本当のことを言うわね。これはアランと婚約してた時にもらったんだけど、それをあなたに譲るように前々から言われていたわ」
「そんな貴重なものを私がいただいてよろしいのでしょうか」

「だから、アランはあなたのことが好きなのよ。大好きなのよ。赤い薔薇の花言葉って知ってるかしら」
「いいえ、申し訳ありません。存じておりません」

「あなたを愛していますって花言葉よ。それに、無垢で愛らしいって意味もあるわね。それをあなたに譲れってことは、そういうことでしょう。まあ、私に対する嫌がらせの意味もあるかもしれないけどね」

 自室に戻り、ヴァネッサ様からいただいた透明の花瓶に入った赤い薔薇をじっと眺める私。
 アラン様が私のことを好きだなんて。

 赤い薔薇を眺めながら、私は顔を赤くしてしまう。
 けど、本当なのかなあ……。

……………………………………………………

 その夜も、私はアラン様に激しく抱かれていた。
 しかし、今夜の私はいつもよりドキドキしている。

 今までは、慰み者、夜のおもちゃ、単なる性奴隷として扱われているものだと思っていた。
 もしかしたら、ある日、突然、捨てられるか、殺されるのではとも不安に思っていた。

 しかし、ヴァネッサ様が言うには、アラン様は私のことを好き、愛しているってことだわ。
 本当なのかしら。

 愛してくれている、私のことを。
 こんなゴミのような女を。

 国王陛下が。
 アラン様が。

 そう思うとは私は興奮して、激しく乱れてしまった。

「ああ、気持ちいいです、フランソワーズのおまんこが気持ちいいです、アラン様、もっとフランソワーズのおまんこ責めて、メチャクチャにしてえ!」

 汗だくになって、腰を激しく動かし、快感で淫らに口の端から涎を垂らしてしまう。

「おいおい、今夜はずいぶん激しいなあ、フランソワーズ」
「はい、気持ちいいですう、ああ、もっとふしだらなフランソワーズを責めてください、犯してください、征服してください、アラン様!」

「フランソワーズ、そろそろ出すよ」
「はい、いっぱい、私の中に出してください、私もいきそうです、ああ、いく、いっちゃう、ああ、で、出る、出ます、ああ、出ちゃう」

 私の股間にコップを当てるアラン様。

「ああ、出る、はしたない液が、ああ、私、い、いく、いっちゃう、い、いく、いくううう!!!」

 私のあそこからはしたない液が噴き出る。
 それをコップで受け止めるアラン様。
 私はぐったりとベッドの上で横になる。

「君が激しく興奮すればするほど、この液には、吸血鬼の身体に良いエキスがたくさん含まれて、僕の身体にいいんだよ」

 そう言って、コップに注がれた私のはしたない液を飲み干すアラン様。
 本当なのかなあ、ヴァネッサ様が言うには全く効果がないみたいだけど。

「疲れただろ、フランソワーズ、少し休むか」
「……はい、お願いいたします……」

 アラン様の胸にやさしく抱かれる私。
 そして、ドキドキしてくる。

 どうしよう。
 ヴァネッサ様が言ったことを聞いてみようかしら。

 私のことを好きなんでしょうかって。
 いや、そんなことは聞けないわ。

 アラン様は怒るだろう。
 自分の変態趣味がバレてしまったってことで。

 赤い薔薇のことを話そうかしら。
 けど、建前は単に余っているからあげたってことだし。

 私が悩んでいると、アラン様の方から聞かれた。

「なんだか、君はヴァネッサに呼ばれたらしいんだが、何を言われたんだい」
「ヴァネッサ様から、精力がつく果物をいただきました。それから、その、アラン様に私をもっと大切にするようにと言ってあげましょうかって言われました」

「そうか、その果物のせいで、今夜の君は激しかったのか」
「そ、そうですね、そうかもしれません……」

 実際のところどうなんだろう。
 果物は美味しかったけど、そんなにすぐ効果があるのかしら。

 そして、私はやっぱりアラン様の気持ちが聞きたくなった。
 私は悩んで、そして、思いついた。

 私の方から告白すればいい。
 それなら何の問題もないだろう。
 それに前々からお願いしたいことでもあった。

「……あの、アラン様、私、告白したいことがありまして……」
「うん、なんだい」

「こんな下賤の者が陛下に申し上げるのは大変失礼かと思いますが、その、私はアラン様のことを好きになってしまいました。心の底からアラン様のことを愛しています。もう、私の身も心もアラン様に捧げたいんです。だから、二十代までとかじゃなくて、一生、この吸血鬼城で働かせていただけないでしょうか。もちろん、単なる清掃員としてでもいいです。とにかく、私はアラン様の側にいたいんです……だめでしょうか……」
「うーん、難しいなあ。はっきり言うけど、君をメイドとして採用した時は大問題になってねえ。今でもさっさと追い出せって言う奴が少なくないんだよ」

 そうなのか、やっぱり私は城のみんなから嫌われているんだなと思った。
 まあ、当初はアラン様を暗殺に来たんだから当たり前だけど。

「あの、私はアラン様のお側でなくても、ただ、遠くからお顔を拝見できるだけでいいんです。この城の端っこで住まわせてもらえればいいんです。とにかく一緒のお城に住まわせてくれるだけでいいんです。どうにかならないでしょうか」
「ちょっと考えさせてくれないかなあ。まあ、僕としては君のことは可愛いとは思っているんだけどね」

 可愛いって!
 可愛い! 

 アラン様が私のことを可愛いって言ってくれた!
 嬉しい!

 私はすっかり興奮してしまった。
 天にも昇る気分になった。

「じゃあ、ヴァネッサがうるさいことだし、今夜はこれで終わりにしようか、フランソワーズ」
「いえ、大丈夫です。あの、よろしければもっと抱いていただけないでしょうか……ご主人様……」

 そして、私は自らアラン様の上にまたがって、また激しく乱れてしまった。あそこでアラン様のたくましいものを咥えて身悶えながら大声を出す。

「ああ、アラン様、愛しています、愛してる、愛しているの、ああ、私、一生、アラン様のことを愛したいんです! 永遠に愛したいんです!」
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