17 / 24
Pr.17 陰キャの相談相手は陰キャである
しおりを挟む
『それで、この前言ってた人とはどんな感じなんだ?』
マッチングの最中、俺はポテトを食べていると、トモがそんなことを言ってくる。
「あーね。普通に喋るようにはなったよ。」
『おぉそうか。良かったじゃねぇか。』
「良かったのか何なのか。お陰で毎日振り回されまくりだ。」
『悪くねぇじゃねぇか。女子に振り回される毎日って、俺からしたら天国だぜ。』
「実際やってみるとな、結構しんどいぞ。しかもそいつ距離感バグってるから、こっちが気をつけないといけないし。」
『一度言ってみてぇよ、そんなセリフ。距離感バグとか2次元の世界の言葉だと思ってた。』
「それが実際にいるんだなぁ。」
マッチングが終わって、先出しのキャラを選択する。俺とトモは同じようなパーティーを使っている。あと2人のキャラを見た感じ、守りに徹してくれそうだから、俺とトモは同じキャラを使って前線に出ることにした。
「いつも通りな。」
『おうよ。』
バトルが始まって、フィールドに全員降りる。2人で「右」とか「左」とか指示を出しながらプレイしていたら、いつの間にか勝っていた。
「ナイスぅ」
『相手ブーストんとき一瞬ヒヤッてしたわ。』
「それな。一気に押し込んできたもんな。」
リザルド画面を見ながらコーラを流し込む。
『そんで、それだけじゃないんだろ。』
「なぜ分かる。」
『何年お前とゲームやってきたと思ってんだ。考えてることくらい、声だけで何となく分かる。』
「怖ぇ。あと1年な。お前とやり始めてからは。」
トモは画面の奥でゲラゲラと笑いながら、バリボリと何かを食い始めた。
「そっちは何食べてんだ?」
『俺は栄養満点のシリアルバーだ。そっちは?』
「ポテトとポテチ。そんでコーラ。」
『デブ一直線じゃねぇか。』
「誰が何に一直線だって?言ってみろ。地の底まで突き落としてやる。」
『ははっ、悪ぃ悪ぃ。でも、こういうときいっつもピザだったよな。何かあったんか?』
「それがな俺の話に関係してくるんだよ。」
俺はポテトを5本くらい一気に口につめ、それをコーラで流し込む。
「その隣の席のやつ、俺ん家の近くだったんだ。」
『…マジで!?』
「マジで。」
『逆になんで気づかなかったんだよ。』
「そいつ、交通費減らすために毎日3駅自転車漕いでるんだと。」
これ言ってもいい話だったのかなと思いつつも、トモだしいいかってことにして、話を続ける。
「そんで、俺ん家に来てよ。パーティー先に始めやがった。」
『ほほう。何で?』
「カップ焼きそばとピザで。」
『そいつ…素質あるな。』
「だろ?すぐにスカウトしてやりたかったが、さすがにやめておいた。こんな会話聞かれるわけにもいかんし。」
『だな。それで正解だ。ってことは家近いから…夏休みの間家来たり?』
「…………」
『よぉし次のゲーム始めるか。悠人、相手チームな。ネチネチ狙ってやるよ。』
「やめてくださいお願いします。話すから。」
トモが準備完了のボタンを押して急かしてくるので、それを制して話を始める。
「その通りだよ。家に来ることになっている。しかもほぼ毎日。」
『君は2次元の世界の鈍感主人公かな?』
「普通に考えてみろ。俺なんかを好きになるわけねぇだろ。」
『わからんど。そもそも、全く好意のないやつの部屋に上がり込むかよ。』
「確かにその通りだな。そこは矛盾してる。」
『ってことで、OFFで会おうぜ。どっかのタイミングで。』
「いいぞ。また連絡するわ。」
次の試合のマッチングも終わって、俺たちはさっきと同じキャラを選び、前線に飛び出していく。
そして試合後、レートが表示してある隣には「3連勝」の文字が光っていた。
「3連勝~!」
『何回で負けるかな?15回の称号持ってたっけ?』
「いや、まだだ。」
『なら、有り得るかもな。今日。』
「たしかに。」
そんな話をしながらゲームをやり続け、そして12時を回る。
『深夜帯だな。』
「相手強くなるな。」
テーブルの上のポテトを入れていた皿は空になって、そしてポテチは半分くらい無くなっている。
「ちょいまち。トイレ行ってくる。」
『おう。俺も行ってくるわ。』
休憩がてらトイレに行き、そして冷凍庫からアイスを取り出す。
そしてまたイヤホンをして通話に戻った。
『絶対なにか取ってきただろ?』
「あぁ、アイス。」
『俺もやから人の事言えんわ。』
画面の向こうでトモが笑い、俺もそれにつられて笑う。深夜帯に入ってきて、何十戦もしてきてるから、ちょっとテンションがバグってきてるのだ。
『そんで、そいつとはどこまでやるつもりなんだ?』
「あ?」
トモは俺の事をからかうように言ってくる。その瞬間、渡月の顔が浮かんで、そして消えた。
「あいつとはそんな関係じゃねぇって言ってんだろ。張り倒すぞ。」
『ごめんごめん。いやぁ、主人公してますなぁ。』
「うるせぇ。」
そんなこと俺がいちばんわかってると呟きつつ、アイス入りのバニラモナカを食べる。
『まぁ、その報告はおいおい聞くとして、試合やろーぜ。』
「わーった。わーった。もうちょっとで食べ終わるから待ってろ。」
マッチングの最中、俺はポテトを食べていると、トモがそんなことを言ってくる。
「あーね。普通に喋るようにはなったよ。」
『おぉそうか。良かったじゃねぇか。』
「良かったのか何なのか。お陰で毎日振り回されまくりだ。」
『悪くねぇじゃねぇか。女子に振り回される毎日って、俺からしたら天国だぜ。』
「実際やってみるとな、結構しんどいぞ。しかもそいつ距離感バグってるから、こっちが気をつけないといけないし。」
『一度言ってみてぇよ、そんなセリフ。距離感バグとか2次元の世界の言葉だと思ってた。』
「それが実際にいるんだなぁ。」
マッチングが終わって、先出しのキャラを選択する。俺とトモは同じようなパーティーを使っている。あと2人のキャラを見た感じ、守りに徹してくれそうだから、俺とトモは同じキャラを使って前線に出ることにした。
「いつも通りな。」
『おうよ。』
バトルが始まって、フィールドに全員降りる。2人で「右」とか「左」とか指示を出しながらプレイしていたら、いつの間にか勝っていた。
「ナイスぅ」
『相手ブーストんとき一瞬ヒヤッてしたわ。』
「それな。一気に押し込んできたもんな。」
リザルド画面を見ながらコーラを流し込む。
『そんで、それだけじゃないんだろ。』
「なぜ分かる。」
『何年お前とゲームやってきたと思ってんだ。考えてることくらい、声だけで何となく分かる。』
「怖ぇ。あと1年な。お前とやり始めてからは。」
トモは画面の奥でゲラゲラと笑いながら、バリボリと何かを食い始めた。
「そっちは何食べてんだ?」
『俺は栄養満点のシリアルバーだ。そっちは?』
「ポテトとポテチ。そんでコーラ。」
『デブ一直線じゃねぇか。』
「誰が何に一直線だって?言ってみろ。地の底まで突き落としてやる。」
『ははっ、悪ぃ悪ぃ。でも、こういうときいっつもピザだったよな。何かあったんか?』
「それがな俺の話に関係してくるんだよ。」
俺はポテトを5本くらい一気に口につめ、それをコーラで流し込む。
「その隣の席のやつ、俺ん家の近くだったんだ。」
『…マジで!?』
「マジで。」
『逆になんで気づかなかったんだよ。』
「そいつ、交通費減らすために毎日3駅自転車漕いでるんだと。」
これ言ってもいい話だったのかなと思いつつも、トモだしいいかってことにして、話を続ける。
「そんで、俺ん家に来てよ。パーティー先に始めやがった。」
『ほほう。何で?』
「カップ焼きそばとピザで。」
『そいつ…素質あるな。』
「だろ?すぐにスカウトしてやりたかったが、さすがにやめておいた。こんな会話聞かれるわけにもいかんし。」
『だな。それで正解だ。ってことは家近いから…夏休みの間家来たり?』
「…………」
『よぉし次のゲーム始めるか。悠人、相手チームな。ネチネチ狙ってやるよ。』
「やめてくださいお願いします。話すから。」
トモが準備完了のボタンを押して急かしてくるので、それを制して話を始める。
「その通りだよ。家に来ることになっている。しかもほぼ毎日。」
『君は2次元の世界の鈍感主人公かな?』
「普通に考えてみろ。俺なんかを好きになるわけねぇだろ。」
『わからんど。そもそも、全く好意のないやつの部屋に上がり込むかよ。』
「確かにその通りだな。そこは矛盾してる。」
『ってことで、OFFで会おうぜ。どっかのタイミングで。』
「いいぞ。また連絡するわ。」
次の試合のマッチングも終わって、俺たちはさっきと同じキャラを選び、前線に飛び出していく。
そして試合後、レートが表示してある隣には「3連勝」の文字が光っていた。
「3連勝~!」
『何回で負けるかな?15回の称号持ってたっけ?』
「いや、まだだ。」
『なら、有り得るかもな。今日。』
「たしかに。」
そんな話をしながらゲームをやり続け、そして12時を回る。
『深夜帯だな。』
「相手強くなるな。」
テーブルの上のポテトを入れていた皿は空になって、そしてポテチは半分くらい無くなっている。
「ちょいまち。トイレ行ってくる。」
『おう。俺も行ってくるわ。』
休憩がてらトイレに行き、そして冷凍庫からアイスを取り出す。
そしてまたイヤホンをして通話に戻った。
『絶対なにか取ってきただろ?』
「あぁ、アイス。」
『俺もやから人の事言えんわ。』
画面の向こうでトモが笑い、俺もそれにつられて笑う。深夜帯に入ってきて、何十戦もしてきてるから、ちょっとテンションがバグってきてるのだ。
『そんで、そいつとはどこまでやるつもりなんだ?』
「あ?」
トモは俺の事をからかうように言ってくる。その瞬間、渡月の顔が浮かんで、そして消えた。
「あいつとはそんな関係じゃねぇって言ってんだろ。張り倒すぞ。」
『ごめんごめん。いやぁ、主人公してますなぁ。』
「うるせぇ。」
そんなこと俺がいちばんわかってると呟きつつ、アイス入りのバニラモナカを食べる。
『まぁ、その報告はおいおい聞くとして、試合やろーぜ。』
「わーった。わーった。もうちょっとで食べ終わるから待ってろ。」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる